文教科学委員会2001.5.31会議録・有馬朗人議員の質疑より
2001.6.9 [he-forum 2071] 文教科学委員会5.31:有馬議員の質疑より
文教科学委員会2001.5.31会議録・有馬朗人議員の質疑より
1- 50 国立大学の独立行政法人化の現状
51-101 高等教育財政の拡充の必要性について
103-115 「君子が豹変した」わけ
113-114 「私は法人化と言い、独立行政法人化とは言いませんでした」
117-129 3つの質問
独立行政法人でなく大学法人にできないか
事務官・技術職人事も大学の自由意思でできるか
評価・中期目標策定を文部省はどのように行うか
201-251 オーバーヘッド制について
253-330 学生定員を減らす必要性・教養部再建の必要性について
332-335 特殊法人の研究所を独立行政法人化すべきことについて
[he-forum 2071] 文教科学委員会5.31:有馬議員の質疑より 1 ○有馬朗人君 先ほど阿南委員より講座制の問題がありましたけれども、医学
2 部はともかくとして、かなり多くのところで、遠山大臣がお答えになられたよ
3 うに、既に大講座制も行われていますし、小講座制でも工夫して、随分講座制
4 の欠点はもう既になくなっているところが多いと思っております。
5
6 さて、まず第一に、国立大学法人化の問題、先ほど阿南委員からも御質問が
7 ありましたが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
8
9 一九九九年四月二十七日の閣議決定で、国立大学の独立行政法人化について
10 は大学改革の一環として平成十五年までに結論を得るとされました。一九九九
11 年九月二十日であったと思いますが、国立大学長・大学共同利用機関長等会議
12 の席上、文部省より国立大学の独立行政法人化の際の基本的な方向の説明、私
13 もいたしましたし、当時の高等教育局長よりさまざまな説明があり、さまざま
14 な提案が行われました。
15
16 その後、文部省でも、先ほど遠山大臣がおっしゃられたように、御検討になっ
17 ておられると思いますし、国立大学協会、さらには各国立大学で真剣な検討が
18 行われていると聞いておりますが、その経緯について遠山大臣にお伺いいたし
19 たいと思います。
20
21 ○国務大臣(遠山敦子君) 我が省におきまして、御指摘の平成十一年の閣議
22 決定を受けまして、平成十一年九月の国立大学長会議において国立大学の独立
23 行政法人化を検討する場合の基本的な考え方や方向を明らかにしたところでご
24 ざいまして、そのときの有馬大臣の大変な御努力といいますか、心中をお察し
25 いたしまして、そこまで持ってこられたことについて敬意を表したいと思いま
26 す。
27
28 その後、各国立大学長との意見交換等を経まして、昨年五月の国立大学長会
29 議におきまして、一つは、大学の特性に配慮しながら、独立行政法人通則法に
30 一定の調整を図り、法人化する方向で制度の具体的な内容についての検討に着
31 手すること、そして、検討課題が広範にわたりますために、国立大学関係者や
32 各界の有識者によって構成される調査検討会議において検討を行うということ
33 で、今年度中に取りまとめをお願いすることとしたわけでございます。このと
34 きは中曽根大臣でございました。
35
36 これを踏まえまして、昨年の七月以来、調査検討会議を開催いたしまして、
37 国立大学が法人化した場合の制度の具体的な内容について検討を進めておりま
38 して、本年の秋までには中間まとめを、平成十三年度中に最終報告を取りまと
39 める予定でございます。
40
41 また、今御指摘の国立大学協会におきましては、平成十一年九月に第一常置
42 委員会が国立大学が法人化する場合の諸条件について中間報告を取りまとめま
43 して、また昨年の七月には設置形態検討特別委員会を設置しまして、今日まで
44 国大協として国立大学を法人化する場合の制度設計について鋭意御検討をいた
45 だいているところでございます。そのように承知いたしておりまして、また同
46 時に学内においてもさまざまな検討が行われていると思っております。
47
48 我が省といたしましては、この関係者の御意見を受けながら、引き続き真剣
49 に検討してまいりたいと考えております。
50
51 ○有馬朗人君 ありがとうございました。
52
53 私は行政改革会議で国立大学独法化の提案がありましたときに委員といたし
54 まして反対をいたしました。その理由のうち大きな点が二つありました。その
55 二つのどちらも、高等教育にもっと国や地方自治体が寄与すべきであるという
56 ことであります。
57
58 国際比較をいたしますと、日本ほど私学に頼っている国はありません。ドイ
