独行法反対首都圏ネットワーク


.6/26文教科学委員会:遠山プラン関連質疑
2001.7.6 [he-forum 2247] 6/26文教科学委員会:遠山プラン関連質疑

 参議院文教科学委員会議事録 2001.6.26 第15号 より

 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/151/15106260061015a.html
日下部委員質疑全文:
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/626-kusakabe.html


しおり|抜粋

--しおり-----------------------------------------------------------------
 79- 98  遠山プラン作成のいきさつについての質疑  
106-121 「来年度を国立大学にとって歴史の転換点とし、」の意味 
122-146 「投資対象となるべき大学」とは 
148-199  独立行政法人化との関係 
221-237  岸田副大臣回答:国立大学の削減方針策定の経緯
257-279  工藤高等教育局長回答:国立大学の削減方針策定の経緯
281-287  ◆工藤発言「黙っていてもお金がふえるというものでもなく」への注意
295-321  国立大学の適性規模についての質疑(回答:工藤)
323-406  ◆教員養成系大学の規模縮小についての質疑
408-440  ◆国立大学単科大学の再編統合政策についての質疑
442-530  トップ30大学の選定法についての質疑
484-562  再編統合のスケジュールは
564-588  中教審に諮問しなくてよいのか?
590-632  ◆経済効率・競争原理に基づく大学改革の是非についての質疑
634-677  真の教育改革について:佐藤初女さんの言葉の紹介


--ハイライト--------------------------------------------------------------
◆「黙っていてもお金がふえるというものでもなく・・」
257 ○政府参考人(工藤智規君)・・・・


262  それは、各大学それぞれの御事情もございますけれども、これは再編統合が
263 目的なのではございませんで、それぞれの大学の持ち味を生かしてより大きく
264 発展するためにはどうすればいいか、黙っていてお金がふえるわけでも定員が
265 ふえるわけでもなかなかない状況の中で、せっかくある資源を有効に活用しな
266 がらより大きく羽ばたくものにしたい、そういうことが私どもにもございます
267 し、各大学にもあるわけでございます。・・・・


281 ○日下部禧代子君 御発言を少しお気をつけになった方がいいと思います。黙っ
282 ていてもお金がふえるというものでもなくと、こういう表現というのは、教育
283 問題、特に大学問題を論じますときに口になさるべき言葉ではないように思い
284 ます。少しお気をつけくださいますように。誤解を受けるわけでございます。
285 局長の真意はどういうところにおありになったか、クエスチョンマークがつい
286 てしまいます。せっかくのお気持ちがゆがんでしまいます。ぜひお気をつけく
287 ださいますように。
-----
◆教員養成系大学の規模縮小についての質疑


