独行法反対首都圏ネットワーク |
小泉首相の,公務員の政治活動についての発言へのコメン
2001.6.22 [he-forum 2184] 小泉「改革」の守旧派ぶりが露呈
佐賀大学の豊島です.小泉首相の,公務員の政治活動についての発言へのコメントです.
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朝日新聞6月20日付け記事「首相、公務員の政治活動規則の徹底を指示」の転載を見ると,小泉「革命」が実は反革命に他ならないということが分かる.
朝日の記事は国家公務員法102条を引用し,小泉首相の公務員労働者の政治活動規制発言を実質的に擁護している.
しかしそもそもこの条文と,それにまつわる人事院規則こそが違憲の疑いが強いのである.公務員といえども市民的自由は持っており,その制限は必要最小限でなければならないはずだが,これらの条項は明らかにその範囲を超えている.人事院規則一四
- 七[政治的行為]の条文の一部ををちらりと見るだけでそれは明らかだ.
いわく,政治的団体の結成を企画したり援助してはならない(6項-5号),政治的団体への勧誘運動をしてはならない(6-6),集会などで拡声器を使って政治的な意見を述べてはいけない(6-11),政治的な演劇を演出してはならない,etc.
いやしくも市民的権利を制限しようとする場合には,それを必要最小限にとどめる厳格な限定が---例えば「その地位を利用して」などの---必要なのである.しかし規則にはそのような限定がないどころか,むしろ包括的,無限定的である.詳しくは次のページをご覧いただきたい.
「国家公務員の政治活動の制限・禁止について」
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/PoliticalActivities.html
「規則」には次のような条項もある;
「国立大学の独法化」は,まだ法律にこそなっていないが,国の機関,つまり文部科学省がすでに「決定した政策」である.文部科学省によるその準備作業も「政策の実施」に含まれるとすれば,独法化反対を唱えている国立大学関係者は違法行為を働いていることになる.さて,ではこの文章を見た警察当局は我々を逮捕しにかかるだろうか.
こんなことが民主主義に反すると言うのもばかばかしく,「スターリン主義」とでもいうべき時代錯誤だが,反対運動が違法でないという弁解は規則第五号の「政治の方向に影響を与える意図」がなければよい,という,極めて分かりにくい緩和条項によるほかないのだろう.
およそ近代的な民主国家といえないこのような条文と「規則」が何年も放置されているのが問題である.OECD諸国と比べてみればよい.その違いがすぐに分かるはずだ.いかに「グローバルスタンダード」から外れているかが.小泉氏が上の発言を撤回し,公務員の市民的権利を正当に評価する方向に変わるのであれば,部分的に彼を「改革派」と呼ぶのにやぶさかではないが,そうでなけれは「守旧派」と呼ぶほかはない.
「規制緩和・撤廃」はこのような市民的自由の分野にこそ必要なのだ.何年か前にこの問題をメールグループに提起したときには何の反応もなかったが,今回の「大学改革」のアジェンダにはぜひとも挙げていただきたい.
TOYOSHIMA Kouichi