独行法反対首都圏ネットワーク


声 明 国立大学等の独立行政法人化をめぐる最近の動向と私たちの立場
2001.6.21[he-forum 2176]  声明「独法化をめぐる最近の動向と私たちの立場


声 明

国立大学等の独立行政法人化をめぐる最近の動向と私たちの立場


2001年6月17日

全国大学高専教職員組合中央執行委員会


1 国立大学協会は6月12、13日の両日、定例総会を開催し、設置形態検討特別委員会(以下、「特別委員会」)による国立大学「法人化案」を大筋で「了承」した。今後、「特別委員会」において、法人化を前提とした制度内容の検討を引き続きすすめつつ、文部科学省に意見を反映させるとしている。私たちは6月6日付けで国大協の会長及び全会員に対し、「国立大学協会第108回総会にあたって(要望)」を提出した。「要望」では、国大協「特別委員会」による「国立大学法人化についての基本的考え方」及び「国立大学法人化の枠組」の二つの文書に対し、両文書の間の大きな乖離・矛盾に重大な疑義を呈し、とりわけ「枠組」には黙過できない重大な問題が含まれていることを具体的に指摘し、到底容認できないものであり、「枠組」の再検討を強く求めた。それにもかかわらず、国大協総会において重大な問題を有する「枠組」が「了承」されたことはきわめて遺憾であると言わざるをえない。


2 現在、国立大学をめぐる動きは、主に政治レベルで急速に動いているが、これに対しても私たちは大きな危惧を抱かざるを得ない。
小泉首相の「国立大学の民営化容認」の国会答弁等の動きの中で、6月11日の政府の経済財政諮問会議に急遽、遠山文部科学大臣が出席し、大学の改革方針等について、「大学(国立大学)の構造改革の方針」および「大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン―大学が変わる、日本を変える―」と題する二つの文書に基づき説明した。また、文部科学省は、6月14日に開催された国立大学長等会議で上述の二つの文書に基づき方針を提起した。これらの文書は、大学人の中での検討を一切抜きに、突然出されたものである。しかも、新制大学の重要な理念である「1県1大学」の原則を崩し、大学の再編・統合による大幅な国立大学の削減や「国・公・私トップ30大学への重点的予算配分」等、大学の「自律性」を無視する形で上からの強権的改革をめざすものであり、これまでの文部科学省政策を大きく転換する重大な問題を有している。
この二つの文書を通じて明らかにされた文部科学省の大学・高等教育政策が目指す大学像は、学術研究の本質を欠如させた理念なき改革であり、私たちがめざす大学像と方向性を全く異にするものである。そのため多くの大学人や地方自治体等から多くの批判が出されている。文部科学省がめざす大学像は、現政権の経済財政政策に大学・高等教育政策を従属させ、高等教育と研究を破壊する危険性を有しており、到底容認することはできない。
私たちは、現代における大学・高等教育像を描くのであれば、少なくとも国際競争力強化と市場競争原理万能主義に基づく大学の「スクラップ・アンド・ビルド」という狭い視野ではなく、現代における大学の社会的責務をふまえ、裾野の広い「学術・文化」基盤の充実と継承・発展、教育の機会均等原則の上に立つ幅広い人材の育成、さらに深刻な事態にある人類と地域社会の様々な病理の克服という視座にたつ大学・高等教育の総合的充実こそが必須のものと考える。
私たちは、今日の大学・高等教育像と法人制度のあり方が焦点となっている状況をふまえ、あるべき像をめざして、「対案」の対置をはじめ国公私学の枠を越えた大学・高等教育の総合的充実のため、学内外での幅広い連携・共同の取り組みををさらに強化する決意である。

以上のことを、私たちは、全大学人のみならず、全国民に強く訴えるものである。


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