独行法反対首都圏ネットワーク |
都留文大と大月短大の統合 「可能」と文科省判断.
2001.8.9 [he-forum 2358] 山梨日日新聞08/06
都留文大と大月短大の統合 「可能」と文科省判断
市民感情ネックの指摘 結論なお時間
四年制の都留文科大(都留市立、久保木哲夫学長)と、二年制の大月短大(大月市立、大木善昭学長)の統合についての検討が、両大の間で進められている。少子化の進行などで志願者が減少する中、両大は「統合が生き残りの重要な選択肢の一つになる」とみている。「四大」と「短大」、さらに設置者の異なる大学間という全国的に例のない統合を模索しているが、文部科学省は「制度上、統合は可能」との見解で、統合協議に弾みがつきそう。しかし一方で、設置者の都留、大月両市長は「それぞれ市立大(短大)としての伝統を持つ大学が統合されることに市民が納得するだろうか」などとして統合に慎重姿勢をみせており、大学側との温度差が浮き彫りになっている。設置者と大学側の話し合いはこれからで、統合か現状での存続か、結論が出るのはまだかなり先になりそうだ。〈市川 憲司〉
都留文科大、大月短大の統合の検討は、双方の教授ら六人で構成している検討組織が発足した昨年末からスタート。これまで数回の会合を開いて、統合のメリットやデメリット、学部や学科の設置や変更、設置者をどうするかなどについて協議してきた。
その中で、まずネックとして浮上したのが、設置者が都留市長(都留文科大)、大月市長(大月短大)と異なる上に、四年制と二年制という設置形態に違いがある大学の統合だった。
このため両大の検討組織の教授らが六月中旬、文部科学省の大学設置事務室を訪れて統合が可能かどうか照会。同省は「制度上は可能」との見解を示したという。大月短大が都留文科大に経済学科として入り、その後に設置母体を両市でつくる広域連合などに変更するなどの手法が挙げられたという。意見交換進まず
久保木・都留文科大学長は「統合が制度上、可能であることが分かり、今後は本腰を入れて検討したい。統合した場合のメリットやデメリットを整理して、(都留)市側とも話を進めたい」と話している。
大木・大月短大学長も「全国的に四年制大への高学歴志向があって短大の志願者は減っており、大学の経営は苦しくなっている。都留文科大との統合は、四年制になるチャンスでもある」として、大学間だけではなく、設置者である両市との話し合いを望んでいる。
しかし、統合の検討については大学側で先行。統合について最終的に判断する設置者(両市)の庁内協議や、大学側との意見交換はほとんど行われていないのが現状だ。しかも設置者側は大学としての伝統や市民感情を挙げて、統合に慎重な姿勢を崩していない。
大月市議会六月定例会の本会議。統合についての議員の一般質問に対し、西室覚市長は「両市民の感情やそれぞれの大学の持つ歴史、特色などを勘案すると慎重に対処すべきと考えている」と答弁した。
西室市長はその理由について「大月短大には四十年以上の歴史があり、多くの卒業生を出している。感情論としての反対意見のほか、大月短大周辺にはアパートが少なくない。統合した場合の影響も気になる。あらゆる角度からの検討が必要で、軽々しく統合しようとは言えない」と話す。
小林義光都留市長は「都留文科大は現状は文学部だけだが、統合によって経済学部系が新設され複数の学部になるのであれば、メリットもある」としながらも、「都留文科大への市民の愛着は強く、運営形態や名称が変わることに抵抗を感じる人もいる」と話す。学生も賛否分かれる
一方、学生の受け止め方はどうか−。都留文科大の学生からは「大月短大と統合して総合大学になれば施設が充実する」(三年生男子)、「総合大学になればイメージアップにつながりそうだが、卒業校の名前がなくなるとしたら残念」(三年生男子)などの声が出ている。
大月短大側も「統合すればサークル活動が充実する」(二年生男子)、「短大で学びたいので、四年制になるのは反対」(一年生女子)などさまざまな意見が出ている。
大月市は今秋、大月短大の将来構想を検討する懇話会を設置する方針で、都留文科大との統合についても議論の対象になるとみられる。
大学間で先行して始まった統合協議の具体的な検討はこれからが本番。設置者側を交えて統合の是非についての方向性が出てくるのはかなり先になる見通しだ。