独行法反対首都圏ネットワーク

「国立大学将来構想ワーキンググループ報告」の一部
2001.8.23 [he-forum]2418?

高等教育フォーラム 各位         8/22/01

            山形大学理学部 品川敦紀

「国立大学将来構想ワーキンググループ報告」の一部をご紹介いたします。

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                 国大協総第 85号
                 平成13年8月17日
各国立大学長 殿
             国立大学協会副会長
             将来構想ワーキング・グループ座長
                   松尾 総

  理事会ワーキング・グループの活動状況等について(報告)

 既にご報告しているとおり、当ワーキング・グループ(以下「WG」と略称。)では、当面の緊急課題として「国立大学の再編・統合」の問題に関し、各国立大学の自発性、自主性を尊重しつつ、既に当事者となりつつある大学や今後当事者になるかも知れない大学がこの問題を検討する際の参考となりうる資料を作ることに取り組んでおります。
 会合では、参考資料を早急にまとめることで意見が一致しておりますが、この問題への対応を巡っては情報不足もあって、各大学の現場では既にかなりの混乱が見られるとも仄聞いたします。このため、当WGにおける検討過程の考え方についても各大学長にお示しすることとなりました。
 この検討過程案(別添1)は、去る8月8日に開催した第4回WGにおける検討結果を基に取りまとめた未定稿の素案ではありますが、これをお迭りするのは、単にご参考のためだけではなく、各国立大字が自らの問題として関心を持ち、一体となって考えていただく必要性を強く感じているからであります。各学長におかれましては、当WGの活動、特にお送りした(別添1)に関し、建設的なご意見をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 なお、「再編・統合」問題を提起した「遠山ブラン」そのものに対する国大協としての捉え方などについては、この参考資料の総論として扱うのか、別途に検討し公式に意見を表明するのかなどについても、今後検討することとしておりますので、念のため申し添えます。
 おって、第4回WG議事メモと当日の会合での配付資料(別添2)を添付しております。このうち、議題2に関する配付資料(別添2・資料2)については、会合での議論の叩き台として各担当理事が作成された未定稿のメモ的なものであり、(別添1)と同様、今後の議論により進化性を有するものでありますから、学内でのご活用に当たってもそのようにお取り扱いをいただきたく存じます。
 いずれにいたしましても、当WGの審議状況は速やかに情報提供として、各大学にお送りする予定です。また、既にお送りしてある「WGの議事メモ1〜3」と「資料等」も併せてこ参考いただけれぱ幸いです。

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  第4回 将来構想ワーキング・グループ(議事メモ)

  日 時 平成13年8月8目(水)14:00〜16:00
  場 所 国立大学協会 会議室
  出席者 長尾会長
      松尾座長
      石、山田、往々木、佐藤、吉川、鮎川、池田各理事

○ 議事に先立ち、座長から、理事会構成員・各国立大学長に対して、本WGの議事メモ及び配付資料を送付済みだが、今後も積極的に情報を流していきたい旨の発言があった。

〔議 事〕

1. 国立大学の再編・統合等について(議題1)

○「国立大学の再編・統合等について(第1次案)」(資料1)について、座長から、原案作成に当たって留意したことなどの説明があった後、事項を絞らず原案全般について自由な意見交換が行われた。

○ 討議においては、「トップ30」問題などを含めこの問題を提起した「遠山プラン」そのものについて国大協としてどの様に捉えるのか、前文のような形で触れる必要があるのではないか、再編・統合の意義に関しては、単に削減や効率化、種別化ではなく大学の特色・個性を強化する方向で考える必要がある、公立大学などとの関係では表現に留意する、単科大学の独自性などにも配慮する、国立大学が地域に果たしてきた役割の重要性など社会的な役割についても具体的に触れる、などの意見、指摘があった。

○ なお、これらに関連して、これまで国大協として法人化や「遠山プラン」など大きな課題に関して公式な態度を表明していないが、基本的なスタンスを示したうえで具体的な問題への対処を示した方が効果的ではないか、大学の現場では情報不足が原因で不安感をもっており、その解消のためにも臨時総会の開催なども効果的ではないか、しかし、そのためには理事会としての考え方等を整理して国大協一体としての対応が必要ではないか、臨時理事会を開催して整理すべきではないかなどの意見があり、この取り扱いについては会長に一任した。

