独行法反対首都圏ネットワーク

仙道富士郎次期山形大学長に聞く
2001.8.31 [he-forum 2461] 山形新聞08/31

『山形新聞』2001年8月31日付

仙道富士郎次期山形大学長に聞く

 今春までの5年間にわたる山形大工学部の入試判定ミスに伴い、引責辞任する成沢郁夫学長の後任として、仙道富士郎医学部長が1日付で学長に就く。新たな合格者に対する補償問題、文部科学省が打ち出した国立大の構造改革方針(遠山プラン)などへの対応について、就任直前の考えを聞いた。(聞き手・古頭哲報道部主任)
 ―国立大を取り巻く環境はかつてないほど厳しく、その中で重大な入試判定ミスが発生した。多難な船出になりそうだが。
 「選出された以上、山形大再生に向けて具体的な方策に取り組んでいく。外に目を向ければ、非常に早いスピードで大学の変革が起ころうとしており、的確に対応しなければならない。(判定ミスの事態収拾に追われた)ここ数カ月のロスを取り戻していく。長期的には、豊かな自然と温かい人情に恵まれた山形という風土に合った大学づくりを推進し、じっくり物を考えることができる学生を育てていく」
 ―新たな合格者に対する慰謝料の問題は、なかなか見通しが立たない。
 「国公立大の合否ミスで支払った例がなく、弁護士や学内の法律専門家の助けを借りて、誠心誠意やる以外にない。文部科学省と交渉を進めているが、いつまでも未解決のままではいけない。問題点を整理して、できるだけ早く解決したい」
 ―経済的な補償は年内に方針を決定するというが、慰謝料はどうか。
 「慰謝料の方向性は年度内に出さなければいけない。年度を越すようなことはしたくない。経済的な補償と同時並行的な作業が望ましいが、時期的にはややずれが生じるのではないか」
 ―期限をすぎても、依然として入学態度を明確にしていない新たな合格者がいるが。
 「受験年度別に見ると、かなり古い人たちが多い。心理的、経済的に事情があり、判断が非常に難しいと思うが、後期の授業開始までには時間がある。粘り強く回答を待ちたい」
 ―近く学内にワーキンググループを発足させるというが、どのような組織にするつもりか。
 「国立大独立行政法人化の流れに対応するのが目的で、今までは学長が委員長、各学部長が委員の設置形態検討特別委員会で、法人化に向けた検討をしてきた。それを基本にしながら、シンクタンクのような組織に発展させる。時間的に切迫しており、学長、副学長とともにじっくり討議できるメンバー構成にし、国立大の法人化や再編・統合の流れに対応していく」
 ―全国各地で大学の統合が進んでいるが。
 「もちろん視野に入れなければならない。国が(国立大の再編・統合を大胆に進める方針を)打ち出してきている」
 ―近い将来の学部統合は。
 「難しい問題だが、少なくても小白川キャンパス内の3学部(人文、教育、理)をこれからどうするかということは、検討課題にする必要がある。必ずしも統合ということではないが、多くの関係者が変化の必要性を感じている。教
養教育をより発展させることも忘れてはいけない」
 ―記者会見で地域との連携を重視する姿勢を強調したが、具体的に取り組もうとしていることは何か。
 「山形には少子高齢化社会の典型的な社会構造がある。例えば医学部は、高齢化に伴う疾病や介護の課題解決に貢献できる。少子高齢化をテーマに、全学的なプロジェクトが可能になる。県をはじめとする行政から、3年や5年の任期で教授、助教授を迎えることを考えている。研究への行政関与はもちろん、情報を発信するためにはマスコミとの連携も欠かせない。県内全体を巻き込んだ取り組みに発展させる」


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