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国立大学協会・記者会見要旨(6月13日)
2001.7.2 [he-forum 2227] 国大協記者会見要旨06/13

国立大学協会・記者会見要旨(6月13日)

『文部科学教育通信』第30号(2001年6月25日号)、19頁。


会長    長尾眞(京都大学長)

副会長  松尾稔(名古屋大学長)
副会長  石弘光(一橋大学長)
副会長  中嶋嶺雄(東京外国語大学長)


「大学の構造改革の方針」を真摯に受けとめる


長尾会長  設置形態検討特別委員会を昨年春の総会で設置することを決め、一年間議論し報告して総会でおおむね了承し、受理した。その間、月曜日の夕方に経済財政諮問会議に文部科学省から大学の構造改革の方針が提出された。かなりドラスチックなもので、これについて清水審議官に来ていただき説明を受けた。その結果、いろいろ意見があったが、次のような会長個人としての談話を発表したい。


  「文部科学省が出した大学の構造改革の方針については真摯に受けとめたい。ただ、今後の検討がなされる過程においては、国立大学協会の設置形態検討特別委員会が出した報告書の内容を十分に反映してもらいたい。そういったことにつきまして、総会の中で意見交換をいたしましたところ、いろいろ意見がございまして、例えば大幅削減をするというようなことが書かれているけれども、これは地方大学の切り捨てにつながらないか非常に心配である。これについて十分配慮してもらわなくては困るということ。あるいはこれからいろいろ国立大学の改革が行われていく中で、あまりにもいろいろなことが起こる結果、大学全体が混乱することになって教育・研究の力が殺がれていく心配がないか。そういうことについて十分な配慮をしながらやっていく必要がある。それから、当然のことでありますけれども、教育および研究というものは国の将来を担うものでありますから、これが混乱することによって国の将来が危うくなるといったことがないように、慎重にやってもらわなくては困るということ。そういった面から言いますと、今まで国立大学が果たしてきた役割といいますのはいろいろあるわけでありまして、もっと社会に評価していただく必要があり、それについてはわれわれのPRも不足していたのかもしれません。一昨日文部科学省が出しました案は、経済界に向けた案で書かれておりまして、学術文化の本質については何ら触れられていない。これについては当然のことながら十分今後大切に考えて進んでいってもらわなくては困るという意見があり、さらに、これまで一年間かかって検討してきた設置特委の報告の作業の努力というのはかなりの面で文部科学省の案に反映されているわけで、われわれの検討の今後についても十分文部科学省はそれを参考にしていただく必要があるという考えです」


石副会長  大変な時期に大変な役割を引き受けたと思っていますが、その意味は、大学改革が広く国民的課題になったということだと思う。今や大学改革というのは、経済界あるいは産業界、経済産業省も含めそちらの方々からの大きな問題提起がある。そういう意味で、われわれは国民的な視点から今後の国立大学の再編等々を考えなければいけない。いわゆる遠山プランを真剣に受けとめて議論をしなければいけない。


松尾副会長  国立大学は積極的に改革あるいは情報の外への発信が足りなかった。今、私は、この問題に関して三年ほど前から非常に恐ろしく感じていることは、国立大学の中に関することについて国民の方々の無関心なのです。今回の問題は、六十年安保や大学紛争と同じように外からかかってきた問題で、その時々にそれに対していろいろなことを考えたわけで、今日も同じような状況です。しかし、「黒船が来た」と悪い方向にとらえずに、大学人自身が積極的に好機ととらえて改革をしていくことが大事です。


質疑応答


記者  真摯に受けとめるとはどういう姿勢か。


会長  遠山プランは民営化ということは一切言わないし、独立行政法人通則法でもない。大学法人法という形で行くと言っているわけで、そういうことについてわれわれは真摯に受けとめて考えるということです。


記者  削減について。


会長  それは深刻に受けとめている。特に地方が切り捨てられないように、地方にある大学も十分機能を果たし大きな貢献をしてきたわけですから、そういうことがきちっとやっていけるように考えてもらわなくては困るという危機感、心配がある。それは責任あるところで十分検討していただくべきことだと認識しています。

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