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国立大削減/地方大の切り捨てなのか
2001.6.21 [he-forum 2171] 北日本新聞社説06/20
『北日本新聞』社説2001年6月20日付
国立大削減/地方大の切り捨てなのか
小泉内閣の改革テンポに追い立てられるように、文部科学省が国立大学の大幅な削減を目指す「大学の構造改革方針」を打ち出した。
県域を超えた大学・学部間の再編・統合を掲げ、新制大学になって以来の「一県一国立大」という方針をやめる考え方で、地方国立大の切り捨てにつながる恐れも出てきた。
方針の骨子は(1)現在九十九ある国立大学の再編・統合を進め、国立大学の数の大幅な削減を目指す(2)国立大学に民間的発想の経営手法を導入し、独立行政法人に早期に移行する(3)第三者評価による競争原理を導入し、国公私立を通じトップ30の大学を育成する―というものだ。
これまで文部科学省が進めてきた国立大の独立行政法人化という枠をはずしたわけではないが、方針全体を通して、改革の主役が、大学当局から「国」に取って代わりそうな強いトーンで貫かれている。
まず再編・統合方針だ。山梨大と山梨医科大の統合など、国立大の独立行政法人化に触発され、各地で大学統合の動きが相次いでいる。いずれも各大学が主体的に判断した結果である。
だが今回は、まず「国立大学数の大幅削減」ありきである。教員養成系、単科大などと分野を例示しているのは、文科省の主導で再編・統合を進めるという意味だ。「ある局面で文科省がプランを出す。見捨てていかざるを得ないこともある」(高等教育局長)という姿勢である。
影響が大きいのは、県域を超えた大学・学部間の再編・統合である。地方国立大は地域の文化、産業を支え、拠点となってきた。それを「スクラップ・アンド・ビルド」するというのだ。地方移管もある、としているが、財政困難な地方公共団体に抱える力があるというのだろうか。
国公立大を巡る動きは十九日の富山県議会でも取り上げられ、中沖知事は独立行政法人化の意義をある面では認めつつも「地方大の削減につながるようだと深刻な問題」と述べ、慎重な対応が必要とした。
文科省がこの方針を示すにあたり、国立大の地域への貢献をどう考えるか、詰めた論議をしたふしはない。地域の存立に関わる重大な問題である。一方的な考えは認められない。