改革深層/室蘭から 「大学生き残り/地方移管も現実味乏しく」.
2001.7.21 [he-forum 2297] 北海道新聞7/21「地方移管も現実味乏しく
北海道新聞2001年7月21日朝刊
改革深層/室蘭から 「大学生き残り/地方移管も現実味乏しく」
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(略)
・・文部科学省が明かした「大学の構造改革の方針」は、医科系など単科大の地方移管も含めた再編・統合と第三者機関の評価による競争原理の導入、さらに資金を重点配分し、国公私大トップ三十の世界最高水準への育成など−が柱となっている。裏を返せば、三十以外の大学は「冷や飯」を食わされる可能性があるということだ。ここ数年、議論されてきた国立大学の独立行政法人化さえかすむ「激震」となって、鉄のマチの室蘭工大を襲った。
独立行政法人化について、同大の田頭博昭学長は「大学の自主・自立性や学問の自由が保障されない限り、受け入れがたい」と疑念を呈してきた。しかし、事態は単なる法人化の是非を越えたところまで進んだ、とみる。
地方大学の存立基盤はただでさえ弱い。同大の場台、過去十年間の年間予算は五十億円前後で推移したまま。手厚い旧帝大など大都市の大学との格差は広がる一方だ。
しかし、地方移管となると、現実味は乏しい。授業料収入などを除いても、年間数十億円もの財源をねん出することができるのか。室蘭市のある幹部は「財政難の折、『室蘭市立』の大学となると、不可能だろう」と胸の内を明かす。
大学も押し寄せる改革の波に、ただ手をこまねいてはいない。ここ数年、地元企業と共同研究を推進するなどしており、「ようやく地元に開かれた、地元に必要な大学に変化」してきた」(室蘭市のある幹部)。
「構造改革の方針」への対抗策について、田頭学長は「将来のビジョンはまだ描けていない。とにかく、教育・研究をより発展させなければ」と胸の内を明かす。地元を重視した姿勢への変化が、同大存続の”切り札”になりうるのか。前途には厳しい現実が横たわっている。
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