323 ○日下部禧代子君 そこで、再編統合、規模の縮小、地方移管等の検討という
324 その対象の例といたしまして、教員養成系の大学というのが例として示されて
325 いるわけでございますが、その根拠はどういうところにあるのでしょうか。
326
327  今、議論しています法案審議の中からでも、子供たち一人一人の才能がきち
328 んと芽生え、そしてそれを伸ばしてやるためには、かなりゆとりのある学級経
329 営、一つのクラスの人数を減らしていくというのは大変大きな流れでございま
330 す。そういう中で、特にこの教員養成系の大学が対象の例として挙げられてい
331 るということはどのような根拠に基づくものでございましょうか。
332
333 ○政府参考人(工藤智規君) 近年の少子化の影響で、教員への就職の状況は、
334 せっかく学生さんたちが教員を志望いたしましてもなかなか就職状況が悪いと
335 いう状況でございます。今、国公私含めまして約三分の一の希望者に対する就
336 職状況でございます。
337
338  このため、国立の教員養成大学、学部につきましては、平成十年から十二年
339 までの三カ年をかけまして入学定員を約五千人減らしてまいりました。一万五
340 千人体制から一万人体制に縮小してまいりました。その効果が出るのはこれか
341 らでございますけれども、いずれにしても、せっかく教職の道を志してもなか
342 なかその思いがかなえられないという状況の中で、量的な意味での対応という
343 のはそれなりに必要なわけでございまして、この五千人削減ですべて対応し切っ
344 ているわけではございませんが、まだまだ幾つかの課題がございます。
345
346  その一つとして、例えばそれぞれ各県に教員養成系の大学、学部があるわけ
347 でございますけれども、現在国立で四十八ございます中で、入学定員が百人以
348 下になってしまった大学、学部が約三分の一になってございます。大変それぞ
349 れが小ぢんまりとなってまいりました。小さいのが悪いわけではございません
350 で、小粒でもぴりりと辛いという言葉がありますように、それぞれが頑張って
351 いるわけでございますけれども、教員対学生比で見ますとなかなか効率が悪い
352 とか、教育研究上必ずしもうまくいかない面があるとかという問題もあるわけ
353 でございます。
354
355  また、他方で、教員養成の今後のあり方についていろいろ御議論していただ
356 いている中で、御案内のとおり、教員養成あるいはすぐれた教師を養成する上
357 では、養成、採用、それから研修という三つのステップがあるわけでございま
358 すが、特に公立学校の教師の場合、教育委員会で採用から研修が行われるわけ
359 でございます。養成段階から一体として行うのが、戦前がそういう仕組みだっ
360 たわけでございますが、より合理的といいましょうか、一つの改善策として考
361 えられないわけではないという御提言、御意見もあるわけでございます。
362
363  それやこれや考えますと、教員養成を取り巻く課題というのが多い中で、当
364 然、教員養成の重要性といいましょうか、学校現場で子供たちを指導していた
365 だくすぐれた教師養成という意味では、まだまだその重要性は言い尽くせない
366 ほどなものでございますけれども、逆に教員養成に携わっておられる先生方あ
367 るいは学生諸君がもっと生き生きと教員養成に励んでいただくために、ぽつぽ
368 つと、先ほど申したような小ぢんまりした形での教師養成の体制でいいのかど
369 うかというのがかねてからの課題でございまして、目下、省内に設けてござい
370 ます有識者による懇談会でもその改善方策が検討されているところでございま
371 す。その議論の途中経過を先取りした形で例示させていただきましたけれども、
372 相手がある話でもございますし、まだまだ具体的にはこれから御議論いただか
373 なきゃいけないことでございます。
374
375  なお、先ほどお話がございました今後の学級編制、あるいはひょっとしたら
376 教師需要がふえるかもしれない時代への対応としましては、新卒者のほかに、
377 退職された教員の先生方、ベテランの先生方を、高齢者雇用という形でベテラ
378 ンにもう一回、教壇といいましょうか学校で働いていただくような方式でござ
379 いますとか、あるいは一たん社会人になって社会の経験を踏まえた方々をもう
380 一回採用する方法でございますとか、いろんな方法も考えられるところではな
381 いかと思うところでございます。