59 ツでは一、二校を除いてすべて州立、フランス、イギリスは一、二校を除いて
60 国立であります。アメリカと日本は全大学のうち七五%程度が私学という点で
61 は共通でありますが、そこで教育する学生数はアメリカでは四〇%弱でありま
62 して、六〇%は州立大学が受け持っております。それに反して、日本は七五%
63 を私立にゆだねており、二五%を国立、公立で教育しています。私はもっと国
64 公立の教育の役割を増すべきだと主張した次第であります。
65
66 次に、お手元に資料がお配りしてあると思いますが、高等教育への公財政支
67 出の割合であります。二〇〇〇年版のOECDの調査、これは一九九七年ごろ
68 の資料に基づいていると思いますが、国内総生産に対してアメリカは一・四%、
69 イギリスは〇・七%、フランスは一・〇%、ドイツ一・〇%ですが、日本は〇・
70 五%にすぎません。私は日本の百分率が余りにも低いと思うのです。
71
72 もっとも、平成十三年度版の文部科学省の「教育指標の国際比較」によりま
73 すと、アメリカは一・一%、イギリスは一・四%、フランスは一・〇%、ドイ
74 ツ一・五%であり、日本は〇・八%であります。この差はOECDの調査より
75 は少ないのですが、それでもアメリカの七三%、イギリスの五七%にすぎませ
76 ん。さらに、日本の数字は一九九八年、イギリスは一九九七年、アメリカは一
77 九九六年などの年度差があることを考えに入れますと、この差はもっと大きい
78 のかもしれません。
79
80 私は、日本の国の構造改革の一つとして、この高等教育に対する公財政支出
81 の割合を何とかふやしていただけないかと希望いたします。そして、国立大学
82 の悲劇的な施設の改善や私学助成の強化を図っていただきたいのであります。
83 遠山大臣の御方針、お覚悟を御表明いただければ幸いでございます。
84
85 ○国務大臣(遠山敦子君) 有馬委員御指摘のとおりでありまして、日本にお
86 ける高等教育への公財政支出の割合は極めて低いところでございます。私も同
87 様に、高等教育なりあるいは初等中等教育なり、文化も含めまして、こういう
88 本当の将来に向かって先行投資になるような分野にどうして日本は投資が少な
89 いのであろうかと常々考えておりまして、御指摘のとおりと申し上げたいわけ
90 でございますが、同時に大変厳しい財政状況のもとでございます。そんな中で
91 何を優先していくかということで一国のあり方が問われるのだと思います。私
92 どもも大いにこの点については努めてまいりたいと思います。
93
94 それから、特に国立大学の自然科学系の研究の条件でございますが、有馬委
95 員が貧乏物語として明瞭に語られましたように、素晴らしい研究をしていくに
96 は余りにも条件がよくないと。そういうことも十分私ども承知いたしておりま
97 して、先月、国立大学等施設緊急整備五カ年計画を策定いたしまして、重点的、
98 計画的に整備を図ろうとしているところでございます。この点と、それから私
99 学に対しましても、私学も大変重要な役割を担っておりますので、経常費補助
100 やあるいは教育研究施設設備等に対する補助の充実を図ってはまいりましたが、
101 まだ一層努力をすべきことであると考えております。
102
103 ○有馬朗人君 大変ありがとうございました。期待をいたしておりますので、
104 よろしくお願いいたします。
105
106 国立大学の法人化に私は先ほど申しましたように反対いたしましたが、その
107 後賛成に変わりました。私は君子とは決して思っておりませんが、豹変いたし
108 ました。
109
110 その理由は、諸外国の国立、公立の大学のほとんどが法人格を持っていると
111 いうことを文部省が調査され、私自身も調査をいたしまして知ったからであり
112 ます。そして、法人格を持つことによって予算の執行や人事においてはるかに
113 自由度が得られ、真の意味で大学に自治が与えられるからです。ここで私は法
114 人化と言い、独立行政法人化とは言いませんでした。それは大学での研究や教
115 育は行政を目的とするものではないからであります。
116
117 ここで幾つか大臣に御質問申し上げます。後にまた副大臣にも御質問申し上
118 げます。
119
120 まず第一に、難しい問題と思いますが、独立行政法人ではなく大学法人とい
121 うふうにしていただけるだろうか、これが第一問。第二問は、大学法人化によっ
122 て、予算や教員だけでなく、事務官、技術職の人々の人事も大学の自由意思で
123 行われるようになるのでありますか。三番目に、文部省はどのようにして大学
124 の評価を行い、中期目標を立てるのでしょうか。その際、大学相互、社会人を
