独行法反対首都圏ネットワーク


東京学芸大学教員100名の要望書
2001.6.11 [he-forum 2092]  東京学芸大学教員100名の要望書

東京学芸大学において、、教官有志100名(氏名は割愛)で、下記の要望書を学長 に手渡し、同じものを国大協に送付しました。


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「独立行政法人通則法」の貫徹を許さず
       大学の自主性を尊重する法的枠組みを


 国立大学協会の設置形態検討特別委員会は、5月21日、「国立大学法人化につい ての基本的な考え方(以下、『基本的な考え方』)」を発表した。この案は、6月1 2日、13日に行なわれる国立大学協会総会に提案される予定で、国立大学の設置形 態をめぐる問題は一気に緊迫した状況を迎えている。
 『基本的な考え方』は、「独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用す ることに強く反対する」姿勢を「変更する必要はない」としたうえで、法人化への対 応にさいして、(1)高等教育・学術研究に対する国の責務、(2)大学の自主性・ 自立性、(3)社会に開かれた大学、の3点を基本的な考え方として示した。しかし、 前半の考え方の部分と後半の具体的枠組みの間には大きな落差があり、「通則法」の 枠組みが後半部分に持ち込まれた矛盾した提案となっている。
 これまで国立大学の法人化問題をめぐっては、教育研究組織や定員配置の自主的な 決定、単年度を超えた予算執行、服務規定の緩和などが可能になり、大学の自主性、 自立性、自己責任性が高まると言われてきた。しかし、国立大学法人という名称を冠 しながら「通則法」の枠組みが貫徹されるならば、こうした利点はほとんど生じない ことになる。むしろ、学長選考、学外者の参画、中期計画の設定・認可・評価のシス テム、競争的予算配分、等々の在り方において、大学の自主性、自立性が大きく制約 されるものとならざるをえない。
 東京学芸大学は、「有為な教育者」の養成を理念として掲げ、今日の教育課題に主 体性をもって取り組んできた。教員養成の新しい在り方の検討と新カリキュラムの策 定、大学院改革の推進と現職教育体制の整備、学生のよりよい教育環境の整備と地域 社会への開放。すべてこうした努力は、全学が一丸となって合意形成をして初めて実 を結ぶものである。 
そのような大学に、トップダウン型の管理運営体制を本旨とする通則法の原則は、馴 染まないものである。私たちは、国立大学を法人化する場合には、名目的にも実質的 にも通則法を出なければならないと考える。そうでなければ、わが国の教育と研究に 取り返しのつかない禍根を残すことになると考えるからである。
 このような立場から、私たちは、国立大学協会がさらに全国の国立大学教員の英知 を集め、大学人としての良識を貫いた最善の方策を選択する努力を続けていくことを 強く求めるものである。

2001年6月8日


教員100名

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