---------
◆国立大学単科大学の再編統合政策についての質疑


383 ○日下部禧代子君 今、教育改革、ことしが教育改革元年というふうに言われ
384 ているときにおきまして、その一番かなめになる教員、これは非常に私は重要
385 なポイントの一つだと思うんです、教員養成というのは。
386
387  先ごろから、有馬先生もそうでございますが、昨日の参考人からも、いかに
388 日本は教育に対してお金をかけないかというお話が出てまいりました。お金を
389 かけねばならないということの中で、教員を養成するというところにもっとお
390 金をかけるということも非常に重要なことではないかと思うのです。百人以下
391 の規模だとなかなか生き生きとした大学にはならないのではないかという御懸
392 念を今お示しになったわけでございますが、小規模であるからこそいい教育の
393 中身ができるということだってあるわけでございます。
・・・
403  したがいまして、規模の大きい大学にしていく、それは経済的な経営の面か
404 らは確かにある種の利点があるのかもわかりません。しかしながら、それだけ
405 で考えてよろしいものかどうかという疑問を私はここで申し上げておきたいと
406 いうふうに思います。
407
408  それから、再編統合ということの対象として、国立大学の単科大学が例とし
409 て挙げられております。国立大学の中で九十九のうち三十八大学が単科大学で
410 ございます。他の大学との統合あるいは地方移管ということが例として出され
411 ているわけでございますが、単科大学というのは国立ではもうなくしていこう
412 という御方針なのでございますか。だとすれば、その理由はどういうところに
413 ございましょうか。
414
415 ○政府参考人(工藤智規君) 先ほどの教員養成の話もそうですが、お示しし
416 ました方針の中で「単科大(医科大など)」とありますけれども、例に挙げて
417 いるのは、要らないとか大事でないとかという意味では決してございませんで、
418 先ほど申しましたように、教員養成の重要性というのは口をいかに酸っぱくし
419 ても足りないほど大切な分野でございますし、医科大学につきましても、地域
420 医療で貢献しておられますほかに、それぞれのローカルな地にありながらグロー
421 バルな教育研究もしていただいているわけでございまして、決して切り捨てる
422 とか大事でないとかいうことではございません。
423
424  それよりもむしろ、今御質問のありました単科大学について申し上げますと、
425 単科大学の場合、比較的規模が小さいわけでございますけれども、規模の大小
426 を別にしまして、単科大学ゆえに学内の合意形成がしやすいとか、あるいは規
427 模が小さいと割とフェース・ツー・フェースで教育研究しやすいとかというメ
428 リットもあるわけでございますが、他方で、学問の進歩に応じまして、学際的
429 分野への対応、あるいは学生の能力や関心に対応し得るような教育の幅の広さ
430 ということに対しては、デメリットといいましょうか弱点といいましょうか、
431 もう少し力を入れなきゃいけない部分があるとか、よしあしの部分があるわけ
432 でございます。
433
434  それで、今回申し上げましたのは、単科のメリット、デメリットいろいろあ
435 るわけでございますけれども、これからの大学のありようを考えましたときに、
436 教育研究の高度化でございますとか、あるいは学際領域への積極的な展開でご
437 ざいますとか、さらには教育研究資源の重点的投資等々を図り得るように体制
438 を整備することが必要ということの認識に立ったものでございまして、具体的
439 には、個別の大学あるいは場合によっては自治体等の関係方面との御相談をし
440 ながら判断していかなきゃいけない課題と考えているところでございます。


--------
◆経済効率・競争原理に基づく大学改革の是非についての質疑


590 ○日下部禧代子君 


594  しかしながら、やはり再編統合ということも含めまして、活力に富み、国際
595 競争力のある大学づくりということが経済効率とか競争原理というものを導入
596 することを中心にしてしまうということに関して、特に教育の部門であるだけ
597 に、非常に私は危惧を持つわけでございます。経済効率あるいは競争原理とい
598 う一つの物差しだけではかれるものではない、いわゆる量的に換算できないも
599 のこそが教育の分野ではないかというふうに思うわけでございます。
600
601  二十一世紀というのは人間の時代だと、人間の復権ということが言われてお
602 ります。そういう中でこそ文部科学省は心の教育ということに重点を置くとおっ
603 しゃっているわけでございます。したがいまして、経済効率ということ、もち
604 ろんこれは無視できないものでございます。競争ということも無視できないも
605 のでございます。しかしながら、そのバランスというものをどのようにとって
606 いくのか、そのことは非常に重要なことではないかと思うわけでございます。


614 ○国務大臣(遠山敦子君) 今、日下部先生が御指摘になりましたとおり、大
615 学というのはまさに学術研究の府であり、かつ人材養成の極めて重要な機関で
616 あります。その学術の中には、単に科学技術に対応するものだけではなくて、
617 人文・社会科学、それからその中におきましても、必ずしも効率ないし何らか
618 の尺度、スケールに、数値に見合うような分野でないものが含まれているとい
619 うことは当然でございます。大学がその使命を果たすべきことについては、学
620 校教育法の規定その他、私どもは、これまで大学のあり方について極めて本質
621 的な使命というものを十分果たしてもらうという観点から、大学改革について
622 も折々に大学人の意見を聞き、進めてまいったことは御承知のとおりでござい
623 ます。
624
625  今回、御指摘の点につきましてもう十分過ぎるぐらい十分認識しております
626 からこそ、経済財政諮問会議におきましても、経済の側面ということにも対応
627 できるということでそういう説明ないし資料提供というものを行ったわけでご
628 ざいますけれども、その本質部分というものをむしろ将来に向けてさらに活性
629 化して、日本の大学というものが活力ある存在として国際的にも評価され得る
630 内実ある発展を遂げていくことを期待して、私どもとしても、今後そのような
631 観点からこの問題ないし大学改革の問題、教育改革の問題について取り組んで
632 まいりたいと思っております。

