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国立大の構造改革 大学自ら積極的に道筋を
2001.6.13 he-forum 2109] 北國新聞社説06/12


『北國新聞』および『富山新聞』社説2001年6月12日付


国立大の構造改革 大学自ら積極的に道筋を


 遠山敦子文部科学相は経済財政諮問会議で「大学(国立大)の構造改革の方針」を明らかにした。


 新制大学がスタートして五十二年、地域の産業との共同研究を先導してきた理工系学部、地域医療の中核を担ってきた医薬学系学部など、地方の国立大が果たしてきた役割は大きい。しかし、今、大学全入時代を迎えて、地方の大学は選ばれる時代になろうとしている。今後もさまざまなニーズにこたえ地域に貢献していくためには、その実績に安住していては生き残れまい。個性と魅力を高める大胆な独立法人化を打ち出すなど、大学自らが大学の構造改革を大学改革の一環として積極的にとらえ、その道筋をつけてほしい。


 国立大については、現行の国営方式から独立法人化して運営や組織の独立性を持たせ競争原理を強める方向で同省の委員会や国立大学協会の論議が進んでいる。方針はこれとは別に、小泉純一郎首相が国会で民営化の検討を表明したのを受けて、文部科学省がまとめたものである。


 その主な内容は▽現在九十九ある国立大については教員養成系大学・学部などの再編・統合、地方自治体への移管を進めて大幅に削減する▽国立大に能力主義など民間の経営手法を取り入れ独立法人化を早期に実現する▽競争原理を促進し、国公私立を問わず優れた業績を上げた大学には予算を重点的に配分し、世界に通用する「トップ三〇大学」を育成する―などである。


 文部科学省はこれまで建前上はすべての国立大を同列に扱う護送船団方式を取ってきた。が、方針は大学教育の自由化を打ち出した大学設置基準の大綱化十年を機に、競争促進方式に改めたと言えよう。この十年、私立大に比べて国立大の大学改革は遅々として進んでいないからだろう。これを加速するには大学は戦後五十年にわたる大学の来し方を点検し、国際社会の中でこれからの大学のあるべき姿を探り、具体策を打ち出すことが大事だ。


 ただ、競争促進方式にも効率化ばかりを求める、長期的な研究を疎外するといった問題点があることは否定できない。構造改革のマイナス面をカバーする仕組みを大学が打ち出す必要もあろう。

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