独行法反対首都圏ネットワーク


☆「国立大学法人」への視点
2001 10.3 .[he-forum 2653]  「国立大学法人」への視点(日本経済新聞社説10/3)

日本経済新聞社説 10月3日

社説2 「国立大学法人」への視点

 国立大学の法人化へ向けて人事や機構、経営など基本制度を検討してきた文部科学 省の調査検討会議がその具体像として「国立大学法人」の姿を描いた中間報告をまと めた。
 副学長など役員に外部の人材を登用し、大学の意思決定の権限を教授会などから学 長ら役員に集中するほか、予算は各大学の教育研究を第三者評価にゆだねて配分し、 各大学の独自の裁量が生かせるよう弾力化するなど、国の一元的な基準で運用されて いた国立大学を競争原理と国民へのアカウンタビリティー(説明責任)のもとで自主 性と自律性に基づいて再構築するよう求めている。
 当初、行政改革の一環として「独立行政法人」化の検討を迫られてきたのに対し、 国立大学側は大学を一般行政機関と同じ定型的業務とみなした法人化に強く反対し、 学長などの人事や中長期目標の策定などを大学の裁量に任せるなど、大学の自律性を 重視した独自の法人モデルを求めていた。「国立大学法人」はそうした意向を受けて まとめた国立大学の新しい枠組みといえる。
 国費による運営という国立大学の基本形態は維持されているが、終身雇用で流動性 の乏しい現状に代えて教員に任期制や公募制を導入することや、大学の判断による学 科や組織の改変、教職員給与や学生納付金の設定などを大幅に各大学の裁量に任せる など、大学運営を国の規制から大幅に自由化する一方、その経営責任をそれぞれの大 学に求めているのが特色といえる。国立という形態の下で経営体として大学の自助努 力が問われるわけで、これが大学の再編統合を進めることは疑えない。
 ただ、中間答申では肝心の部分が両論併記などで留保されていて国立大学改革の将 来像を見えにくくしている。教職員の身分を公務員型にするか、非公務員型にする か、交付金の傾斜配分のもとになる第三者評価機関の性格や運用などである。
 さきに文部科学省は国公私立大学を対象にした第三者評価による「トップ30」の育 成などを打ち出した。国公私立という設置形態による日本の大学の競争条件の落差を どのように改めるのか。国立大学改革はその枠組みを超えた大学全体の競争基盤の整 備を前提とする必要がある。


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