.東大、科類を全面見直し
2001.7.6 [he-forum 2245] 東大、科類を全面見直し(読売新聞)
東大、科類を全面見直し
読売新聞ニュース速報
東京大学(佐々木毅学長)は、文科一〜三類、理科一〜三類に分けて新入生を受け入れる現行の「科類」制度の在り方を約40年ぶりに全面的に見直し、再編する方針を決めた。文科一類の入学者は法、文二は経済、理三は医学部への進学が約束されているが、これを見直し、全学的に「進学先」を限定せずに入学させ、入学後の成績、適性などで振り分ける方向で検討する。
特に理三では、“偏差値エリート”の弊害がかねてから指摘されており、入学の時点で医学部進学を保障しない仕組みになれば、全国の医大、医学部にも影響を与えそうだ。
東大では、教員から学生の「学力低下」を指摘する声が出ていることや、大学の国際競争の激化、国立大の独立行政法人化が迫る状況を踏まえ、研究だけでなく学生の教育面を重視する姿勢を打ち出している。
9月に学部長らによる教育改革の検討委員会を正式に設置し、科類制度の見直しとそれに伴う入試方法の変更、成績評価の厳格化、教員の講義力の向上などについて来秋をめどに結論を出す。
東大の学生は入学後2年間、教養学部の6科類いずれかに所属。入試もこの科類ごとに行う。3年からの進学先は、理科一類が工、理学部など、理二は農、理、薬学部など、文三は文、教育学部などの各学科に、本人の志望や成績によって振り分けられる。
一方、文一、文二、理三の学生は入学時に進学先が事実上確定しているため、「入ってから勉強しない」との指摘がある。
また、東大でも最近の学生は学ぶ意欲や目的意識が低下傾向にあり、「18歳で進路を決めるのは無理がある」(小間篤副学長)と見られている。このため、大学改革について検討してきた準備委員会では、文系、理系の枠を超えた幅広い知識を持ち、国際的に通用する人材が求められていることも踏まえて科類見直しの方針を決めた。
今のところ、理科を物理化学系と生物系、文科を人文科学系と社会科学系の各二類に統合し、それ以外に進学先を文系、理系に限定せず幅広い分野を学ぶ“ノンセクション”科類を新設する案が有力となっている。
科類を大きいくくりにすることで、学生が進む学部・学科の選択肢は大幅に広がり、幅広い分野の講義を受けながら自分の関心、適性を見極めて進路を選べるようになる。大学側も成績だけで行っていた「振り分け」に面接などを取り入れ、意欲や目的意識を重視することが想定されている。
特に、医学部に進む理三は全国でも最難関にあたるため、偏差値は高いが、医師の適性や目的意識に欠ける学生も見られると指摘されており、学部進学時にこうした人を「ふるい」にかける効果も期待される。ただ、医学部進学を保障せずに入試を行う例は全国にもなく、学内には慎重な意見もある。
科類の見直しは入試の大幅な変更を伴うため、高校生への事前通告の期間が必要で、高校で新指導要領に沿って学んだ学生が入学する2006年度からの実施をめざす。
[2001-07-06-03:02]
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