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国立大学長への要望
2001.6.14 he-forum 2119] 国立大学長への要望
国立大学協会総会会場入口に13日朝に置いたものです。辻下 徹
2001年6月13日
全国立大学学長 殿
一国立大学教官としてお願いしたいことがあります。
一昨日、文部科学省はこれまでの曖昧な態度から一変し「日本経済の活性化のために国立大学をスクラップ・アンド・ビルドで活性化」する方針を公的文書で明確にしました。国公私立を問わず30大学(5%の大学)に重点投資し、それ以外の95%の大学の行く末には国として関心を持たないことを広言したのです。憲法に明記されている学問の自由、それを支える大学の自治、そしてそれなしには存続すらできない学術文化有機体に対する、教育行政の無関心がこれほど明確に証明されたことはこれまでなかったと思います。
国立大学は文部科学省の付属施設ですが、憲法と教育基本法が明記するように精神的には行政に従属するわけではありません。本日の国立大学協会総会では、皆さまが高等教育・学術研究に携わる人々の長として、このような大学政策しか示せない教育行政の不見識と職務放棄を叱責する決議をし、明日の全国立大学長会議において文部科学省に伝えるようお願い致します。
未来世代に対する責任感を命綱として、大学を巻き込もうとしている怒濤の濁流に耐えて大学を守ってください。国立大学が利益誘導の誘惑を退け「生き残りを賭けて凌ぎを削る」衝動に耐え相互の信頼関係を保ことにより、精神的価値観を基盤とする一角が社会に存在することを示し、経済的価値観が社会全域を隈無く覆い尽くそうとしつつある日本の精神的暗闇の中に希望の灯を点してください。
なお、国立大学独立行政法人化問題を考える前提は文部科学省により一方的に覆されました。文部科学省の「骨太案」に対する全国立大学のノーの意思表示として、調査検討会議離脱を決議し、国立大学自身が「骨太な」大学改革に取り組む決心をすべき時が来たと思います。事態の急変に機動的に適切に対処し国立大学協会の見識と意思を明確に示すことにより日本社会から受けている信頼に応え、大学の自治の存在と意義とを示してください。
「骨太な」大学改革では設置形態問題のような問題に留まらず、初等中等教育を根底から歪めている大学入試に伴う諸問題、高進学率に応じた大学進化の適切な方向、学費高騰問題等々、一朝一夕では解決ができない問題の解決を意図する「骨太案」を具体的に呈示することが日本社会から求められているのではないでしょうか。
どうかしっかりしてくださいますよう、お願い致します。
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