独行法反対首都圏ネットワーク


国大協総会にあたり、すべての総会出席者に訴える(首都圏ネット)
2001.6.12 [he-forum 2104]  国大協総会にあたり、すべての総会出席者に訴え


国大協総会にあたり、すべての総会出席者に訴える
―5.21文書を明確に拒否し、独立行政法人化反対の立場を再確認せよ―


2001年6月12日
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


まず、5.21文書の拒否を
 国大協設置形態検討特別委員会の「5.21文書」は、通則法に基づく独法化に道を開 くものである。それに加え、大学の運営に学外者を迎え入れ、トップダウンの組織下 に評議会と教授会の権限を縮小するなど、大学自治を否定しかねない重大な内容を含 んでいる(詳細は、5月14日付け及び5月24日付けの首都圏ネット事務局声明を参照して いただきたい)。国大協総会で行わなければならない第一の課題は、まず5.21文書を拒 否することである。


6.1要旨はいかなる「要旨」か
 6月1日の理事会後に出された、長尾特別委員会委員長作成の「6.1要旨」は、 「5.21文書」について、「これは社会の意見を反映する仕組みを持たない独立行政法 人通則法にくらべて、はるかによい制度設計になっている」と自ら評価している。し かし、この「要旨」は、通則法に準拠して、より問題の多い「国立大学法人化の枠 組」の要約(むしろその補強)であって、「国立大学法人化の基本的考え方」の内容を 含んでいない。しかも、この「要旨」は理事会の同意を経て発表されたものではない と聞いている。


高まる批判
 このような、5.21文書と6.1要旨に対する批判は、大きな広がりを見せている。すで に、九州地区国立大学長会議(5.24)をはじめ、全大教や全国各地の多数の教職員組 合、教職員の自主的組織や諸団体が一致して、5.21文書の問題点を指摘している。ま た6月8日には、国立大学農学系学部長会議が、「枠組」の内容を批判し、「大学にふ さわしい制度設計」を求める意見書を国大協に提出している。国立大学協会は、こう した声に依拠して、総会において通則法と変わるところのない5.21文書を決定すべき ではない。


文部科学省調査検討会議(5.31)の検討案を批判すべき
 文部科学省は、5月31日の調査検討会議で、一部業務の民営化と一層の効率化を促す 方針を含む検討案を提示した。文部科学省は、「民営化できる大学の業務の範囲につ いて『制限は設けない』」と述べたと報道されており(日本経済新聞)、極めて重大な 内容を含んでいる。特に地方国立大学においては、自治体や民間への切り売り、縮 小・廃止への道をたどるのではないかという危惧が強い。高等教育の機会均等という 観点からも、このような方針は厳しく批判されるべきである。


「大学の構造改革の方針」とはいったい何か
 遠山文部科学相は、6月11日の経済財政諮問会議で「大学(国立大学)の構造改革の方 針」を表明した。国立大学に民間的経営手法を取り入れ、再編・統合を積極的に進 め、国立大学数を大幅に削減することをその柱としている。これもまた、国土の均衡 ある発展という立場を変え、地方国立大学に甚大な影響を与えるものと言える。国大 協は、このような「構造改革」に対し、批判的立場を表明することが必要である。


5.21文書の拒否から議論が始まる
 国立大学協会は、通則法に基づく独法化を認めるのか、それとも従来の立場を堅持 し、きっぱりと拒否するのか。そのことがはっきりと問われている。国の政策目標に 基づいて大学の目標を策定することは、5.21文書のうち「国立大学法人化の基本的考 え方」において正しく批判されている通りである。また、中期目標―中期計画―評 価、評価に基づく資源配分、という通則法の骨格を維
持したまま、大学の自治や高等教育の教育・研究機能を発展させることは決してでき ない。


大学教職員の自発性に依拠した改革を
 大学の活動を内部において支え、担うのは教員であり、職員である。その自発性と 内発性を信頼してはじめて、真の改革を行うことができる。国立大学協会は、大学自 治と高等教育の一個の主体であることを自覚し、目先の政治状況や文部科学省の方針 に左右されることなく、大学の構成員に依拠して、事態の根源を見すえた方向を示す ことを強く訴える。


