独行法反対首都圏ネットワーク


「大学構造改革」「独立行政法人化」をめぐる現在の情勢について
―「再編・統合」プラン提出の強要―


.
----------------------------------------------------------------------------

「大学構造改革」「独立行政法人化」をめぐる現在の情勢について
―「再編・統合」プラン提出の強要―

2001年7月11日
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

「大学の構造改革の方針」(6月11日)の発表と国立大学協会総会、国立大学長会議の開催以降の情勢の特徴は次の通りである。

一、国大協―臨時総会は開催しない

国大協においては、総会における設置形態検討特別委員会の二文書の提出とその「了承」問題をめぐって、会長記者会見に対する批判が高まった。また、
東大職組の呼びかけによる17大学職組や阪大職組の臨時総会開催要求が行われた。
しかし、国大協理事会(7月5日)は、設置形態検討特別委員会の下にワーキンググループ(責任者: 松尾稔副会長)をつくり「当面の諸課題に対処すること」を決め、多くの臨時総会開催要求に対しては、これを「開催しないこと」を確認した。

二、調査検討会議―「中間報告」は8月末〜9月初

文部科学省の調査検討会議は、8月末から9月初めにかけて「中間報告」を出す作業を進めており、事務局による「中間報告のとりまとめの方向(案)」
(http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130627-1.htm)を「組織業務委員会」(第12回)(2001年6月27日)「人事制度委員会」(第11回)(7月3日)に提出した。この事務局案は、5.27国大協特別委員会の「枠組」よりも、大学運営に外部者を多数入れる点、中期目標への主務大臣の関与など、いっそう問題点を多く含むものとなっている。

現在、各大学は「大学の構造改革への方針」への対応に追われ、「法人化」の制度設計についての議論に手が回らない状況が生まれつつある。しかしながら、この「法人化」の制度設計の内容は、今後の大学のあり方そのものに関わるものであり、引き続きこれに対する取り組みを強化しなければならない。

三、文部科学省―再編・統合「調査費」の来年度概算要求を求める

文部科学省は、7月中旬に事務局長に対するヒアリングを行っている。そこでは、「来年度(2002年度)概算要求で再編・統合の調査費を要求するくらいの構えでプランを作れ(このことを学長に確実に伝えよ)」と号令を飛ばしている。このことは、つまりは本年8月までに「調査費の概算要求を持ってこい」とい
う要求に他ならない。
文部科学省の「構造改革」の具体的な進め方を整理すると次のようになろう。
○2001年12月までに、各大学は「再編・統合」のプランを作ること。
○2002年度概算要求で「調査費」の要求を行うこと。
○2003年度概算要求で「再編・統合」の実施要求を行うこと。
○「法人化」の前提が「再編・統合」であり、それが完了した大学から順次
「法人化」への移行を認めていくこと。
○2004年度から「法人化」への移行を始めること。

四、各大学―大学当局は、情報をオープンにしなければならない

 各大学の「再編・統合」案は、大学単位あるいは学部単位で具体的に検討されている。この検討作業は、学長および事務局長限り、あるいは事務局長限り、などという形で全ての大学で行われていると見るべきである。
 現在は、ほんの一部の大学執行部のみが情報を独占し、「対等合併」「吸収合併」などの駆け引きが、何らの理念も持たないまま行われている。この種の「再編・統合」にあたっては、・「法人化」への先行争い、・概算要求という予算がらみの取り引き、・現員の「分限免職」の可能性、などが取りざたされ
ている。
 現在、大学に必要とされているのは、経済改革の視点しか持たず、大学を明確に新産業の創出機関に変えようとする「構造改革」を批判し、文部科学省が設定した拙速な「スケジュール」に乗らないこと、本来、大学(university)と学問が持つ総合性と連帯を維持・発展させ、公開・対等の原則に基づいて議論を行うことである。高等教育と大学制度の根幹に関わる問題に正面から対峙すること、このことをおいて大学の将来を語ることは決してできない。地方分権、高等教育の機会均等を保障する憲法的原則に基づき、各大学はそれぞれの地域に対しても責任を負っている。この立場を堅持し、各大学が自らの視点で充実させた方針を積極的に展開すべきである。



目次に戻る

東職ホームページに戻る