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[規制改革]「速やかに経済再生へ生かせ」
2001.7.26 [he-forum 2310] 読売新聞社説07/26

『読売新聞』社説2001年7月26日付


 [規制改革]「速やかに経済再生へ生かせ」


 小泉政権の「骨太方針」に沿った、新たな規制改革作業が進んでいる。
 首相の諮問機関、総合規制改革会議が発表した医療、福祉・保育、労働、教育、環境、都市再生の重点六分野の改革に関する中間報告は、その作業の節目となるものだ。
 規制改革について、政府は今年三月に森前政権の下で、IT(情報技術)革命の環境整備を中心にした規制改革推進三か年計画を閣議決定している。
 中間報告は、これまで「社会的規制」としてなかば聖域化され、三か年計画にも十分に書き込まれなかった分野に絞って、六分野、約八十項目にわたる具体策の実施を道筋とともに提示した。
 これらの中には、中長期の日本経済再生だけでなく、急速に進む雇用流動化への対応や、新規事業の創出などに効果が期待できるものも少なくない。
 労働分野では、派遣労働者の派遣期間の延長や業種の拡大、期限付き雇用契約の期間延長などを、関係法の改正に向けてただちに検討を始める。年金・医療保険のパート労働者への適用拡大などの早急な検討も求めている。
 教育分野でも、社会人向け大学・大学院教育を促進する仕組み作りを今年度から始める方向を示した。起業家の育成や専門能力の向上などが狙いだ。
 医療分野では、医療費レセプト(診療報酬明細書)の電子化や、出来高払い中心の診療報酬制度を定額払い方式に段階的に移行することなどで、医療サービスのコスト削減、質の向上を目指す。
 改革会議は年末に最終報告を予定している。政府はそれを待つことなく、三か年計画とともに、直面する景気後退や失業者の増加などの問題解決に役立つと考えられるものから、可能な限り速やかに実施していく必要がある。
 ただ、実施には障害も多い。改革会議で提起された具体策の中には、報告取りまとめの段階から、所管省庁や関係団体の抵抗を受けたものもあった。
 病院経営への株式会社の参入禁止を解除する問題については、日本医師会や厚生労働省の強い反発で検討開始の時期を明示できなかった。
 大学活性化を狙った学部・学科の新設・改廃の自由化は文部科学省が難色を示し文言自体が盛り込まれていない。
 参院選でも、共産党を除く各党が規制改革の推進を公約にうたっている。だが具体策を見ると、業界などの抵抗が強い案件は省かれているようだ。
 選挙後さらに高まると予想される規制維持の圧力にどこまで抗して行けるか。小泉政権の実行力が試されている。

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