法科大学院、52校が予定
2001.8.17 .[he-forum 2393] 法科大学院、52校が予定(読売新聞)
法科大学院、52校が予定
読売新聞ニュース速報
新たな法律家養成の道となる法科大学院(ロースクール)の開設を予定している大学が全国52校にのぼることが、読売新聞社の調査で明らかになった。法学系学部を持つ全国の国公私立104大学にアンケートを実施した。「検討中」も33校あり、両者を合わせると、回答を寄せた90校(回収率86・5%)の9割以上が設置に意欲を見
せている。
しかし、具体的な準備は手つかずの大学が多く、政府から設置基準がいまだに明らかにされていないことに不満の声も強い。2004年度の開設に向け、政府は早急に具体的な青写真を提示することが求められている。
調査は、各大学の法学部長ら担当者に、用紙に記入してもらう形で行った。法科大学院の設置予定について、「ある」「検討中」「ない」の3つから選んでもらったところ、「ある」と答えたのが、国公立21校、私立31校、「検討中」が国公立3校、私立30校だった。うち、2004年度からスタートさせたいとしたのが国公立で23校、私立で38校に上った。また一部では、地域の複数の大学が協力して設置する連合大学院構想を模索していた。
1学年の人数については、「20―49人」「50―99人」としたものがいずれも30校と多かったが、司法試験合格者を多数出している大学の中には、「200人程度」(早大)、「350人程度」(匿名希望=東京の有力私大)と、大規模な法科大学院を目指して準備を進めているところもあった。
法科大学院は、少人数指導や実務研修などを重視するため、学生1人あたり年間2、300万円のコストが必要とされる。このため、私大は年間授業料について、最低でも「100万円」(神奈川大、京都産業大など)、最高では「280万円」(都内の私大)としており、平均でも176万円だった。今後、設置大学への財政支援や、奨学金などの在り方が問題になるのは必至だ。国公立大の多くは政府の決定を待つ姿勢を示したが、「50万円」(岡山大)、「80万円」(広島大)の試算例もあった。
また、授業は弁護士など実務家による指導が目玉になるが、実務家教員の登用予定の割合は、有力校で「1割」(中大)、「2割」(一橋大)などの回答が多く、現在の大学教員を中心とした構成で臨む現実的な対応がうかがわれた。
政府の司法制度改革審議会が、「法科大学院は修了者の7―8割が新司法試験に合格する充実した教育を行う」と合格者の目安を示した点については、61校が賛意を表明した。
一方で、制度設計が大幅に遅れていることについては、国公私立を問わず7割程度の大学が不満を示し、地方の大学の中には、「大都市の大学が有利」とされる地域格差の懸念解消を求める声も目立った。
◆設置予定校◆
【国立大】北海道、千葉、東京、一橋、横浜国立、新潟、金沢、静岡、大阪、神戸、島根、岡山、広島、香川、九州、熊本、鹿児島、琉球
【公立大】大阪市立
【私立大】独協、亜細亜、慶応、国学院、国士舘、上智、専修、創価、中央、東海、
東洋、日本、明治、明治学院、早稲田、北陸、南山、名城、京都産業、同志社、立命館、龍谷、関西、近畿、摂南、関西学院、甲南、神戸学院、広島修道
(このほかに「匿名希望」の大学が4校)
◇
▼法科大学院 合格率が2%台で、「一発勝負」で決まる現在の司法試験に代え、プロセス重視の教育を通じて質・量ともに充実した法律家を社会に送り出すことを目指し、司法制度改革審議会が6月にその創設を提言した。2―3年の課程を修了すれば7―8割が新司法試験に合格する仕組みを想定している。2004年度開校の計画で、政府が法整備や設置基準作りを進めている。2010年には、司法試験の年間合格者3000人(現在の3倍)を目指す。
[2001-08-17-03:04]
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