<九州大学長選>選管委員らが特定候補への投票勧めるメール
毎日新聞ニュース速報
福岡市西区元岡地区へのキャンパス移転問題が注目された九州大学長選は、候補者の所信を公式に表明する機会がなかった。代わって水面下で、電子メールを使って候補者の推薦文などが流れた。選挙管理委員会の委員名の推薦文も流れ、選管委員の選挙活動に疑問の声も上がった。 【青島顕】
14日の本選第2回投票直前、移転推進派の梶山千里・工学研究員教授への投票を勧めるメールが、農学部の講師以上の全有権者約115人に送られた。差出人は選管委員の今泉勝己・農学部教授(56)と評議員の古賀克己・同学部教授(61)の連名だった。
「現段階で移転見直しの論議をするだけで、九大の存続そのものが危うくなる恐れが充分(じゅうぶん)にあります。これは九大の危機です」との理由で「梶山教授への投票を強くお勧めします」。
受け取った農学部のある教官は驚いた。非公開の本選第1回投票の得票順が書いてあった。メールが送られたのは有権者の約1割だが「選挙に影響があったことは明らかだ」と、この教官は批判する。本選第2回投票では、第1回の得票順通り、梶山教授が小宮山荘太郎・医学研究院教授を破り当選した。
第1回投票結果を知る立場にあった今泉教授は「評議員が書き、私が同意したが、得票順は教えていない。棄権をしないようにとの呼びかけのつもりだった」。古賀教授は「私が書いたが、事情は大学側に聞いてほしい」と話す。広報委員長の柴田洋三郎副学長は「順位を書いたのは勘違いだと聞いている。特に問題にはしない」と言う。
背景には、移転問題などを巡る表立った論戦が杉岡洋一・現学長の方針で行われなかったことがある。見直し派からは、この方針を疑問視するメールも送られた。見直し派のある教官は「言論の封じ込めだ。学長や移転推進派は論戦になると困るのだろう」と憤る。これに対し柴田副学長は「立候補制でなく他薦の選挙だから、所信表明はなじまない」と話す。
九大では選管委員は評議員の互選で10人が選ばれ、選挙活動は禁じられていない。柴田副学長は「(予備選段階で)他の選管委員も特定候補を推薦するメールを送っていた。私も受け取った」。どちらの立場の候補かは明らかにしていない。
九大学長選
第1次予備選挙で候補者を15人に絞り、第2次予備選挙で5人とする。本選挙では第1回投票で過半数に達した候補者がいなかった場合、上位2人による決戦投票をする。有権者は予備選1次は助手以上、2次は評議員。本選挙は講師以上1435人。
[2001-09-26-00:15]
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