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法科大学院―これで間に合いますか
2001.6.27 [he-forum 2200] 法科大学院―これで間に合いますか(朝日新聞)
法科大学院―これで間に合いますか
朝日新聞ニュース速報
こんな調子で、約束の期限までに立派な仕組みが作れるのだろうか。
政府の司法制度改革審議会が打ち出した法科大学院構想を巡って、焦りとも戸惑いともつかぬ声があちこちから聞こえてくる。
法科大学院は、法律家の数を大幅に増やし、しかも質を維持・向上させる方策として提案された。米国のロースクールにならって教師と学生の質疑応答を重視した「考えさせる授業」を行い、その過程をくぐり抜けた者は高い確率で司法試験に合格できるようにしよう、というものだ。
理念に異存はない。しかしこれまでの関係機関の取り組みを見ていると、審議会の言う「04年4月からの学生受け入れ開始」が果たして可能なのか、不安を抱かざるを得ない。答えを出さねばならない課題が山積しているにもかかわらず、準備の立ち遅れが随所に認められるからだ。
審議会は昨年秋、旧文部省や法曹三者に対し、法科大学院の設置を認可したり、各大学院の教育・運営状況を第三者が評価したりする際の基準づくりを進め、その結果を速やかに公表するよう求めた。
だが動きは鈍く、半年以上が過ぎた今になっても内容はほとんど詰まっていない。一時、自民党を中心に法科大学院構想そのものに慎重な意見がわき起こり、それへの対応に追われたなどの事情があったにしても、怠慢のそしりは免れまい。
そうでなくても、ぬるま湯の中に安住してきた大学関係者が、審議会が掲げる理想についてこられるのか、疑問視する向きが多い。大学側の意識を切り替え、態勢を整えさせるためには、新しい制度の骨格を早く示さなければならない。
今回の司法改革を推進するための省庁横断型の組織が近く内閣に設置される。これを機に、検討のスピードを一気に速めてもらいたい。
法科大学院では、どんな科目を何単位教えなければならないのか。どのような授業方法が有効なのか。教育の核心というべきこれらのテーマについても、具体的なイメージはまだ見えてこない。
入学者の選抜方法も同様である。審議会は意見書の中で、論理力や分析力をはかる適性試験を全国で統一して行う考えを示した。しかし、その研究は一部の学者や実務家の間で始まったばかりだ。
準備不足のまま入試、開校になだれ込んだ時、被害を受けるのは法律の道を志す若者たちであり、ひいては不十分な法的サービスを提供される国民である。
「法曹界や教育界の都合ではなく、利用者の立場から考える」という、この改革の原点を改めて思い起こすべきだ 使いやすく頼りがいのある司法が実現するかどうかは、つまるところ「人」の養成にかかっている。審議会が描く21世紀の司法像を夢に終わらせぬためにも、土台をしっかり固めることが何より求められる。[2001-06-27-00:17]