○ これらの意見等を踏まえて座長から、国大協としての総論的な見一解等については、このぺーパーとは別の形でとりまとめを行うことも視野におく。しかし、当WGの全ての仕事が終わるのを待って、各大学に意見を求めるような時間的余裕のある状況ではない。たとえ途中のものであっても出来るだけ速やかに、その都度、その都度の情報を各大学へ提供した方が良い。本日の「資料1」に関する具体的な修正意見については、石副会長、奥野・川村両専門委・員の協力を得て、構成全体を含めて松尾(座長)が加除修正し、審議途中の未定稿のものであることを断って各大学長にも送付(これが別添1)して意見をもらい、次回8月30日には成案にしたいとのまとめがあった。

2. 国立大学の法人化について(議題2)

○ 吉川理事から「法人化後の大学の設置形態について- 国立大学改革の目標、課題等からの評価」(資料2−1)、池田理事から「学長の選考等、教職員の身分」(資料2−2)について説明があり、これらの説明の内容の質疑を含めて自由な意見交換が行われた。

○「学外者」には「外国籍の者」を含むのかなどの定義や「相当数」などが相変わらず曖昧であり、これらを厳格に解釈されると適切な人材のリソースとの関係で管理運営の体制に影響してくるので、明確にする必要がある、公務員・非公務員問題は、倫理法との関係が推測されるが整理する必要がある、監事の職務内容をはっきりさせる必要がある、などの意見があった。
 なお、これらのことは、明日の午前中に開かれる文部科学省の調査検討会議連絡調整委員会における「中間まとめ(案)」の討議にも深く関連するであろう。

○ また、文科省の「中間まとめ(案)」に対する国大協としての今後の対応に関しては、設置形態検討特別委員会と本WGとではその役割を異にするので、それぞれの立場から併行して検討し、必要に応じて意見をまとめ、文科省が求めるパブリックコメントとしての対応のみでなく、効果的な形で文科省に申し入れることを確認した。

3. 今後の進め方について

○ 次回(8月30日)までは「再編・統合」(議題1)に関する参考資料の取りまとめを中心として作業を進め、それ以降は、国立大学法人化の問題(…議題2)を中心に検討するが、明日の文科省の調査検討会議連絡調整委員会に提出される「中間まとめ(案)」の内容によっては、当WGとして現在子定している検討事項が追加されることもあることを確認した
。                以上

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                       別添1

   国立大学の再編・統合等について(素案)

   (国大協・理事会・将来構想WG01.08.08)

1 再編・統合を検討するにあたっての前提

1−1 自発性・自主性・再編・統合は、それぞれの大学の将来展望の中で、大学の自発性、自主性に基づいて進められなければならない。

1−2 新たな価値の創出・再編・統合の計画は、高等教育、学術研究の基盤を強化し、新学問領域を創造するなど、その発展に資する新たな価値を生みだすようデザインされなければならない。

2 意義のある再編・統合

2−1 充実した教育機会の提供・全学共通教育をはじめ学部専門教育、大学院教育などにおいて、互いに十分でなかった部分を補うことによって、学生に対しより充実した教育機会を提供することが可能になる。

2−2 学術研究における補完性、創造性
・互いに欠けている分野を補うことによって、新たな研究の可能性を創出する。

2−3 大学の特色・個性の強化
・上記2項目に関連する教育・研究において、明確な目標・計画を立てて実行することにより、各大学の特色・個性が強化される。

2−4 国際競争力の向上等・特色ある大学を作り出し、国際競争力を向上させる等、大学の発展につながる。

2−5 知的拠点・社会貢献の機能強化
・社会における大学の役割を高めるとともに、大学が知的文化の拠点として、さらなる地域の発展の核となりうる。

2−6 人的・物的資産の有効活用・教育・研究や管理運営において、それぞれの大学が有する人的・物的資産の有効な活用を図ることができる。

3 再編・統合を考える場合の具体的諸問題

3−1 再編・統合の形態・種々の形態が考えられるが、この問題については、各大学が自主的に考えることである。

3−2 年次計画的な自己改革
・教育・研究や管理運営で重複する部分の有効利用を可能にする組織の編成等については、あらかじめ統合後の年次計画を立てて段階的に実行する必要がある。

