独行法反対首都圏ネットワーク


総合規制改革会議「重点6分野に関する中間とりまとめ(案)」
2001.7.25 [he-forum 2305] 総合規制改革会議中間とりまとめ

総合規制改革会議「重点6分野に関する中間とりまとめ(案)」(2001年7月24日)


全文は、以下にpdfファイルで掲載。

http://www8.cao.go.jp/kisei/giji/006/index.html

4 .教育
〔問題意識〕
  社会・経済・文化におけるグローバル化が拡大し、国際的な競争がますます進展していく中で、教育分野においても、義務教育から高等教育までを通じて質の高い教育を提供し、社会のニーズに応えることのできる優れた人材を育成するとともに、大学や大学院においては先端的・独創的な研究をさらに進め、新しい産業やイノベーションを開花させていくことが必要不可欠である。
  大学においては教育機関や教員が互いに質の高い教育を提供するよう競い合うことが、また、初等中等教育においては透明化多様化を進めることが、我が国の教育全体の質的向上に結びつくと考えられ、そのような環境の下で学生や生徒に対し学習に対する積極的な動機付けを行っていくことが必要であると考える。
〔検討の方向性〕
  上記のような観点から教育分野の規制改革を図っていくためには、大学において競争的な環境を整備することを通じて、教育研究活動の活性化を図っていくことが必要である。また、初等中等教育においては、児童や生徒の能力・適性に応じた教育機会の提供を推進するため、学校の透明性を高め、多様化を進めることを通じて質の高い教育サービスを提供していく体制を整備することが課題となるものと考える。
  このため、当会議では、以下のような具体的施策について、今後検討を進めていくこととする。
〔具体的施策〕
(1)大学における教育研究活動を活性化し、競争環境を整備するための規制改革
  大学における研究体制の弱体化に歯止めをかけるためには、様々な競争的資金の拡充を進めていくことが必要であり、その際、研究機関が研究資金を多く持ち込める研究者の採用を競争的に進めるインセンティブを与えるべきである。同時に、競争的資金による、研究者の雇用、博士課程学生の給与型支援の日本学術振興会特別研究員制度をモデルとするものへの拡大や、その現場への定着など具体的改革方策を進めるべきである。【平成13年度中に検討、結論】
  また、国立大学の独立法人化を検討する際には、寄付金、受託研究等の扱いが公私の大学で相互に競争的になるようにすることを検討する必要がある。【平成13年度中に検討、結論】
  さらに、大学教育に対する公的支援については、機関補助に世界最高水準の大学を作るための競争という観点を反映させるとともに、個人支援を重視する方向で公的支援全体を見直す中で、教育を受ける意欲と能力がある人が確実にこれを受けられるよう、奨学金の充実や教育を受ける個人の自助努力を支援する施策を検討することが必要であると考える。【平成13年度中に検討、結論】
  大学生の学習に対する動機付けの促進のためには、ダブルメジャー制、学生に対する成績評価の厳格化、学生のキャリア教育の活性化(インターンシップ制度の積極的活用等)などについても推進していくべきである。【平成13年度以降継続的に推進】
  一方、大学の教員については研究・教育力の適正な評価を行い、その結果を外部に公表するとともに、結果に応じた処遇(インセンティブの付与等)を大学が行えるようにすることについても検討するべきである。【平成13年度中に検討、結論】
  特に、いわゆる招へい型を始めとした任期付き教官に対して給与法上の特例措置をとり、能力・実績に応じた給与等の処遇の改善を検討するべきである。【平成13年度中に検討】
(2)大学の組織を活性化する規制改革
  大学がより自主的自律的な運営をすることができるようにするため、設置された後の学部については、第三者機関による継続的な評価(いわゆる「アクレディテーション」)を前提として、その改廃を一層弾力化するよう、大学設置基準の見直しを行うべきである。また、新規産業やイノベーション開花の観点から、工業(場)等制限制度の見直しをするべきである。【平成13年度中に検討】
  また、大学の運営に当たっては、教育研究活動の実効性を向上させるため、外部から専門家の参加を得るなどガバナンスの改革を図るとともに、情報公開や第三者評価の実施など運営の透明性を向上させていくべきである。【平成13年度以降継続的に推進】
  さらに、運営の効率化の観点から、大学における事務部門のアウトソーシングを大学の判断で自由に行えるようにするなど、大学の組織をより活発なものにするための検討を早急に行うべきである。【平成13年度中に検討、結論】