----------------------------------------------------------------------

To: he-forum@ml.asahi-net.or.jp, reform@ed.niigata-u.ac.jp
Subject: [he-forum 2247] 6/26文教科学委員会:遠山プラン関連質疑


 参議院文教科学委員会議事録 2001.6.26 第15号 より
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/151/15106260061015a.html
日下部委員質疑全文:
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/626-kusakabe.html


しおり|抜粋
--しおり-----------------------------------------------------------------
 79- 98  遠山プラン作成のいきさつについての質疑  
106-121 「来年度を国立大学にとって歴史の転換点とし、」の意味 
122-146 「投資対象となるべき大学」とは 
148-199  独立行政法人化との関係 
221-237  岸田副大臣回答:国立大学の削減方針策定の経緯
257-279  工藤高等教育局長回答:国立大学の削減方針策定の経緯
281-287  ◆工藤発言「黙っていてもお金がふえるというものでもなく」への注意
295-321  国立大学の適性規模についての質疑(回答:工藤)
323-406  ◆教員養成系大学の規模縮小についての質疑
408-440  ◆国立大学単科大学の再編統合政策についての質疑
442-530  トップ30大学の選定法についての質疑
484-562  再編統合のスケジュールは
564-588  中教審に諮問しなくてよいのか?
590-632  ◆経済効率・競争原理に基づく大学改革の是非についての質疑
634-677  真の教育改革について:佐藤初女さんの言葉の紹介


--ハイライト--------------------------------------------------------------
◆「黙っていてもお金がふえるというものでもなく・・」
257 ○政府参考人(工藤智規君)・・・・


262  それは、各大学それぞれの御事情もございますけれども、これは再編統合が
263 目的なのではございませんで、それぞれの大学の持ち味を生かしてより大きく
264 発展するためにはどうすればいいか、黙っていてお金がふえるわけでも定員が
265 ふえるわけでもなかなかない状況の中で、せっかくある資源を有効に活用しな
266 がらより大きく羽ばたくものにしたい、そういうことが私どもにもございます
267 し、各大学にもあるわけでございます。・・・・


281 ○日下部禧代子君 御発言を少しお気をつけになった方がいいと思います。黙っ
282 ていてもお金がふえるというものでもなくと、こういう表現というのは、教育
283 問題、特に大学問題を論じますときに口になさるべき言葉ではないように思い
284 ます。少しお気をつけくださいますように。誤解を受けるわけでございます。
285 局長の真意はどういうところにおありになったか、クエスチョンマークがつい
286 てしまいます。せっかくのお気持ちがゆがんでしまいます。ぜひお気をつけく
287 ださいますように。
-----
◆教員養成系大学の規模縮小についての質疑


