独行法反対首都圏ネットワーク


☆独立法人化  自主・自律の国立大に
2001To: 10.2  [he-forum 2659] 東京新聞社説10/03

『東京新聞』社説2001年10月3日付

独立法人化
自主・自律の国立大に

 地球化時代に適応する国立大学の在り方について、 大学独特の独立法人とす る案が示された。研究や教育の水準を一層向上させるため、自主・自律を進め る方向で内容を練ってほしい。
 世界的に高く評価される学問上の業績をあげる一方、優れた人材を育てる高 等教育機関の存在は、わが国が二十一世紀に発展を持続できるかどうかと深く かかわっている。
 政府は関係機関の独立行政法人化を進めているが、文部科学省の「国立大学 等の独立行政法人化に関する調査検討会議」がまとめた中間報告は、独立行政 法人通則法そのままでなく、大学独自の法制度にするよう求めている。  中間報告は、新しい「国立大学法人」について、学外者の運営参加をはじめ、 評価システムの導入、教職員任用制度の弾力化などで、各大学の特性を生かす という。
 国大の法人化が、文部科学省による規制から大学を解放し、人事や予算の自 主的な運用を可能にすることで大学それぞれの個性の発揮につながるなら、好 ましい話だ。
 これまで国大に乏しかった「経営」という観点が導入されれば、各大学が新 たな収入の道を工夫する余地も生まれるだろう。大学が営利事業に携わったり、 知的所有権の管理会社を持つのも自由になる。
 第三者による客観的な評価が導入されれば、授業や研究が活性化することも 期待できる。
 中間報告は、文部科学省の「国立大学評価委員会(仮称)」が総合評価すると 想定しているが、予算配分を行う官庁が、評価に直接関与するのは好ましくな い。評価の客観性を確保するためには、複数の第三者機関で行うべきだろう。
 中間報告は結論を出していないが、教員を国家公務員から外して兼業をでき るようにするとか、業績や評価と直結する契約制、年俸制の採用、学長を含む 役員に外国人の任用を可能にすることも検討したい。
  国大の法人化は、大学改革全体からすれば、ごく一部にすぎない。
 入試の改革、全国に九十九ある国大の統合・合併、東京大学、京都大学など の大学院大学化と基礎研究機能の充実は、以前からの懸案だ。
 大学院大学のような"全国区"の高等研究・教育組織とは別に、それぞれの地 域に産業や文化創造の核になる大学があるかどうかは、わが国全体の均衡ある 発展に影響する。
 そうした地域の「知」の核を、自治体や地元企業、住民ぐるみで育てるきっ かけになるような国立大学法人であることが望まれよう。


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