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☆愛知・国立4大 学長協議スター 『読売新聞』中部版2001年9月21日付
2001.10.2 [he-forum 2637] 読売新聞中部版09/21

『読売新聞』中部版2001年9月21日付

 
 愛知・国立4大 学長協議スタート
岐阜、三重と連携模索も
 
 大学間の連携について検討を始めた名古屋大、名古屋工業大、愛知教育大、豊橋技科大の愛知県内の国立大四校の総長、学長は二十日、名古屋市千種区の名古屋大で大学間の地域連携について初会合を開いた。今後は、副学長ら実務者のレベルで具体的な連携の方法を協議していくことを確認した。
 記者会見した松尾稔・名古屋大総長によると、この日の協議では、国の大学の再編・統合の方針について、各大学が検討状況を報告。四大学で「協力しあえる部分を、具体的に話し合っていく」ことで基本的に合意した。また、尾総長は、各大学間での単位互換などの「緩やかな連携」から、共同研究や教養教育の相互活用などの「強い連携」まで、いくつかの連携のあり方を提案したことも明らかにした。岐阜、三重など近県の大学との連携も模索していくという。
 連携の具体化について、松尾総長は「三年ぐらいかかるだろう」との見方を示した。

 ◆名工大が工科大連合構想

 名古屋工業大は二十日、産業界との連携を強化し、工学教育を基盤とした単科大学として存続する「工科大学構想」をまとめた。全国の工科系大学との連携を模索、すでに約十の大学に構想を説明しているという。連携先の大学とは単位互換や教官の人事交流、学生交流などを検討している。
 会見した柳田博明学長は「技術立国の日本に工科大学は必要。産業集積地の名古屋で、工科大学連合の軸となりたい」と語った。愛知県内の国立大四校の連携については「工科大学連合と全く相いれないものではないが、(国立四大学で)総合大学のような形ではまとまりたくない」と話した。

 ■解説■

 ◆生き残りに協力不可欠
 ◆愛知・国立4大の連携 学内外議論、成功のカギ 

 愛知県内の国立四大学が二十日、大学間の連携について協議を始め、この地方でも、大学の再編・統合を巡る動きが本格化した。その背景には、今年六月、文部科学省が発表した「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)がある。同省は二〇〇四年度以降に、大学を国の組織から離し、独立行政法人化する方針を打ち出していたが、このプランでは、現在九十九ある国立大を大胆に再編・統合し、大幅に削減することとした。
 この後、学部数の少ない地方大や医科大を中心に、再編・統合の動きが加速し、すでに、九州大と九州芸術工科大、山梨大と山梨医科大などで、統合が進みつつある。
 愛知でも、プランの発表を受けて、それぞれの大学で再編・統合について検討を進めていて、四校の協議は、こうしたなかで、地域的連携の可能性の模索が始まったことを意味する。
 少子化で十八歳人口の減少は加速し、二〇〇九年には希望者全員が大学に入れる大学全入時代を迎えるといわれている。国立大も、限られた教職員や施設で、研究や教育の成果を挙げて、競争に生き残るには、大学間で、何らかの連携や協力は不可欠だ。
 東京では、東京医科歯科、東京工業、東京外語、一橋の在京四大学が今年四月、単位の互換や大学間での共同研究プロジェクト、編入学などを想定した「四大学連合」をスタートさせたが、途中で、東京芸大が参加を断念した経緯がある。愛知県の四校の場合は、旧帝大で総合大学の名古屋大が、他の三国立大に比べ、教員や予算規模でも圧倒的に大きいことや、地理的に離れているという事情がある。
 名古屋工業大は「四大学との連携と全く相いれないものではない」としながらも、工科系の単科大学連合の構想をを発表し、独自の生き残り策を打ち出した。一方、名大の松尾稔総長が「強い連携」として提案した教養教育の相互活用も、愛知教育大の田原賢一学長は「可能性はある」としながらも、「各大学の専門が異なるので、かなりの協議が必要」と語るなど、具体化には課題が多い。
 学長自らがテーブルについた意味は大きいが、実りある連携にするには、学内での意見交換や大学間の利害調整など精力的な議論が不可欠だ。
(井沢 夏穂)


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