125 含めた大学人相互の評価、大学自体の自律的な教育研究目標を十分に考慮に入
126 れていただきたいと思いますが、どういう御方針か。
127
128 まず、この三問について遠山大臣にお伺いいたしたいと思います。よろしく
129 お願いいたします。
130
131 ○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学の法人化に当たりまして、これは運営の
132 自主性あるいは自律性、特に高度の専門性を持つものでございまして、そうし
133 た大学の特性を十分に踏まえた制度となるよう留意する必要があるというのは
134 お考えと同じでございます。法人の名称につきましても、大学教育及び学術研
135 究を主体的に展開するという大学の基本的な性格が適切に反映されることが望
136 ましいと考えております。
137
138 ただ、今どのようにするかということは申し上げられる段階でございません
139 で、現在、調査検討会議におきまして、法人の名称を含めて専門的に御検討い
140 ただいているところでございます。それが第一点でございます。
141
142 それから、第二点でございますが、大学法人化によって、予算や教官だけで
143 なく事務、技術職人事も大学の自由意思で行えるようになるのかということで
144 ございますけれども、これは当然ながら法人の長が事務職員、技術職員等、す
145 べての職員についての任命権を有することになるわけでございます。独立行政
146 法人がそういうことでございますので、国立大学の法人化についても同様の方
147 向で検討を行っているところでございます。
148
149 あと、評価のことにつきましては副大臣の方からお答えしてもよろしゅうご
150 ざいますか。評価の関係ですね。
151
152 ○有馬朗人君 はい。
153
154 ○副大臣(岸田文雄君) 評価、そして中期目標についての御質問でございま
155 した。
156
157 通則法による独立行政法人におきましては、主務大臣が中期目標を定め、こ
158 れを当該法人に指示することとされております。また、当該法人は、中期目標
159 期間中の実務の実績について、主務省に置かれる評価委員会による評価を受け
160 なければならないとされております。これは通則法における独立行政法人一般
161 の仕組みであります。
162
163 こういった法律の状況に対しまして、文部科学省におきましては、国立大学
164 の法人化につきまして有識者による調査検討会議を設け、具体的な制度のあり
165 方等の検討を進めているところでありますが、この中で、御指摘の中期目標の
166 作成や業務実績の評価のあり方についても、留意する観点としまして、大学の
167 自主性を尊重する観点、そして評価の専門性に留意する観点、この二つを大切
168 にしながら議論を進めているところでございます。
169
170 そして、具体的には、中期目標の作成手続については各大学が文部科学大臣
171 に中期目標案を提案し、そして大臣の方は各大学の意見を十分聴取して、その
172 上で中期目標を作成するといった案などを今検討しているところでございます。
173
174 また、評価についてでありますが、中期目標期間中の業務の実績に係る評価
175 については、まず各大学がみずから厳正な自己点検・評価を行い、さらに教育
176 研究に関する事項については大学評価・学位授与機構が専門的な観点から評価
177 を行い、そしてさらにその上で文部科学省の評価委員会がこれらの結果やその
178 他の各種の自主的団体の行う評価結果等を参考として総合的な評価を実施する
179 といったような案を今検討しておるところでございます。
180
181 いずれにしましても、大学の特殊性に配慮した仕組みが必要だという認識の
182 もとにこういった検討をしておるところでございます。
183
184 ○有馬朗人君 どうぞよろしくお願いいたします。
185
186 各大学に特徴があり、やはりその専門の人々でないとわからない教育内容が
187 あり、研究内容がございますので、その点は十分御検討を賜りたいと思います。
188
189 さて、先ほど阿南委員が指摘されました大変重要な点がございます。そのこ
190 とについてお伺いいたしたいと思います。
191
192 日の当たる分野は文部省から科学研究費補助金等、民間から奨学寄附金等を
193 得やすいのでありますが、阿南委員がおっしゃられたインド哲学、私は常にサ
194 ンスクリット研究を引用いたしますが、そういう分野、考古学、私の分野であ
195 る理論物理学や数学のように、直接すぐには社会への貢献が見えないような分
196 野の教育や研究をどのように維持するのか。私は、このような人類の英知を伝
