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.教育を問う第7部5 一律から自立へ
2001.07.01 [he-forum 2224] 教育を問う第7部5 一律から自立へ (日本経済新聞6/27).

『日本経済新聞』2001年6月27日 シリーズ 教育を問う 第7部 改革への青写真 5 一律から自立へ


(前略)


予算も学習内容も国が決める「配給型行政」。行き詰まりは大学でも明らかだ。


 国公私トップ30大学への予算の重点配分、国立大の削減――。文部科学省は今月6日、「大学の構造改革の方針」(通称、遠山プラン)をまとめ、大学行政を急旋回させた。何があったのか。


 5月18日の首相官邸。遠山敦子文科相が、小泉純一郎首相と向き合っていた。


 「国立大は独立行政法人化を進める。民営化は難しい」(遠山文科相)

 「あなたを大臣にした意味がない」(小泉首相)
 大臣が叱責(しっせき)されて、文科省は大学改革にかける首相の意気込みが本気だと悟った。伏線はあった。ちょうど一週間前の小泉首相の参院本会議での答弁。「国立大でも民営化できるところは民営化する視点が大事」。同省はこれを「アドリブ答弁」と受け流していたのだ。


 学長パニックに


 文科省幹部は「小泉内閣発足以来、首相に面罵(めんば)されたのは遠山大臣くらい。首相にかわいがられているからこそ……」と話すが、衝撃の大きさは隠せない。「改革案を示さないと概算要求が通らない」(小野元之事務次官)という危機感から、「遠山プラン」をまとめた。


 そこには「30大学を世界最高水準に」「能力・業績主義の人事システム」「第三者評価による競争原理の導入」などのキーワードが並ぶ。


 「護送船団」に安住する大学に切り込む姿勢に今度は大学の学長が驚いた。石弘光一橋大学長は「パニックになった学長もいた」と話す。


 遠山プランも、国立大本体の民営化に踏み込んだわけではない。大学側への内々の説明も「遠山プランは経済界向けに書いたものでセンセーショナルな表現になった」(文科省幹部)と及び腰だ。


 ただ競争原理を掲げた以上、箸(はし)の上げ下げまで指図する行政にはもう戻れない。配給型行政に終止符を打つ時が来ている。(「教育を問う」取材班)



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