資 料


5.7 国大協設置形態検討特別委員会・専門委員会連絡会議の原案「国立大学法人化の 枠組(検討案)」策定。5月17日の報道まで公表されず


5.9 尾身科学技術担当相が「国立大は非公務員型の独立行政法人にすべきだ」と発言 (読売新聞)


5.11 文部科学省、「授業料一律から格差容認へ 国立大、法人化後に」(共同通信)


5.11 小泉首相、参議院本会議で、「国立大学でも民営化できるところは民営化する、 地方に譲るべきものは譲るという視点が大事だ」と強調


5.15 「国公立大、教官に任期制相次ぐ」(日本経済新聞)


5.17 「国立大法人化 教職員の非公務員型も 国大協原案 任期制の導入提言」(東京新聞)


5.18 全国で独立行政法人化に反対する緊急集会


5.18 中教審第六回総会で、吉川弘之大学分科会長が「国立大学の独立行政法人化を非 公務員型とすること」等と発言(全私学新聞5/23)


5.21 国大協設置形態検討特別委員会開催、「国大協特別委 学外者の運営参画盛る 法 人化案大筋了承 業績給導入も提言」(東京新聞5/22)


5.24 「国公立大職員は非公務員型 総合科学技術会議が方針」(共同通信)


5.25 平沼経済産業相の、「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」(平沼プラン)で国 立大学の独立行政法人化を打ち出す(時事通信)


5.31 九州地区国立大学長会議(24日開催)が意見並びに要望を提出


5.31 経済財政諮問会議「厚生年金を民営化、空港・大学も」(日本経済新聞)


5.31 文部科学省調査検討会議、「独立法人化: 国立大の業務の一部を民間に文科省方 針」(毎日新聞)「国立大運営に学外者参加へ 定員は国の規制維持」(共同通信)「国 立大民営化へ新制度・文科省」(日本経済新聞6/1)「国立大法人化 付属学校民営化を 提案 文科省調査検討会議 一部業務の委託も」(東京新聞6/1)


6.1 国立大学協会理事会後の記者会見で、「国立大学の法人化についての要旨」「国 立大学法人化についての基本的考え方」「国立大学法人化の枠組」の三文書を配布、 「法人化による改革を強調 国大協の長尾会長」(共同通信)「要旨」は全大学には配 布されず


6.2 総合規制改革会議の論点項目に「国立大学の独立行政法人化」が含まれる


6.4 「国立大付属の病院や研究所の民営化検討・・・文科省」(読売新聞)


6.5 「大学院も信賞必罰 博士号少なきゃ経費あげません」(東京新聞)、「国立付属病 院など民営化示唆 遠山文科相」(東京新聞)


6.6 「育英会の奨学事業見直し 特殊法人改革で石原行革相」(共同通信)


6.6 「現職破り東京外大学長に池端雪浦氏」(朝日新聞6/8)


6.8 「経済財政諮問会議: 国立大民営化も 基本方針原案明らかに」(毎日新聞)


6.8 全国の教職員組合、諸団体が学長・国大協への要望書を提出


6.8 国立大学農学系学部長会議声明−大学にふさわしい制度設計を−


6.10 「大学改革、トップ30校を選抜・育成 文科省方針・国立大は大幅削減」(日本経 済新聞)「国立大を大幅減、再編や統合を促進・・・文科省方針」(読売新聞)「国立大 の大幅削減目指す 再編統合を積極推進」(共同通信)


6.11 遠山文科相、経済財政諮問会議で、(1)国立大の再編、統合を進め、削減を目指 す(2)民間の経営手法を導入し早期に国立大学法人に移行(3)第三者評価による競争原 理を導入し、国公私立30校を世界最高水準に育成する―を柱とする「大学構造改革の 方針」を発表(朝日)14日の国立大学長会議で説明される(東京)


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