197 承し育てていくということは社会的なニーズに応じることと同様に大学の使命
198 と考えておりますが、この点、どうお考えか。この点についてお伺いいたしま
199 す。
200
201 もう一つそれにつけ加えて、日の当たらないような地味な分野の研究をどう
202 支えていくかということでありますが、具体的に考えられますことは、外部か
203 ら与えられた教育研究用の基金は、例えば五〇%ないし三〇%のオーバーヘッ
204 ドを取ってそれを学長たちのもとに集め、大学の自主性で再分配する機能を導
205 入すべきだと思っております。アメリカの大学に勤めていたころの経験から、
206 このオーバーヘッドというのは極めて重要であると思っております。この点に
207 ついてお考えをお聞かせいただきたいと思います。ぜひ、少なくとも三〇%の
208 オーバーヘッドを大学が使える制度を確立し、その使用を、どこかでプールす
209 るのではなく各大学の自主性に任せて分配をさせていただきたいと考えており
210 ます。
211
212 この点、岸田副大臣にお伺いいたします。
213
214 ○副大臣(岸田文雄君) まず、一点目でございますが、先生御指摘のとおり、
215 大学は社会の現代的な要請に適時にこたえることも大切でありますが、一方で、
216 人類の知的資産の継承と未来を開く新しい知の創造等、さまざまな面において
217 社会の発展を支えていく中心的な役割を果たすことが期待されているという認
218 識でおります。
219
220 ですので、例えば先ほど出ました独立行政法人制度の議論にしましても、こ
221 の独立行政法人制度は、民営化が難しく、公共上の見地から確実に実施される
222 必要がある事業を対象としており、このため、独立採算性ではなく、独立行政
223 法人制度においても国における所要の財源措置が前提というふうに認識してお
224 ります。
225
226 ですから、こうした前提に立てば、独立行政法人化が進んだとしましても、
227 基礎的な学問分野、直接社会への貢献が見えにくい基礎的な学問分野につきま
228 しても切り捨てにつながることはないものと認識しておりますし、ないように
229 しなければいけないと考えておるところでございます。それが一点目のお答え
230 でございます。
231
232 それから二点目、オーバーヘッドにつきまして御指摘がございました。
233
234 平成十三年度より、競争的資金を獲得した研究者の属する研究機関に対して、
235 間接経費として当面競争的資金の三〇%を配分するということとしておるとこ
236 ろでございます。
237
238 文部科学省関係の主要な競争的資金において総額八十九億円計上しておるわ
239 けでありますが、文部科学省としましては、今後とも、例えば国立大学の独立
240 行政法人化の検討に際しましても、自己努力が報われるような制度設計を図る
241 と同時に、大学の財政基盤が強化され、競争的な環境を通じて一層我が国の高
242 等教育が高度化、活性化していくこと、この二つを念頭に置いて充実を図って
243 いかなければいけないというふうに思っております。
244
245 そして、今、最後に先生の方からこの運用につきまして御指摘がありました
246 が、その点につきましても今のその考え方のもとに具体的に弾力的に対応して
247 いかなければいけないという認識でおります。
248
249 ○有馬朗人君 たびたび申し上げることでありますが、オーバーヘッド制度と
250 いうのは日の当たらない分野を育てる上で極めて重要だということを申し上げ
251 ておきたいと思います。
252
253 さて、極めて現実的な質問に入らせていただきます。これは高等教育局長に
254 お答えいただいた方がいいかもしれません。
255
256 第二次ベビーブームに伴って人口増がありましたね。十八歳の人口は、ちょ
257 うど私が東大の学長をしているときでありますが、一九九二年に頂点に達し、
258 二百五万人になりました。それに対応して文部省は各大学に臨時定員増を要請
259 され、それに伴って国立大学の場合には教官数も臨時に増してくださったこと
260 がありました。
261
262 さて、十八歳人口は逆に急減しています。ことしは既に百五十万人、二〇一
263 一年には百二十万人になります。私はこの点を非常に心配しているわけであり
264 ます。
265
266 各大学は臨時定員の分をかなりの部分減らしましたが、この人口減の割合に
267 は到底及びません。もし比例させるといたしますと、東京大学の例では、一九
268 九二年の入学定員は臨時増をした結果三千五百八十六人であったと思います。
