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(6/9)大学改革、トップ30校を選抜・育成 文科省方針・国立大は大幅削減
2001.6.10 [he-forum 2077] 日経新聞の記事(6/10)
(6/9)大学改革、トップ30校を選抜・育成
文部科学省がまとめた「大学(国立大学)の構造改革の方針」が9日、明らかになった。再編・統合で国立大学の数を大幅に削減する一方、優れた業績の大学には国公私立を問わず資金を重点的に配分、世界に通用する「トップ30」大学の育成を目指す。付属学校やビジネススクールなど国立大学の機能の一部について独立採算制の導入を盛り込み、将来の民営化に含みをもたせている。
護送船団方式の大学行政から、“アメとムチ”による大学間の競争促進型行政への転換だが、地方大学の切り捨てにつながるといった反対論が残る国立大学協会内の独立法人化論議にも波紋を広げそうだ。
遠山敦子文科相が11日、経済財政諮問会議で方針を表明する。
国立大学の削減については、少子化による教員の新規採用減少を受けて、教育大学・教育学部について規模の縮小・再編を進めるほか、地方自治体への移管検討を明記。医科大などの単科大学についても、他大学との統合に加え地方移管検討を盛り込んだ。さらに県域を超えた大学・学部間の再編・統合なども進めることをうたっている。
民間的発想の経営手法導入では、大学役員や経営組織に外部専門家を登用や、能力主義・業績主義に立った新しい人事システムの導入――などを進める。
これまで文科省は東京大学や京都大学など有力大学を中心に研究費などの重点配分を強めてきたが、建前上はすべての国立大学を同列に扱ってきた。しかし、日本の大学の国際競争力の低さを懸念する声が産業界のほか大学内部でも高まり、一律行政に対する批判が出ていた。文科省が方針の中で、国公私「トップ30」育成と、具体的な数字を示したことで、先端の学術研究を主眼にする大学と、教育中心の大学と、大学の分類が進むことになる。
香川大と香川医科大、山梨大と山梨医科大、宮崎大と宮崎医科大、筑波大と図書館情報大、東京商船大と東京水産大、神戸大と神戸商船大、九州大と九州芸術工科大。いずれも、国立大学の独法化問題が浮上してから、統合問題が浮上した国立大学だ。今年4月には、東京都内の東京医科歯科、東京外語、東京工業、一橋の4大学連合も正式に発足し、教育大学を中心にいくつもの再編のうわさも飛び交っている。
一面では、文科省の改革方針はこうした現状を追認したものといえ、ある国立大学学長は、「99の国立大学が今のまま生き残るのは無理なのだから、文科省の指摘も当然だ」と評価する。だが、改革方針には「国立大学の数の大幅な削減」「スクラップ・アンド・ビルドで活性化」「地方移管等も検討」といった「これまでにないきつい表現」(大学関係者)が並ぶ。
もともと、地方国立大学の間では、「地方の国立大学が戦後半世紀、地域社会で果たしてきた貢献が正当に評価されていない」(立川涼・前高知大学長)という不満が根強かった。小泉純一郎首相が国会答弁で、国立大学の民営化に言及していたこともあって、「いずれ独法化よりもっと厳しい方針が政府から示されるのではないか」という懸念も広まっていただけに、国からの分離を意味する地方移管の検討まで踏み込んだ文科省に対する不満が高まることも予想される。