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大学院 8専攻に倍増 山梨大工学部 来春改編めざす
2001.6.20 [he-forum 2168] 山梨日日新聞06/20


山梨日日新聞』2001年6月20日付


大学院 8専攻に倍増 山梨大工学部 来春改編めざす

医大統合と別に検討 県環境研と連携も
 
 山梨大(椎貝博美学長)は十九日までに、来春から工学部の工学研究科修士課程を現行の四専攻から八専攻に拡充する大学院重点化構想をまとめた。「持続社会形成」「自然機能開発」の二つの独立専攻と、「循環システム工学」の一般専攻を新設するとともに、既存の四つの一般専攻を五つに改編する。「持続可能な社会」を研究テーマとする持続社会形成専攻では、県環境科学研究所と共同研究などの連携も検討している。同大は来年十月に山梨医科大との統合を控え、両大で独立研究科(大学院)の開設準備を進めているが、独立研究科
は医学と工学の連携が中心になる見通し。このため山梨大は独立研究科とは別に工学研究科の拡充を検討、来年度予算の概算要求に向けて準備を進めている。


 山梨大の工学研究科には現在、電子情報工学、機械システム工学、土木環境工学、化学生産工学の四つの一般専攻がある。


 同大と山梨医科大の統合シンボルとなる独立研究科については当初、「生命と環境」「情報処理」など工学系を含めた四分野を設ける案が出ていた。その後、医工連携の分野が中心となる方向で検討。代わって山梨大では工学研究科の拡充構想が浮上、既に教授会や評議会で承認している。


 工学研究科の拡充構想によると、新設する二つの独立専攻のうち「持続社会形成」は、経営、産業、国土形成など人と自然、人と人の共生を基調とした、持続可能な社会構築の条件の教育研究を行う。「自然機能開発」では、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、IT技術、エネルギーなど先端科学技術の教育研究を行う。


 中でも持続社会形成専攻では、研究成果を地域社会に還元することを狙い、県に対して県環境科学研究所との連携を要請している。具体的には客員教授として同研究員を派遣してもらったり、学生が同研究所に出向いて共同研究するなどの連携形態を視野に入れている。


 一般専攻として新たに開設する「循環システム工学専攻」では、物質の循環、経済の循環を基調とした循環型社会のための条件の教育研究を行う。循環型社会を可能とする一般廃棄物対策、エネルギー政策などを扱い、来春卒業する循環システム科一期生の受け皿となる。


 また既存の一般専攻については電子情報工学専攻を「コンピュータメディア工学」と「電気電子システム工学」の二専攻に分けるほか、化学生産工学を「物質生命工学」に改称。機械システム、土木環境工学は現状のままとする。


 新設する専攻の定員は持続社会形成二十二人、自然機能開発三十八人、循環システム工学十一人を予定、八専攻全体で現行の四専攻の百四十九人から百八十七人に拡充する。教授、助教授の教員数も百四十九人から百六十六人に増やす。来年四月の新設、改編を目指し現在文部科学省との協議を進めており、近く二○○二年度の概算要求を行う方針。


 伊藤洋山梨大工学部長は「国立大として社会の負託にこたえるためしっかりとした研究成果を挙げていかねばならず、そのために大学院を強化する。国立大と地方研究所との連携はほとんどなく、実現すれば地域の知的ポテンシャルが上がる」と話している。

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