269 現在の入学定員は三千二百五十三人、これを人口に比例させますと二千六百二
270 十四人にしなければなりません。今、六百人余計にとっておるわけです。二〇
271 一一年には二千百人ほどにしなければなりません。
272
273 このように、十八歳人口の急減にもかかわらず各大学の定員は余り減らして
274 いない。そうすれば、当然大学生の学力は、平均値は下がると思いますが、ど
275 うお考えでしょうか。現に学力が下がった下がったと主張される人々はほとん
276 どが大学の教員であるというのはもっともだと私は思っています。
277
278 かつて人口増に対しては極めて適切な臨時増を文部省として実行されました
279 が、逆に十八歳の人口が減った際、学生定員をもっと減らすという考えはない
280 のか、お伺いいたします。
281
282 二点目であります。
283
284 もし減らさないならば、各大学は大学での基礎教育を強化すべきだと思いま
285 す。その時代に教養部を解体してしまったというのは、私は大失敗であったと
286 思っているわけです。先が見えなかったということを大変残念に思っています。
287 東京大学はこのことを予見して、幸い学部でありましたので、教養学部を強化
288 いたしました。
289
290 この教養部解体に関して、文部省として再建するお考えはないか。もし再建
291 ができないならば、どのような方針でお進めになるか。できれば、まずは大臣
292 あるいは副大臣より御意見を賜り、高等教育局長より具体的なお返事をいただ
293 ければ幸いであります。
294
295 ○副大臣(岸田文雄君) 今、先生から人口減との比較において大学の定員に
296 ついての御指摘をいただいたわけですが、十八歳人口の減少の中で大学教育全
297 体の質の維持向上を図る観点から、現実、大学の学部定員の全体規模について
298 は基本的に抑制的に対応して、国立大学の学部について言うと、平成四年が十
299 万二千三百四十四人、平成十三年が九万七千三百三十七人ということでありま
300 すから、五千七人減少させているわけであります。しかし、人口比との関係で
301 まだこの辺は不十分だという御指摘だと思います。
302
303 こうした御指摘は真剣に受けとめなければいけないと考えておりますが、一
304 方で、現代社会が高度化し複雑化しあるいは専門化していく、こうした変化に
305 応じ、あるいは高度な課題探求能力や専門的知識を有すること、こういったこ
306 とが社会生活を送る上で広く求められているように認識しております。こうし
307 た時代の変化ですとかあるいは国民の大学への進学意欲、こうしたものもしっ
308 かりと受けとめていかなければいけない、この辺のバランスをどう考えるかと
309 いうことだと思っております。
310
311 そして、二点目の問題で、今後もっと減らすのか、どうだという御質問でご
312 ざいましたが、やはり傾向としましては、人口比は、全体としてこうなってお
313 りますので、減少させる方向には進めていかなければいけないとは思っており
314 ますが、先ほど言いましたような社会のニーズあるいは国民の進学意欲をどう
315 受けとめるか、この辺の観点の中でどのぐらい減らしていくのか。さらには、
316 これは要は予算との関係、財政との関係もあります。その議論の中でその数字
317 は固まっていくものだというふうに思っております。
318
319 そして、三点目、基礎的な学力、教養部のあり方、これについての御質問で
320 あります。
321
322 平成三年の大学設置基準の大綱化によりまして各大学の自由なカリキュラム
323 編成が可能になったことに伴い、各大学の方針に基づき、教養部を廃止して専
324 門教育と融合した教育体制としたわけであります。先生御指摘のとおりであり
325 ますが、このことは、昨今改めて教養教育の重要性が認識されていると考えて
326 おります。そういった動きをしっかり受けとめて、実質的な充実に向けては現
327 在各大学の主体的な取り組みに任せられているわけでありますが、この主体的
328 な取り組みの中で教養教育の重要性、これをしっかりと受けとめていただける
329 ように対応をお願いしていかなければいけない、そういった認識で文部科学省
330 としてはおるところでございます。
331
332 ○有馬朗人君 本来、特殊法人の研究所を独立行政法人の研究所にすべきであ
333 るということを私は主張いたしたく思いました。そして、そのことについて青
334 山副大臣のお考えをお聞かせいただきたかったのですが、時間が参りましたの
335 でまた次の機会にやらせていただきます。
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