独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の再編・統合等について(国大協・理事会・将来構想WG01.08.30)
2001. 9.5 [reform:03698] 資料「国立大学の再編・統合等について」

  以下は、長8月30日に開催された国立大学協会将来構想ワーキング・グループにおいてまとめられた資料「国立大学の再編・統合等について」で、『東京新聞』2001年8月31日付が報道したものです([reform:03693])。
この資料は[reform:03671] において配信した素案に前文を加え、一部修正したものです。削除の箇所は( )、修正箇所は下線で示しました。9月4日付けで各大学長に送付されています。WGでは「これがほぼ最終案に近いと考えている」そうです。
               9月5日 大学改革情報ネットワーク

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   国立大学の再編・統合等について

   (国大協・理事会・将来構想WG01.08.30)

 我が国の国際的な産業競争力の強化・経済の活性化と財政改革の観点からの構造改革の一環として、「遠山プラン」が提案され、その中で「国立大学の再編・統合等」が提起された。
 国としての、理念・意義、具体的内容が提示されていない中で、再編・統合が個々の国立大学の議論にゆだねられている現状は、我が国の将来に禍根を残すことにもなりかねない。当面する構造改革の如何に拘わらず、国立大学の再編・統合等は、次代を担う有為な人材の育成、未来の社会に寄与する知的創造とその成果である学術の形成と発信、地域の学術文化の拠点としての大学の本来的使命に基づき、大学が未来の社会に寄与する観点から推進している大学改革の選択肢の一つとして検討すべき課題である。
 この観点から、国立大学協会理事会将来構想ワーキング・グループは、当面の緊急課題となっている「国立大学の再編・統合」の問題について、各大学がこの問題を検討する際の参考となり得る資料を作成した。

                記

1 再編・統合を検討するにあたっての前提
1−1 自発性・自主性
・再編・統合は、それぞれの大学の将来展望の中で、大学の自発性、自主性に基づいて進められなければならない。
1−2 新たな価値の創出
・再編・統合の計画は、高等教育、学術研究の基盤を強化し、新学問領域を創造するなど、その発展に資する新たな価値を生みだすようデザインされなければならない。

2 意義のある再編・統合
2−1 充実した教育機会の提供
・全学共通教育をはじめ学部専門教育、大学院教育などにおいて、互いに十分でなかった部分を補うことによって、学生に対しより充実した教育機会を提供することが可能になる。
2−2 学術研究における補完性、創造性
・互いに欠けている部分の補完、重複する部分の再編によって、研究基盤を強化し、新たな研究の可能性を創出する。
2−3 大学の特色・個性の強化
・上記2項目に関連する教育・研究において、明確な目標・計画を立てて実行することにより、各大学の特色・個性が強化される。
2−4 国際競争力の向上等
・特色ある大学を作り出し、国際競争力を向上させる等、大学の発展につながる。
2−5 知的拠点・社会貢献の機能強化
・社会における大学の役割を高めるとともに、大学が知的文化の拠点として、さらなる地域の発展の核となりうる。
2−6 人的・物的資産の有効活用
・教育・研究や管理運営において、それぞれの大学が有する人的・物的資産の有効な活用を図ることができる。
3 再編・統合を考える場合の具体的諸問題
3−1 再編・統合の形態
・種々の形態が考えられるが、この問題については、各大学が自主的に考えることである。
3−2 年次計画的な自己改革
・教育・研究や管理運営で重複する部分の有効利用を可能にする組織の編成等については、あらかじめ統合後の年次計画を立てて段階的に実行する必要がある。
3−3 人文学・社会科学系の強化
・国立大学の役割から考え、理工学系分野と共に人文・社会科学系分野の釣り合いのとれた発展と教育・研究がより活性化するよう配慮することが必要である。
3−4 単科大学などの独自性
・独自の専門領域だけを有する大学については、再編・統合によって、その存在が埋没することのないように配慮することが必要である。
3−5 公立大学を含めた問題
・互いに大きな利点があると考えられる場合については、十分な協議の上で公立大学を含めた再編・統合もありうる。

4 避けなければならない再編・統合
4−1 明確な理念なき再編・統合
・明確な目的なき位置的関係(注:素案では地理的要因)だけの統合・複数大学を単純に一つに束ねるだけの統合
4−2 (削除:学術分野の適切なバランスを崩す恐れのある再編・統合)明確な目的なしに特定の分野を肥大化させ(削除:て、大学としてのバランスを欠如さ)せる恐れのある再編・統合
4 −3  地域社会との連携や貢献が後退するような再編・統合
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注:変更は、前文挿入と修正箇所下線で示す。


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