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☆学長裁量費減額−汚名返上へ一層の大学改革を 
2001.9.6  [he-forum 2493] 北國新聞社説09/06 

『北國新聞』社説2001年9月6日付

学長裁量費減額−汚名返上へ一層の大学改革を

 入試判定ミスが明らかになった富大、金大、山形大に対し、文部科学省は「教育改善推進費(学長裁量費)」の配分額を大幅に減らす方針を決めた。裁量費は学長の一存で使途を決めることができる経費で、同省によると減額は入試ミスに対する懲罰的な措置である。
 裁量費の主な狙いは、学長のリーダーシップの下に取り組む全学的な教育研究システムや人材の確保など組織運営体制の整備である。三大学は、裁量費の使われ方を点検し、再編統合、民間の経営手法の導入など、今焦眉となっている大学の構造改革を中心に積極的に役立てて、汚名の返上に汗を流してもらいたい。
 各大学の入試採点ミスに共通する背景には、入試に対する無関心さがある。国立大の教員の給与は国丸抱えであり、研究に忙しいこともあって優秀な学生を獲得したいという熱意に乏しくなりがちだ。こうした無関心さや研究重視の意識は、この十年、大学改革の必要性が叫ばれながら遅々として進まないことと無縁ではあるまい。
 一方、社会の変化に積極的に対応してほしいという国民の大学への期待は大きい。この期待に大学が積極的にこたえるための財政的な手だての一つとなるのが学長裁量費である。
 この十数年、大学改革の重要な答申ごとに、すべての国立大学に配分される学長裁量費は総額で急激に増加した。例えば、大学改革の出発点となった大学設置基準の大綱化や自己点検・評価の導入を打ち出した大学審議会の答申(平成三年)の翌年には約十七億円と前年に比べほぼ倍増した。また面接重視のAO入試など大学入試の多様化を打ち出した一連の中教審答申(平成八、九年)の翌年には百四十一億円と三倍増にはね上がっている。
 しかし、その使われ方には、AO入試評価基準の調査研究、大学・地域連携の実証研究など裁量費の趣旨を生かした配分をしている大学も多いが、中には個々の遺伝子研究、半導体研究に配分しているケースもあるという。
 三大学の場合も、裁量費の趣旨を踏まえ、全学的な視野に立って有効に使われているかどうか点検し、国民の期待にこたえてもらいたい。


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