323 ○日下部禧代子君 そこで、再編統合、規模の縮小、地方移管等の検討という
324 その対象の例といたしまして、教員養成系の大学というのが例として示されて
325 いるわけでございますが、その根拠はどういうところにあるのでしょうか。
326
327  今、議論しています法案審議の中からでも、子供たち一人一人の才能がきち
328 んと芽生え、そしてそれを伸ばしてやるためには、かなりゆとりのある学級経
329 営、一つのクラスの人数を減らしていくというのは大変大きな流れでございま
330 す。そういう中で、特にこの教員養成系の大学が対象の例として挙げられてい
331 るということはどのような根拠に基づくものでございましょうか。
332
333 ○政府参考人(工藤智規君) 近年の少子化の影響で、教員への就職の状況は、
334 せっかく学生さんたちが教員を志望いたしましてもなかなか就職状況が悪いと
335 いう状況でございます。今、国公私含めまして約三分の一の希望者に対する就
336 職状況でございます。
337
338  このため、国立の教員養成大学、学部につきましては、平成十年から十二年
339 までの三カ年をかけまして入学定員を約五千人減らしてまいりました。一万五
340 千人体制から一万人体制に縮小してまいりました。その効果が出るのはこれか
341 らでございますけれども、いずれにしても、せっかく教職の道を志してもなか
342 なかその思いがかなえられないという状況の中で、量的な意味での対応という
343 のはそれなりに必要なわけでございまして、この五千人削減ですべて対応し切っ
344 ているわけではございませんが、まだまだ幾つかの課題がございます。
345
346  その一つとして、例えばそれぞれ各県に教員養成系の大学、学部があるわけ
347 でございますけれども、現在国立で四十八ございます中で、入学定員が百人以
348 下になってしまった大学、学部が約三分の一になってございます。大変それぞ
349 れが小ぢんまりとなってまいりました。小さいのが悪いわけではございません
350 で、小粒でもぴりりと辛いという言葉がありますように、それぞれが頑張って
351 いるわけでございますけれども、教員対学生比で見ますとなかなか効率が悪い
352 とか、教育研究上必ずしもうまくいかない面があるとかという問題もあるわけ
353 でございます。
354
355  また、他方で、教員養成の今後のあり方についていろいろ御議論していただ
356 いている中で、御案内のとおり、教員養成あるいはすぐれた教師を養成する上
357 では、養成、採用、それから研修という三つのステップがあるわけでございま
358 すが、特に公立学校の教師の場合、教育委員会で採用から研修が行われるわけ
359 でございます。養成段階から一体として行うのが、戦前がそういう仕組みだっ
360 たわけでございますが、より合理的といいましょうか、一つの改善策として考
361 えられないわけではないという御提言、御意見もあるわけでございます。
362
363  それやこれや考えますと、教員養成を取り巻く課題というのが多い中で、当
364 然、教員養成の重要性といいましょうか、学校現場で子供たちを指導していた
365 だくすぐれた教師養成という意味では、まだまだその重要性は言い尽くせない
366 ほどなものでございますけれども、逆に教員養成に携わっておられる先生方あ
367 るいは学生諸君がもっと生き生きと教員養成に励んでいただくために、ぽつぽ
368 つと、先ほど申したような小ぢんまりした形での教師養成の体制でいいのかど
369 うかというのがかねてからの課題でございまして、目下、省内に設けてござい
370 ます有識者による懇談会でもその改善方策が検討されているところでございま
371 す。その議論の途中経過を先取りした形で例示させていただきましたけれども、
372 相手がある話でもございますし、まだまだ具体的にはこれから御議論いただか
373 なきゃいけないことでございます。
374
375  なお、先ほどお話がございました今後の学級編制、あるいはひょっとしたら
376 教師需要がふえるかもしれない時代への対応としましては、新卒者のほかに、
377 退職された教員の先生方、ベテランの先生方を、高齢者雇用という形でベテラ
378 ンにもう一回、教壇といいましょうか学校で働いていただくような方式でござ
379 いますとか、あるいは一たん社会人になって社会の経験を踏まえた方々をもう
380 一回採用する方法でございますとか、いろんな方法も考えられるところではな
381 いかと思うところでございます。


