京都地区国大協連主催の6・3シンポジウム
2001.5.30 he-forum 1989] 京都地区国大協連主催
6・3シンポジウム
京都地区国立大学教職員組合連合(京都教育大学教職員組合・京都工芸繊維大学職員
組合・京都大学職員組合)は、下記の通り、6・3大学の自治と国立大学の独立行政
法人化を考えるシンポジウムを開催します。
以下、同企画内容をお送りします。
6・3大学の自治と国立大学の独立行政法人化を考えるシンポジウム
主催 京都地区国立大学教職員組合連合
(京都教育大学教職員組合・京都工芸繊維大学職員組合・京都大学職員組合)(連
絡先 075-761-8916)
日時 6月3日(日)午後1時〜午後4時30分
会場 京都私学会館 地下大会議室 (室町通り高辻角:四条烏丸三筋下がる一筋西
入る五条警察署の裏)
プログラム
13:00〜13:15 実行委員長挨拶
13:15〜14:15 講演「大学 はどこまで社会のリーダーたり得るか」
講師:小林正彦 氏(東京大学農学生命科学研究科教授,前副学長)
14:30〜16:30 パネルディスカッション
小林正彦 氏
加藤重樹 氏(京都大学理学研究科教授,研究科長,理論化学)
徳永宗雄 氏(京都大学文学研究科教授,評議員,東洋古典学)
宗川吉汪 氏(京都工芸繊維大学教授、細胞分子工学)
コーディネーター 西谷滋人 氏(京都大学工学研究科助教授,京大職員組合
副委員長,材料工学)
趣意書
6・3大学の自治と国立大学の独立行政法人化を考えるシンポジウムは、何よりも
大学の関係者が大学とは何ぞや、どのように運営されるべきものなのか、責任と自覚
を持ってアピールすることをその中心的な目的として考えて、企画いたしました。
いま、大学に対して大きな期待が寄せられるようになってきており、かつ、国立大
学の独立行政法人化という重大な制度改変の具体化がすすめられています。
大学関係者のみなさん、市民のみなさん、大学、学術研究、高等教育に関心をお持
ちのみなさん、ともに大学のあり方を考え話し合う機会として、ぜひ本シンポジウム
に参加されるよう、呼びかけます。
国立大学の独立行政法人化という問題が1997年に浮上して以来、いま、一つの大き
な節目に来ていると思います。2000年7月に文部省「国立大学等の独立行政法人化に
関する調査検討会議」が設置され、組織業務委員会、目標評価委員会、人事制度委員
会、財務会計制度委員会の4委員会が置かれ、この6月にも方向性が「論点整理」と
してまとめられると伝えられています。
このような中、全国の国立大学の連合体である国立大学協会も急ピッチで国大協プ
ランをまとめようとしています。昨年7月に国大協・設置形態検討特別委員会が設置
され、この5月21日には同専門委員連絡会議が「国立大学法人化についての基本的な
考え方」「国立大学法人化の1つのありうる枠組」という文書を発表し、6月1日の
理事会、6月12日の国大協総会に提案される予定です。これらの文書については、大
学関係者自らが作成したものであり、「高等教育・学術研究に対する国の責務」と
「大学の自主性・自律性」「社会に開かれた大学」についてあらためて強く主張する
ものとなっています。ただし「社会に開かれた大学」の課題に答えるために「制度上
の仕組み」として「大学運営に学外者を参加させる」という方向性を示しているのが
特徴的です。これは、文部省の調査検討会議でも議論されている<学外者が大学の経
営に関与する制度設計>に呼応するものであり、社会の要請に対して大学が自主的・
自律的に対応するというのではなく、学外者の参画によって直接大学がコントロール
されることになりかねないという意味で重大な危惧を感じるものです。さらに、「枠
組」文書では、中期目標−中期計画−評価、評価にもとづく資源配分と基本的に「独
立行政法人通則法」の枠組みに沿うものがまとめられています。国大協の言う「独立
行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することに強く反対する」について
は、「そのままの形」ではなく若干手直しすればよろしいと考えているようにすら思
えます。「基本的な考え方」で述べていることと「枠組」で提案していることがどう
接続されるのか、まったくわかりませんし、多くの点で矛盾があるように思われま
す。
このように「大学の自主性・自律性」が根本的に重要であると主張しながら、それ
を大きく阻害することになるであろう制度的枠組みを提言しているというのが、本文
書の基本的特徴です。大学のあり方はそれぞれの大学こそが主体となって考え、社会
に提示し、行動していくべきことです。各大学での構成員による真剣な議論をすすめ
る時間的余裕もなく、各大学の自主的なあり方を基本にすえた対応にもなっていませ
ん。学外者を入れるかどうか、任期制を導入するかどうか、などについて私たちは大
きな問題があるとみなしていますが、それらも国大協が、あるいは国が議論すべきこ
とというより、基本的には各大学が自主的・自律的に論じ対応すべきことであると思
われます。
私たちは、あらためて大学の自治の力というものを大事にし、その問題点を直視し
ていく必要があると考えています。それは大学関係者自らがその責任と自覚でもって
取り組むことであり、社会各層の方々のご批判やご支援、ご理解を得ながらすすめて
いくべきことであり、そもそもこの2点が弱いということを感じています。
そこで、今回の「6・3大学の自治と国立大学の独立行政法人化を考えるシンポジ
ウム」を企画いたしました。東京大学でこの3月まで副学長を務め「大学憲章」づく
りをすすめてこられた小林正彦教授にご講演をお願いし、大学のあり方論を語り、そ
れを通じて国立大学の独立行政法人化の問題点と対抗策を論じていただく予定です。
「大学憲章」を自ら定めて大学を自主的に運営しようとすることで、大学は自主的・
自律的に規範を形成し、それに基づいて関係者もまた自主的・自律的に考え行動する
という運動が自己組織化されることになります。単なる文章をつくるというのではな
く、そのような大学の自治を実際に具体化する動きを創り出し、チェックし、発展さ
せていくことが求められているのです。つぎに、小林教授のご講演を受けて行われる
パネルディスカッションでは、大学の存在意義と役割、いまの大学の問題点、大学の
運営のあり方と法人化問題といった点について、会場からの発言も交えて、話し合い
たいと考えています。
このシンポジウムが、大学の自治を自ら担う動きというものを育み、社会各層に大
学というものについてご理解いただく機会になれば幸いです。みなさんのご支援、ご
協力よろしくお願いします。
(以上)
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