鹿児島大学緊急集会報告
2001.6.9 [he-forum 2074] Re: 鹿児島大学緊急集会報告
全国のみなさんへ
笹川@鹿児島大学教職員組合です。
6月6日に鹿児島大学教職員組合と科学者会議鹿児島支部の共催で「鹿大が危ない!
国立大学の独法化に反対する緊急集会」を開催し、拙速な国立大学の独立行政法人化に反対していくことを確認するとともに、緊急アピールを採決しました。また、集会での議論をもとに学長宛てに要請書を渡しました。
以下に、田中弘允学長宛の要望書をお送り致します。
平成13年6月6
日
鹿児島大学長
田中弘允 殿
鹿児島大学教職員組合
委員長 仲村政文
科学者会議鹿児島支部
代表幹事 広瀬敏和
国立大学協会第108回総会にあたって(要望)
拝啓
学長におかれましては、大学の運営と教育研究の発展にご尽力され、また国立大学の独立行政法人化問題につきましては反対のお立場でご活躍しておられますことに敬意を表します。さて、国立大学の独立行政法人化をめぐる情勢は急を告げております。文部科学省の調査検討会議は、法人の組織、運営などをめぐりかなりの意見対立があるにも拘わらず、「中間まとめ」案の検討を進め、本年度中に「最終まとめ」を出す日程を組んでいると言われます。一方国大協は、5月21日に開催された設置形態検討特別委員会で「国立大学法人化についての基本的な考え方」(案)および「国立大学法人化の1つのありうる枠組」をまとめ、6月1日の理事会において一部修正の上で承認し、6月12−13日の国大協定例総会ではそれらについて討議する予定と伺っております。かりに国大協のこれらの案が総会で決定ないし了解されるなら、これによって独立行政法人化をめぐる国大協の公式の立場が確定されることになるものと思われます。
「国立大学法人化についての基本的な考え方」(案)のなかでは、大学の自主性・自立性について「学術研究は、ときの政治社会状況に左右されない自由な発想や、これまでの真理・常識とされてきたことを疑うところから出発する。・・・・大学は、既成の価値体系・価値観に拘束される存在であってはならない。いわゆる大学の自治が要請される実質的根拠は、この点にある。」「大学が、既成の価値体系を前提に成り立っている国や社会に縛られないということは、高等教育および学術研究の本質から要請される基本線である。」と述べています。原案がこのように言うとき、「大学の自治」の本質が正しく把握されている、と私たちは考えています。もし、このような大学の自治論から出発すれば、「国立大学法人化の枠組」のなかで提示されている管理運営組織のあり方は生まれてこないはずです。「国立大学法人化の枠組」のなかでは管理運営組織として3つの案を提示していますが、いずれも「経営財務」に関して学外者の関与を強めるという構成をとっています。他方、学内者で構成する評議会や教授会の権限が縮小しているので、事実上の経営と教学の分離が意図されていると言わざるをえません。このことは、大学の自治により保証される長期の視点に立った研究・教育を揺るがすものです。
私たちは、「基本的な考え方」の中で述べられる崇高な考え方と「枠組み」の中で述べられる内容の矛盾に危惧を抱いております。つきましては、学長に国立大学協会第108回総会にあたって以下の点を勘案いただいた発言をいただきたく、ここに要望する次第です。
1.大学等の管理・運営に対する無制限な学外有識者の参加は、これを認めないこと。
2.大学の中期目標を主務省の審査・許可事項とせず、「協議」「助言」にとどめること。
3.評価と資源配分を無媒介に直結しないこと。
4.「競争原理」を絶対的な価値とみなす立場をとらず、大学の果たすべき学術研究の理念に立った枠組みをつくること。
5.総会終了後であっても、提示された2つの文章については、評議会、学部教授会
などで丁寧な議論を重ね、その内容が反映されるような手立てを講ずること。
以上、私どもの要望の趣旨をご理解いただきますようお願い申し上げます。
敬具
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