---------
◆国立大学単科大学の再編統合政策についての質疑


383 ○日下部禧代子君 今、教育改革、ことしが教育改革元年というふうに言われ
384 ているときにおきまして、その一番かなめになる教員、これは非常に私は重要
385 なポイントの一つだと思うんです、教員養成というのは。
386
387  先ごろから、有馬先生もそうでございますが、昨日の参考人からも、いかに
388 日本は教育に対してお金をかけないかというお話が出てまいりました。お金を
389 かけねばならないということの中で、教員を養成するというところにもっとお
390 金をかけるということも非常に重要なことではないかと思うのです。百人以下
391 の規模だとなかなか生き生きとした大学にはならないのではないかという御懸
392 念を今お示しになったわけでございますが、小規模であるからこそいい教育の
393 中身ができるということだってあるわけでございます。
・・・
403  したがいまして、規模の大きい大学にしていく、それは経済的な経営の面か
404 らは確かにある種の利点があるのかもわかりません。しかしながら、それだけ
405 で考えてよろしいものかどうかという疑問を私はここで申し上げておきたいと
406 いうふうに思います。
407
408  それから、再編統合ということの対象として、国立大学の単科大学が例とし
409 て挙げられております。国立大学の中で九十九のうち三十八大学が単科大学で
410 ございます。他の大学との統合あるいは地方移管ということが例として出され
411 ているわけでございますが、単科大学というのは国立ではもうなくしていこう
412 という御方針なのでございますか。だとすれば、その理由はどういうところに
413 ございましょうか。
414
415 ○政府参考人(工藤智規君) 先ほどの教員養成の話もそうですが、お示しし
416 ました方針の中で「単科大(医科大など)」とありますけれども、例に挙げて
417 いるのは、要らないとか大事でないとかという意味では決してございませんで、
418 先ほど申しましたように、教員養成の重要性というのは口をいかに酸っぱくし
419 ても足りないほど大切な分野でございますし、医科大学につきましても、地域
420 医療で貢献しておられますほかに、それぞれのローカルな地にありながらグロー
421 バルな教育研究もしていただいているわけでございまして、決して切り捨てる
422 とか大事でないとかいうことではございません。
423
424  それよりもむしろ、今御質問のありました単科大学について申し上げますと、
425 単科大学の場合、比較的規模が小さいわけでございますけれども、規模の大小
426 を別にしまして、単科大学ゆえに学内の合意形成がしやすいとか、あるいは規
427 模が小さいと割とフェース・ツー・フェースで教育研究しやすいとかというメ
428 リットもあるわけでございますが、他方で、学問の進歩に応じまして、学際的
429 分野への対応、あるいは学生の能力や関心に対応し得るような教育の幅の広さ
430 ということに対しては、デメリットといいましょうか弱点といいましょうか、
431 もう少し力を入れなきゃいけない部分があるとか、よしあしの部分があるわけ
432 でございます。
433
434  それで、今回申し上げましたのは、単科のメリット、デメリットいろいろあ
435 るわけでございますけれども、これからの大学のありようを考えましたときに、
436 教育研究の高度化でございますとか、あるいは学際領域への積極的な展開でご
437 ざいますとか、さらには教育研究資源の重点的投資等々を図り得るように体制
438 を整備することが必要ということの認識に立ったものでございまして、具体的
439 には、個別の大学あるいは場合によっては自治体等の関係方面との御相談をし
440 ながら判断していかなきゃいけない課題と考えているところでございます。


--------
◆経済効率・競争原理に基づく大学改革の是非についての質疑


590 ○日下部禧代子君 


594  しかしながら、やはり再編統合ということも含めまして、活力に富み、国際
595 競争力のある大学づくりということが経済効率とか競争原理というものを導入
596 することを中心にしてしまうということに関して、特に教育の部門であるだけ
597 に、非常に私は危惧を持つわけでございます。経済効率あるいは競争原理とい
598 う一つの物差しだけではかれるものではない、いわゆる量的に換算できないも
599 のこそが教育の分野ではないかというふうに思うわけでございます。
600
601  二十一世紀というのは人間の時代だと、人間の復権ということが言われてお
602 ります。そういう中でこそ文部科学省は心の教育ということに重点を置くとおっ
603 しゃっているわけでございます。したがいまして、経済効率ということ、もち
604 ろんこれは無視できないものでございます。競争ということも無視できないも
605 のでございます。しかしながら、そのバランスというものをどのようにとって
606 いくのか、そのことは非常に重要なことではないかと思うわけでございます。


614 ○国務大臣(遠山敦子君) 今、日下部先生が御指摘になりましたとおり、大
615 学というのはまさに学術研究の府であり、かつ人材養成の極めて重要な機関で
616 あります。その学術の中には、単に科学技術に対応するものだけではなくて、
617 人文・社会科学、それからその中におきましても、必ずしも効率ないし何らか
618 の尺度、スケールに、数値に見合うような分野でないものが含まれているとい
619 うことは当然でございます。大学がその使命を果たすべきことについては、学
620 校教育法の規定その他、私どもは、これまで大学のあり方について極めて本質
621 的な使命というものを十分果たしてもらうという観点から、大学改革について
622 も折々に大学人の意見を聞き、進めてまいったことは御承知のとおりでござい
623 ます。
624
625  今回、御指摘の点につきましてもう十分過ぎるぐらい十分認識しております
626 からこそ、経済財政諮問会議におきましても、経済の側面ということにも対応
627 できるということでそういう説明ないし資料提供というものを行ったわけでご
628 ざいますけれども、その本質部分というものをむしろ将来に向けてさらに活性
629 化して、日本の大学というものが活力ある存在として国際的にも評価され得る
630 内実ある発展を遂げていくことを期待して、私どもとしても、今後そのような
631 観点からこの問題ないし大学改革の問題、教育改革の問題について取り組んで
632 まいりたいと思っております。

----------------------------------------------------------------------

目次に戻る

東職ホームページに戻る