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新潟大学職員組合は、本日、下記の文章を「パブリック・コメント」として文部科学省に送信しました。
                                      中執委員長   谷本盛光

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文部科学省高等教育局大学課大学改革推進室 殿 

 新しい「国立大学法人」像について(中間報告) に対する意見
1  新潟大学職員組合
2  新潟大学
3  新潟市五十嵐2の町8050
4  電話番号 025 262 6096
5  意見

新しい「国立大学法人」像について(中間報告)の意見を以下にのべます。

はじめに
 
 私たち新潟大学職員組合は、これまで独立行政法人に反対の立場をとってきましたが、とりわけ、通則法にもとづく独立行政法人に強く反対してきました。文部科学省および国立大学協会におきましても通則法にもとづく独立行政法人あったと理解しております。
 このたび「国立大学法人」案の中間報告が公表されましたが、この案の法的性格はどこにも明記されていません。内容でいいますと、たとえば、中期目標を策定するのは文部科学大臣となっており、通則法にしばられています。はじめに、この案の法的性格を明確にして提起すべきでです。

 この中間報告全体を通して、管理運営をいかに効率よくすすめるかと言う方向に力点がおかれ、大学の学生教育をどのように充実するかという点は軽く扱われています。
21世紀の大学のあり方を示す案と自負するならば、教育と研究を中心にすえた議論をすべきです。

以下、各章ごとに意見を簡潔に示します。
 
I 基本的考え方について
 
(1) 大学の「自主性・自律性」をいいながら、一方でトップダウンの体制を推進するとしている。多数の学外者が大学の運営にかかわることから考えると、教育と研究の「自主性・自律性」を実現することは困難であろう。この案では、「自主性・自律性」は単なるうたい文句にすぎなくなっている。

(2)大学間の再編・統合など「遠山プラン」の考え方を「検討の視点」に盛り込むことは、 個性豊かな大学作りの方向に障害となる。再編・統合は「教育と研究」上の必然性によって行われる場合に実りあるものになり、「国立大学法人」案が各大学に強制するものであってはならない。

(3)重点的な資源配分のような競争原理は、目標を一定の方向に誘導することになり、目標の画一化がおこるため個性豊かな大学作りの方向に障害となる。

(4)トップダウンの意思決定は、現場サイドの改革を無視する可能性が大きく、実態に応じた大学の教育・研究改革を実現することができない。

II 組織業務について

(1) 大学では「教育と研究」が中心に位置するものであり、経営手腕以前に、「教育と研究」を全般的に理解できる人物が学長に相応しいことを始めに明示すべきである。大学は営利追求の企業ではない。

(2)強いリーダーシップは、教育と研究の現場からのボトムアップあってこそ発揮できる。それがなければ、強いリーダーシップは単なる専制的運営であり、短期的にみると効率的であっても、中・長期的にみると混乱が生じ、大学運営に不適である。
ボトムアップが一言も触れられていないのは、この案の致命的欠陥である。

(3)運営は 民主的大学運営が基本である。そのためには運営に参加するものの責任が厳しく問われなくてはならない。学外者が運営に参加する場合は、その責任の所在をあきらかにすべきである。

(4)運営について、「監事」という制度が新しく作られる。2人の監事のうち、一人は文部科学大臣によって任命される。このように大学内に常勤となり、大学の運営に強い発言力をもつ監事という制度が取り入れられれば、大学の自主・自律性が維持できるとは到底考えられない。


III 目標評価について

(1)中期目標は文部科学大臣が策定するとなっている。大学の本来の役割である「教育と研究」の立場にたって議論するならば、中期目標は各大学自身が策定するものとなるはずである。また、大学自身が中期目標を策定するにしても、規制の緩やかなものにすべきである。

(2) 国立大学評価委員会を文部科学省のなかに作るとされているが、「学問の自由」の原則からして、教育と研究の評価は政治判断がはいるべきではないことは明らかである。したがって 評価委員会は政府や文部科学省と独立した判断をする機関とすべきである。

IV 人事制度について

(1)  大学の教職員の身分のありかたは、大学での本務である教育・研究という原理的な視点から決められるものであって、個別の制度設計のつみあげから決定すべきものではない。例外的なものがある場合は、例外として議論すべきである。

(2)  教育公務員特例法は、「学問の自由」という点から、各大学での自主性を尊重するため作られた法律である。「国立大学法人」はこの法律は踏襲すべきである。

(3) 任期制については97年の衆参両院での付帯決議があり、財政誘導するのは国会決議に反するものである。「任期付き教員の給与を優遇する」はこれにあたるので、これは削除すべきである。

VII  関連するその他の課題について

 トップ30を育成するという「遠山プラン」の考え方を「国立大学法人」案に結合させることは大学のランク付けをいたずらにあおるだけであり、個性豊かな大学作りの方向に障害となる。

 





 


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独行法反対首都圏ネットワーク                               

☆新しい「国立大学法人」像について(中間報告) に対する意見(新潟大教職組)
  2001.10.27 .新潟大学教職員組合
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