独行法反対首都圏ネットワーク


☆国大協理事会ワーキング・グループの活動状況等について(報告)9/4 
2001.9.25 独行法反対首都圏ネット事務局

国大協総第96号
平成13年9月4日

各国立大学長殿

国立大学協会副会長
将来構想ワーキング・グループ座長
松  尾   稔

理事会ワーキング・グループの活動状況等について(報告)

このことについては、最近の諸情勢の急激な変化を考慮して、本WGの会合を開く都度、できるだけ早く会合での議論の内容と方向について各学長にお伝えすべく、未だ審議途中の案件についても未定稿の配付資料とともにお送りしております。
今回(第5回)のWGでは、前回に引き続いて「国立大学の再編・統合について」検討し、(別添1)のとおり参考となる資料(第2版)を取りまとめました。この案は、WGとしては最終案に近いものと考えておりますが、今後理事会において最終的な承認を得た上で、有効かつ適切に取扱いたいと考えております。
なお、そのほか(別添2)として第5回のWG会合の議事メモや未定稿の配付資料も併せて送付いたしますので、ご活用くださるようお願いいたします。
おって、本WGでは、今後文部科学省の調査検討会に提示されている「中間報告案」について引き続き検討を加え、設置形態検討特別委員会との関係を整理しながら、本協会としての意見取りまとめ等を行うこととしております。ごのことについても、建設的なご意見があればお寄せ下さい。

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別添1
国立大学の再編・統合等について

(国大協・理事会・将来構想WG 01.08.30)

我が国の国際的な産業競争力の強化・経済の活性化と財政改革の観点からの構造改革の一環として、「遠山プラン」が提案され、その中で「国立大学の再編・統合等」が提起された。
国としての、理念・意義、具体的内容が提示されていない中で、再編・統合が個々の国立大学の議論にゆだねられている現状は、我が国の将来に禍根を残すことにもなりかねない。当面する構造改革の如何に拘わらず、国立大学の再編・統合等は、次代を担う有為な人材の育成、未来の社会に寄与する知的創造とその成果である学術の形成と発信、地域の学術文化の拠点としての大学の本来的使命に基づき、大学が未来の社会に寄与する観点から推進している大学改革の選択肢の一つとして検討すべき課題である。
この観点から、国立大学協会理事会将来構想ワーキング・グルーブは、当面の緊急課題となっている「国立大学の再編・統合」の問題について、各大学がこの問題を検討する際の参考となり得る資料を作成した。



1 再編・統合を検討するにあたっての前提
1−1 自発性・自主性
・再編・統合は、それぞれの大学の将来展望の中で、大学の自発性、自主性に基づいて進められなければならない。
1−2 新たな価値の創出
・再編・統合の計画は、高等教育、学術研究の基盤を強化し、新学問領域を創造するなど、その発展に資する新たな価値を生みだすようデザインされなければならない。

2 意義のある再編・統合
2−1 充実した教育機会の提供
・全学共通教育をはじめ学部専門教育、大学院教育などにおいて、互いに十分でなかった部分を補うことによって、学生に対しより充実した教育機会を提供することが可能になる。
2−2 学術研究における補完性、創造性
・互いに欠けている部分の補完、重複する部分の再編によって、研究基盤を強化し、新たな研究の可能性を創出する。
2−3 大学の特色・個性の強化
・上記2項目に関連する教育・研究において、明確な目標・計画を立てて実行することにより、各大学の特色・個性が強化される。
2−4 国際競争力の向上等
・特色ある大学を作り出し、国際競争力を向上させる等、大学の発展につながる。

2−5 知的拠点・社会貢献の機能強化
・社会における大学の役割を高めるとともに、大学が知的文化の拠点として、さらなる地域の発展の核となりうる。
2−6 人的・物的資産の有効活用
・教育・研究や管理運営において、それぞれの大学が有する人的・物的資産の有効な活用を図ることができる。

3 再編・統合を考える場合の具体的諸問題
3―1 再編・統合の形態
・種々の形態が考えられるが、この問題については、各大学が自主的に考えることである。
3−2 年次計画的な自己改革
・教育・研究や管理運営で重複する部分の有効利用を可能にする組織の編成等については、あらかじめ統合後の年次計画を立てて段階的に実行する必要がある。
3―3 人文・社会科学系の強化
・国立大学の役割から考え、理工学系分野と共に人文・社会科学系分野の釣り合いのとれた発展と教育・研究がより活性化するよう配慮することが必要である。
3―4 単科大学などの独自性
・独自の専門領域だけを有する大学については、再編・統合によって、その存在が埋没することのないように配慮することが必要である。
3―5 公立大学を含めた問題
・互いに大きな利点があると考えられる場合については、十分な協議の上で公立大学を含めた再編・統合もありうる。

4 避けなければならない再編・統合
4―1 明確な理念なき再編・統合
・明確な目的なき位置的関係だけの統合
・複数大学を単純に一つに束ねるだけの統合
4−2 明確な目的なしに特定の分野を肥大化させる恐れのある再編・統合
4−3 地域社会との連携や貢献が後退するような再編・統合
注:変更は、前文挿入と修正個所下線で示す。

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別添2

第5回将来構想ワーキング・グループ(議事メモ)

