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「国立大学法人」案 競争原理盛り込む 文科省検討会議が中間報告
2001 .9.28 [he-forum 2612] しんぶん赤旗 2001,9,28

しんぶん赤旗 2001,9,28

「国立大学法人」案
競争原理盛り込む
文科省検討会議が中間報告


 国立大学の独立行政法人化を一年にわたり検討してきた文部科学省の調査検討会議 (座長:長尾真京都大学学長)は二十七日、中間報告「新しい『国立大学法人』像に ついて」をまとめ、同省高等教育局長に手渡しました。

 報告は、国立大学を国を設置者とする「国立大学法人」(仮称)とし「国立大学法 人法」(仮称)等をつくり各大学に独立した法人格を付与するという法人化の枠組み をまとめたものです。その基本的考え方を「第三者評価」に基づく重点投資など「競 争原理の導入」、大学運営の「経営責任の明確化」などとしています。
 各大学の教育・研究の長期目標は、国の「政策目標」に沿うことを要求。
 さらに大学は中期目標案を文科相に提出し、文科相が策定します。その達成度を 「国立大学評価委員会」(仮称)が評価し、国から大学への「運営費交付金等の資源 配分」に反映させます。
 大学の組織形態として、学長の「リーダーシップ」「経営手腕」を重視し「トップ ダウンによる意思決定」のしくみを作るとしています。また、「産学官連携」を進 め、副学長などの役員、「評議員会」(仮称)などに学外者を大幅に参画させ、学長 の選考にも関与させるとしています。
 教職員の人事面では、「弾力化」の名の下に「公務員型・非公務員型」の両論を併 記。教員の兼職・兼業の緩和、年俸制、任期制、裁量労働制など、民間型の人事管理 を進めるとしています。
 最終報告は今年度内にもとめる予定です。


解説
「民間的経営手法」を導入


 文部科学省は、国立大学について「大学の特性に配慮しつつ独立行政法人化する」 とし、有識者による調査検討会議を設けて検討をすすめていました。今回の中間報告 は、大学関係者の強い反対にもかかわらず、独立行政法人のしくみをふまえたものに なっています。各大学の中期目標を文科相が策定し、その達成度を文科省におく国立 大学評価委員会(仮称)が評価し、その結果を国から各大学に配分する運営交付金に 反映させます。

 同時に、中間報告は、小泉内閣の「骨太の方針」(六月二十六日)が「大学運営に 外部専門家の参加を得、民営化を含め民間的発想の経営手法を導入」としたことか ら、学長選考への学外者の参画や、副学長などの役員や学内組織への学外者の登用な どをうちだしました。教職員の人事や処遇のあり方も、このような各大学の民営的な 運営体制のもとできめることになり、大学教員の身分を保障している教育公務員特例 法の適用を、事実上はずすことにつながるものです。
 教職員を非公務員とする道もひらこうとしています。これらは、一九九九年九月に 独立行政法人化を文部大臣(当時)が表明した時の「検討の方向」にさえみられず、 小泉「改革」のもとで具体化されました。
 中間報告がうちだした「国立大学法人化」は、大学への政府の監督と関与を強める もとで、大学への競争原理の導入をすすめ民営化をねらうという、自民党流「大学改 革」をいっそう加速させるものです。
 
 高等教育の充実に必要なことは、各大学の自主的創造的な改革を支援し、欧米諸国 の半分に満たないわが国の高等教育予算を抜本的にふやすことです。



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