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大学と産業界の関係深化、共通目的は生き残り.
2001.7.19 [he-forum 2294] Yomiuri On-Line 07/19.
Yomiuri On-Line 2001年7月19日付
大学と産業界の関係深化、共通目的は生き残り
政府の産業構造改革・雇用対策本部(本部長・小泉首相)や文部科学省が、大学を拠点としたベンチャー企業の設立など新たな産学連携による新産業育成の枠組み作りに乗り出しているが、大学と産業界との新たな結びつきはすでに様々な形で始まっている。企業は世界的な大競争時代を迎え、大学という「外部資源」を活用しなくては生き残れなくなった。大学側も少子化などで大学間の競争が激しくなり、企業や社会人という新たな市場の開拓に懸命だ。(東 一真)
◆大学設立で連携◆
滋賀県長浜市に、新たな大学を設立する構想が持ち上がっている。「長浜バイオ大学」という、日本初のバイオテクノロジー単科大学だ。学校法人・関西文理学園と長浜市が中心となって2003年4月の開校を目指す。大学の設立には、バイオテクノロジーでは大手でもある宝酒造のバイオ部門が、カリキュラム面で全面協力し、バイオでの先端的な実験ができる技術者の養成を行う計画だ。
「ハイレベルの技術者を育成するという時代の要請にこたえる」と吉田保・関西文理学園理事長は大学設立の狙いを語る。宝酒造としても、必要な人材を育成する大学が地元に設立されることで、世界的なバイオテクノロジー競争で優位を確保できる。大学と企業の共存共栄の新たな図式だ。
◆ビジネススクール◆
大学は社会人を学生として取り込もうと懸命だ。昨年4月、埼玉大学が東京駅から徒歩1分のオフィス街に「東京ステーションカレッジ」を設置し、社会人を対象に経済学の修士課程を開いた。開校の狙いを同大学の貝山道博・経済学部長は、「将来に不安を持ち勉強したいという社会人のニーズにこたえるため」という。不況が長引く中で、年功型賃金など日本的経営が終わりを告げ、ビジネスマンも知的武装の必要性を痛感している。大学としても社会人を新たなマーケットとして注目しはじめた。
早稲田大学、慶応大学も東京駅近くで、社会人を対象とした講座を開き、新市場の拡大に懸命だ。
◆技術移転◆
大学の教官がベンチャー企業の役員を兼任したり、自ら起業したりして、積極的に産業界に打って出る動きも急拡大している。人事院は4月から、国立大学の教官が、技術を民間に移転する目的で民間企業の役員などを兼任することを認めた。この結果、6月末現在、36人の大学教官・国立研究所研究員が計29社の役員に就任した。
大学教官の兼任は、欧米では、大学の特許の使用権を民間企業に供与する技術移転機関(TLO)の活動と並んで、技術移転の手段として効果をあげている。政府の産業構造改革・雇用対策本部の中間報告では、大学発のベンチャーを3年間で1000社設立することを目標に掲げるなど、政府も新産業育成の中核として本腰を入れている。
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