日 時  平成13年8月30目(木)14:00〜16:00
場 所  国立大学協会 会議室
出席著  長尾会長
松尾座長
石、山田、佐々木、佐藤、吉川、鮎川、池田各委員
川村専門委員

○ 議事に先立ち、座長から、「配付資料1」により、前回のおさらいと当目の検討を踏まえて取りまとめた「国立大学の再編・統合等について(素案)」について、8月17目付で各国立大学長に送付して意見を求めていることなどの、本日までの経過の報告が琳あった。また、8月9日開催の文部科学省・調査検討会議・連絡調整委員会に提示された〔「新しい「国立大学法人」像について」(中間報告)(案)〕(以下「中間報告案」という。)について、私立大学や財界等の委員からかなり厳しい意見があったことなどの紹介があった。


〔議事〕

1 国立大学の再編・統合等について(議題1)
○先に8月17目付けで、各国立大学長にも送付して意見を求めている「国立大学の再編・統合等について(素案)」を基に議論し、一部修正すると共に、鮎川理事、佐藤理事からの意見を基に議論した「前文」を付した参考資料第2版(別添1)を各国立大学長に送付することとなった。
なお、WGでは、これがほぼ最終案に近いと考えている。

2 国立大学の法人化について(議題2)
○会長から、本日午前中に開催された文部科学省の大学改革連絡会で「再編統合の論点メモ」と「中間報告案の概要」などの資料が配付されたので、議論の参考にされたい。また、後者については、「遠山プラン」を含んだ内容となっており、これまで議論されていないことが入っていたりして、全体としてニュアンスが変わって来つつあるような印象を受けるとの紹介があった。
(注)(文部科学省の資料については、別途送付(文科省の了解の上)されているので、それを参照願います。)
○座長から、「中間報告案」の取りまとめ日程をにらんで、本WGと設置形態検討特別委員会の関係を整理しながら、国大協としての意見を効果的な方法によって伝える必要がある。WGの検討スケジュールにも時間的制約があるので、本日は、@国の政策目標(グランドデザイン)と大学の長期目標 A法人化後の大学の組織形態 B学長選考等教職員の身分 について議論したいとの提案があった。

@について
佐々木理事から提出されている討議のためのメモにより議論された。「中間報告案」で使われている『「国の政策目標」(グランドデザイン)』について、「政策目標」とは多様なものであり、これを否定する必要はないが、最終目的ではないことから言えば「高等教育・学術研究のグランドデザイン」の下に大学の長期目標があるとの表現が適切であること、高等教育・学術研究の基盤充実のための施設整備などを含めた投資が必要であることなどの観点を含めて、佐々木理事が書き直し、次回までに再度提出することとなった。

Aについて
「中間報告案」のABC案について、吉川理事から提出されている資料により議論された。中間報告案のC案については、以前の案とは異なっていること、いずれの案であっても法制化する際の法文のテクニック的な要素がある。組織業務の分野で極めて重要な部分ではあるが、現段階では将来の可変性、大学の選択性を残せるよう、(図ではなく)弾力的文章で整理すべきことなどの意見が大勢であった。これらを踏まえ、問題の所在を明らかにしつつ、基本的な考え方を表せるような資料をまとめる方向で、吉川理事と鮎川理事が次回までに原案を作成することとなった。
(その後、吉川理事との打合せにより、座長も原案作成に参加することになった。)

Bについて
池田理事から提出された「配付資料3」に基づいて議論した。人事制度については、組織業務の形態にも大きく影響されるが、本WGがどの方向を選択するのかは、重要なキーとなる項目について基本的な考え方を決めることがまず必要であるとの認識となった。キーとなる項目(公務員型か非公務員型\学長の選考方法\学外者など)が持つ問題の所在を明確にしつつ、選択肢も可能な弾力性のある案を含む資料を池田理事と山田理事に次回に提出してもらうこととなった。
(山田理事は、併せて財務も補佐することとなった。)

3その他

○座長から、議題2の目標評価と財務会計を次回から中心に議論し、全てを10月末までに取りまとめたいとの提案があった。
なお、11月14,15日に総会が予定されているので、既に決めているWGの日程に加えて、12月7日(金)14:00〜に第9回目の日程を追加することとした。
(以上)
(その後の情報)
文部科学省は、9月6日の連絡調整委員会の後、省内等の調整を経て、「中間報告」を9月下句には公表し、広くパブリックコメントを求める予定であると聞いている。本WGは、出来るだけスピードを上げてやっているが、9月6日までに各項目に対するコメントを提出することは不可能である。あと3回(9月12日、10月1日、10月25日)でまとめようとしているので、9月6日までには間に合わない。
そのため、各界からのパブリックコメントとは別に、国大協・理事会の意見を10月中に提出するので、特別に重要視してもらいたい旨申し入れて、(口答ではあるが)了解を取っている。
その間に、臨時理事会(9月27日)・理事会(11月1日)が開催されること、設置形態検討特別委員会(9月19日)との関係も当然考慮したいことを申し添えたい。

(参考事項)
・資料1は、8月17日付けで各国立大学長あて送付した文書である。
・資料2は、「前文」のたたき台のため、添付を省略する。


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