(3)社会人のキャリアアップを強力に支援し、労働移動の円滑化に資する規制改革
  社会人のキャリアアップを強力に支援するため、社会人向け大学教育、大学院教育をさらに促進するべきである。例えば、コミュニティカレッジ、一年制大学院、夜間大学院、通信制大学院、都心部におけるサテライトキャンパス、インターネット等の活用など、社会人が大学や大学院に一層通いやすくなる仕組み作りについて検討するべきである。【平成13年度中から段階的に実施】
  また、産業界等との連携による学習ニーズを的確に捉えた教育コースの設置や、実務家の積極的な大学教員への登用についても積極的に行うべきである。【平成13年度以降継続的に推進】
  特別免許状制度や特別非常勤講師制度の一層の活用を促進することなどにより、学校教育の場において企業勤務等の経験を有する社会人の活用を飛躍的に伸ばしていくべきである。【次期予算措置から段階的に実施】
(4)初等中等教育システムを多様化し、適切に評価することで競争環境を作り出すための規制改革
  昨年12月の教育改革国民会議報告において「設置の可能性を検討する」とされた「地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(“コミュニティ・スクール”)」を市町村が設置することができるよう、法制度整備を含めて積極的に検討を行うべきである。【平成14年度中に検討】
  他方、現行法制の下においても、校長を公募し、教員について校長の推薦が尊重されるとともに、学校と協力して運営に当たる「地域学校協議会」を学校ごとに設置するなどの仕組みを備えた、自主的な学校運営の実験を行うモデル校作りを早急に推進するべきである。【平成14年度中に実施】
  また、多彩な教育理念に基づく私立の小・中学校の設置が促進されるよう、小・中学校の設置基準を明確化するとともに、財源調達や校地取得に関する要件を適切に緩和するべきである。【平成13年度中に実施】設置認可に際しては、設置認可の基準や要件等を明示した上で、いわゆる「準則主義」に基づいて決定が行われるようにするべきである。なお、私学審議会の在り方についての検討も必要である。【平成13年度中に検討】
  公立学校システムに関しては、まず、学校運営に係る責任の明確化を図る観点から、教員人事権を個々の学校に委譲することを含めて基本的な見直しを開始するべきである。また、教育サービスの質的向上の観点から、教員や学校全体の評価システムを確立し全校で実施するとともに、学校全体の評価については、その結果を公開することが必要である。【平成13年度中に検討】なお、評価の内容や導入の仕方や時期に関しては各自治体がニーズに基づいて決めることが望まれる。
  教員採用の多様化をするために、特別非常勤講師制度の積極的活用を含め、教員免許を必要とせず、社会経験などの要素を入れた他の基準による評価も併せて考慮して採用できるようにするなどの方策を一層推進することが必要である。【平成13年度中に検討、結論】加えて、国民にとっての多様な選択肢を拡充するという観点から学区の弾力化について、各自治体はその考え方や実施方法を公開し、保護者等が十分な情報を持つことができるようにすることが望まれる。
(5)子供たちの学ぶ意欲を高めるための規制改革
  子供たちの学ぶ意欲を高めていくためには、教員の資質の向上が必要不可欠であり、企業経験者の積極的採用や教員が企業等学校外において研修を受ける機会の充実を図るとともに、子供がカウンセラーなどの専門家にアクセスしやすい環境を整備することについて、引き続き当会議においてその具体的改革方策の検討を進めることとする。
  創造力ある人材を育成するための教育、例えば理数系教育・IT教育・芸術教育・コミュニケーション/言葉教育、等については、その充実を図ることが必要であり、引き続きその具体的な在り方についての検討を進める。【平成13年度中に検討、結論】
  また、社会性を身につける教育や勤労観、職業観を育む教育機会についても、充実していくべきであると考える。【平成13年度中に検討、結論】
(6)国際的に開かれた教育を実現するための規制改革
  グローバル化に則した外国語教育の実施のみならず、国際理解教育を早期から実施するべきであり、例えば海外の小、中、高等学校との連携等によりその実現促進を図る等、当会議において具体的改革方策の検討を進める。
  また、諸外国の優秀な学生が日本に留学したくなる体制や環境の整備を強化することが重要であり、例えば留学生数の倍増を実現するためのODA等による支援の充実や宿舎の整備等の受入れ体制の整備・充実を進める。【平成13年度以降継続的に推進】

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