独行法反対首都圏ネットワーク


東職、国大協会長へ要望書提出
2001.6.7  [he-forum 2041]  東職、国大協会長へ要望書提出


 東京大学職員組合(東職)です。


 東職は6/6、下記の要望書を国大協会長へ宛て、提出しました。また佐々木東大総長へも送付し、通知しました。


************国大協会長宛て要望書*************


国立大学協会
会長 長尾 真 殿


要 望 書


国大協総会において5.21特別委提案の了承・決定を行わないよう、重ねて要望します。


2001年6月6日


東京大学職員組合

執行委員長 田端 博邦


 貴協会の日頃のご活躍に敬意を表します。

 さて、貴協会は、6月1日に理事会で、設置形態検討特別委員会の文書「国立大学法人化についての基本的な考え方」の取扱いについて協議し、6月12・13日に開かれる総会への提案(以下、特別委提案)を決めました。この文書は、5月21日付け専門委員会連絡会議の原案(以下、原案)から若干の修正を経ているものの、その大筋はまったく変わっておらず、われわれとしては到底容認できるものではありません。


 東職は原案提出後の5月25日、直ちに声明(以下、5.25声明)を発表し、「国大協が総会においてこの原案の了承・決定を行わないこと、大学の自治を堅持する立場に立って行動すること」を要求しましたが、ここで再度、貴総会が特別委提案を了承・決定せず、毅然として「大学の自治」を守る立場に立つよう、強く要望します。

 われわれは、万が一この特別委提案が了承・決定されるようなことになれば、「独法化をめぐる国大協の公式の立場が確定することになる」との見方から、「5.25声明」において、@原案提出から3週間ほどしかない短時日のうちに総会での決定をみようとしていること、Aよって各国立大学の教授会や評議会での十分な議論が事実上不可能であること、Bさらに教職員組合との協議もほとんどなしえないであろうこと、を挙げ、国立大学の意思決定には、手続きとしても「不適切」ではないかとの強い疑念を表明しました。
 各国立大学および構成員の議論によって、民主的な意思決定を行なうべきである、という立場からも、貴総会の拙速な決定が行なわれないよう、求めるものであります。


 特別委提案においても、最も基本的な問題点は、「大学の自主性・自律性の拡大」を法人化の目的として掲げつつ、具体的な制度の構想において大学の自主性・自立性を著しく損なう結果に帰着しているということであるのは、原案から変わりがありません。

また原案では別紙を「国立大学法人化の1つのありうる枠組」としていたのが、特別委提案では「国立大学法人化の枠組」とタイトルを変え、さらに法人化の実現企図に擦り寄る姿勢を見せていることはさらなる問題であり、看過できるものではありません。
 内容としては、「外部有識者の運営への参画を一層拡大する」という観点から管理運営組織のあり方に関する3つの「方式」を提案していますが、いずれも「経営財務」に関して学外者の関与を強めるという構成をとっています。他方で、学内者で構成する評議会や教授会の権限が縮小しているので、事実上の経営と教学の分離が意図されていると言わざるをえません。経営財務という大学運営の基本に外部からのコントロールが及ぶとすれば、もはや「大学の自治」を語ることはできません。「社会との連携」という名目による「外部からの入力」が第1の問題点であります。


 意思決定権限を含む学長権限の強化、役員会の設置による執行機能の強化、それとパラレルな評議会、教授会権限の縮減も根本的な問題であります。こうした組織編成は、構成員が平等な権利を有する組織の原理(民主主義)に反し、大学の本質的な性格に背馳しています。

 しかし、問題はそれだけではありません。そのような執行権限優先の構造は、「外部からの入力」に適合的なものであり、そのためのものであるとも言えます。構成員の自立した意思を基礎とする大学運営を廃棄し、「上からの」そして「外からの」決定に基づく大学運営のシステムを導入すること、それが原案から特別委提案に引き続き述べられている制度構想に一貫するモチーフにほかなりません。学長選考において、構成員による選挙制が意識的に文章から排除され、学外者の意見の反映が主張されていることも、これと軌を一にしています。


 「学術研究は、ときの政治社会状況に左右されない自由な発想や、これまで真理・常識とされてきたことを疑うところから出発する。・・・大学は、既成の価値体系・価値観に拘束される存在であってはならない。いわゆる大学の自治が要請される実質的根拠は、この点にある。」「大学が、既成の価値体系を前提に成り立っている国や社会に縛られないということは、高等教育および学術研究の本質から要請される基本線である。」


 原案から変わらず、特別委提案はこのように述べ、そこでは確かに「大学の自治」の本質が正しく把握されている、とわれわれは考えます。しかし、もし、このような大学の自治論から出発するならば、けっしてこのような提案にはならないはずです。貴協会がこうした大学の自治の原点に立って真摯に再考することをわれわれは要望します。


 さらに目標評価、人事制度、財務・会計などには原案から引き続き、多くの問題がありますが、ここでは触れません。

 ともかくも基本的な問題は、貴総会における特別委提案が、大学のあり方を根本的に変える可能性のあるものであるということであり、そうした提案が個別大学における十分な検討なしに決定されようとしていることであります。
 われわれは、貴総会において、特別委提案の了承・決定を行わないこと、大学の自治を堅持する立場に立って行動することを重ねて強く要望いたします。

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