独行法反対首都圏ネットワーク


☆9.6「中間報告(案)」分析メモ 
2001. 9.12 独行法反対首都圏ネット事務局

9.6「中間報告(案)」分析メモ
2001年9月12日
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
  9.6「中間報告(案)」(以下、9.6案)と8.9「中間報告(案)」(以下、8.9案)の異同については、9月9日に急ぎ発表した。その異同箇所をつぶさに分析
すると、この文科省の狙いの本質が今まで以上にいっそう鮮明に浮かび上がって来る。以下、その本質を5点にまとめてみた。検討の参考になれば幸いである。
1.8.9案への批判を意識して9.6案の[IV.人事制度 2.制度設計の方針 (2)選考・任免等]では「憲法」に基づく「学問の自由」と「大学の自治」
の言葉が現れるが、大学の自治を実定法上で保証する「教育公務員特例法」が葬り去られている。現在の独法化・法人化問題の本質的な狙いの一つは、教員の身分保証に基づく学問の自由と大学の自治を破棄することにある。9.6案はこの点を一層鮮明にさせたと言える。なお、「教育公務員特例法」の語は9.6案においては、1箇所を除いてすべて削除されているが、その1箇所も、「現行制度上、学長の任期は、再任の可否、再任を認める場合の任期を含め、教育公務員特例法により各大学が個別に定めている。」[IV .人事制度 2.制度設計の方針 (2)選考・任免等]というように、現行規定を解説したものである。
2.9.6案における[IV.人事制度 2.制度設計 (2)運営組織 (役員以外の組織)]の改変と補充は、事実上学外者によって担われる『役員以外の
組織』によって、経営を完全に掌握し、さらには教学への介入さえも行なうための布石である。9.  6案におけるA案、B案、C案の特徴の解説は、そのことをあからさまに表現しているとみるべきだろう。即ち、経営に学外者とともに教員が責任を負う場合は、教学にも学外者が責任を負う、つまり関与、干渉する。さもなくば、経営と教学を分離し、経営は学外者が責任を負い、教学は教員が責任を負う。この二者択一を要求しているのである。これが、学外者、実質的には官僚による大学支配、統制でなくて何であろう。
3.9.6案では[IV.人事制度 2.制度設計 (4)目的・業務(業務の範囲)]で産官学連携強化の項が追加され、『大学の構造改革の方針』(遠山プ
ラン)による“新産業創設機関化”が業務として定式化されている。即ち、「特に、近年、大学の教育研究の活性化や新産業の創出等への期待から、産学官連携の必要性が強く指摘されており大学自らの総合的・戦略的な判断に基づき産学官連携を推進することが重要である。」といった文章が新たに挿入されているのである。トップ30が選別され、重点投資されるのは、まさにこのためである。
4.大学共同利用機関については、8.9案では現在の運営を承認・評価していたのに対して、9.6案の[VI.大学共同利用機関 1.検討の視点]では「さらに広く社会に開かれた」運営体制を要求し、また、[2.制度設計の方針 (5)その他]で「機構的な連合組織」を口実に1機関1法人制を潰し、産総研方式の導入を企図している。
5.批判の強い「国の政策目標」という言葉を、9.6案の[III.目標評価 2.制度設計の方針 (1)国のグランドデザイン等と大学の長期目標]においては、「国のグランドデザイン等」に替えるなど、用語・表現等に変更が見られるが、本質は完全に維持されている。『大学の構造改革の方針』(遠山プラン)から容易に推測できるように、大学を新産業創設の国策遂行機関に完全に変質させ、中期目標―中期計画―評価―資源配分のサイクルによって、その統制を貫徹し、淘汰選別を行い、統合、再編、廃止を進めること、これが「グランドデザイン」に他ならない。



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