3−3 人文学・社会科学系の強化・再編・統合にあたっては、国立大学の役割から考え、理工学系分野と共に人文・社会科学系分野の研究がより活性化するよう配慮することが必要である。

3−4 単科大学などの独白性・独自の専門領域だけを有する大学については、再編・統合によって、その存在が埋没することのないように配慮することが必要である。

3−5 公立大学を含めた問題・互いに大きな利点があると考えられる場合については、十分な協議の上で公立大学を含めた再編・統合もありうる。

4 避けなければならない再編・統合

4−1 明確な理念なき再編・統合
・明確な目的なき地理的要因だけの統合・複数大学を単純に一つに束ねるだけの統合
4−2 学術分野の適切なバランスを崩す恐れのある再編・統合
・明確な目的なしに特定の分野を肥大化させて、大学としてのバランスを欠如させる恐れのある再編・統合

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                別添2 資料1

   <第4回将来構想WG:2001.8.8>

 国立大学の再編・統合等について(第1次案)(文責:松尾)

1 再編・統合にあたっての基本的前提

○ 自発性・自主性
・再編・統合は、それぞれの大学の将来展望の中で、大学の自発性、自主性に基づいて進められなければならない。

○新たな価値の創出
・再編・統合にあたっては、高等教育、学術研究の基盤を強化し、新学問領域を創造するなど、その発展に資する新たな価値を生みだすようデザインされなけれぱをらない。

○ 国際競争力の向上等
・統合・再編によって、特色ある大学を作り出し、国際競争力を向上させる等、大学の発展につながるものでなけれぱならない。

○ 社会的役割の強化
・再編・統合は、大学の社会的役割を高めるものでなければならない。

2 再編・統合の意義

○学生に対する充実した教育機会の提供
・全学共通教育をはじめ学部専門教育、大学院教育において、互いに十分でなかった部分を補うことによって、学生に対しより充実した教育機会を提供する。

○ 学術研究における補完性、創造性
・互いに欠けている分野を補うことによって、新たな研究の可能性を創出する。

○ 大学の特色・個性の強化
・教育・研究において、各大学の特色・個性を強化する。

○ 人的・物的資産の有効な活用
・教育・研究、管理運営において、それぞれの大学が有する人的・物的資産の有効な活用を図る。

3 具体的諸問題

○ 再編・統合の考えられる形態

○ 年次計画的な自己改変
・教育研究部門や管理運営部門で重複する部分については、年次計画によって、漸次、縮減するよう、あらかじめ計画を立てておく必要がある。

○ 学部教育と大学院教育への重点比等
・各大学においては、学部教育に重点を置く大学になるか、大学院に重点を置く大学になるか、あるいは他の個性化を図るかなどについて明確な方針を立てる必要がある。

○ 公立大学を含めた再編・統合
・互いに大きな利点があると考えられる場合など、必要に応じて公立大学を含めた再編・統合も視野に入れる。
・国立大学が再編・統合を済ませた後に、引き続き公立大学との再編・統合を行うことについては、当該国立大学に無用の混乱を生じさせるなどの困難も予想される。こうした場合にあっては、それを同時期に考えることが望ましい。

○ 人文科学・社会科学系の強化
・再編・統合にあたっては、理工学系分野と共に、人文・社会科学系分野の研究がより活性化するよう配慮することが望まれる。

○ 芸術系大学などの独自性
・単科大学にあっても、芸術系大学など独自の専門領域だけを有する大学については、再編・統合によってその存在が埋没することのないように配慮することが望まれる。

4 避けなければならない事柄

○ 明確な理念なき再編・統合
・明確な目的なき地理的要因だけの統合複数大学を単純にひとつに束ねるだけの統合

○ 明確な目的なしに特定の分野を肥大化させて、大学としてのバランスを欠如させる恐れのある再編・統合

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