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規制改革―身近な分野ほど難しい
2001.7.25 [he-forum 2306] 規制改革―身近な分野ほど難しい(朝日新聞)

規制改革―身近な分野ほど難しい

朝日新聞ニュース速報

 首相の諮問機関である総合規制改革会議が、医療や福祉・保育、教育、雇用など6分野について、規制緩和をどう進めていくかなど検討課題を盛り込んだ報告書をまとめた。関係官庁との論議を経て、年内に具体的な計画を立てるという。
 規制緩和推進3カ年計画を中心に、政府が掲げてきた従来の規制緩和政策は、主として産業活動に関係の深い「経済的分野」だった。今回は、日常生活に直結する「社会的分野」にまで改革の領域を広げようという狙いである。
 「民間にできることは民間にゆだねる」という原則に沿って、▽公立保育所の民間への運営委託▽介護施設のケアハウスや病院の株式会社化▽大学の学部・学科の設置や改廃の弾力化▽地域が運営に参加するコミュニティースクールの設置、などを検討課題にあげている。
 役所の介入を減らす、新規参入を促し競争を活発にさせるなど、経済分野の規制緩和は、既得権をもつ業者の抵抗はあるものの、決断さえすれば比較的進めやすい。
 だが、医療、福祉、教育、環境といった分野は、無駄や非効率、閉鎖性が少なくない半面、市場主義一本やりで進められないという側面を強くもっている。そのことに意を尽くす必要がある。
 また医療、福祉や教育など、サービスの提供者と受益者との力関係が対等でなく、情報格差も大きいところでは、サービス利用者の保護も課題だ。
 それらの分野にまで踏み込んでいこうという、改革会議の意欲は買いたい。その際には、これまで手がけてきた規制緩和の経験や反省を十分生かしてもらいたい。
 たとえば民間の有料老人ホームをめぐるトラブルである。
 公正取引委員会はこのほど、4カ所の有料老人ホームに対して、パンフレットに書いてある介護サービスが実際とは異なることなどが景品表示法違反にあたるとして、警告した。公取委はこの業界に対して、同様の警告を過去4回出している。
 有料老人ホームは、規制緩和と介護保険制度の発足のなかで成長してきた業界だ。公取委の度重なる警告でも懲りない体質を改善するためには、業務を監視する第三者機関などが必要ではなかろうか。
 自由化、国際化が急速に進行する金融も利用者・消費者の保護が大事な分野である。金融商品販売法は制定されたものの、販売業者に契約に至る記録を保存する義務がないなどの点が不十分だ。このため不利益を被った場合の証明は容易でない。
 金融庁の金融トラブル連絡調整協議会はこうした不備を補おうと、紛争処理・救済機関を検討しているが、金融業界は抵抗している。
 市場経済や自己責任の原則は、消費者を保護するルールと仕組みがあってはじめてうまく機能する。
[2001-07-25-00:38]



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