独行法反対首都圏ネットワーク


国立大法人化、「非公務員型」も導入を
2001.5.26 [he-forum 1975] 富山新聞社説05/25


『富山新聞』社説2001年5月25日付


国立大法人化、「非公務員型」も導入を


 国立大学協会は、教員の給与体系を各大学独自に導入することができるなど自主と裁量を拡大することを柱とした国立大独立法人化原案をまとめた。


 焦点の教職員の身分については国家公務員を基本としながらも、国家公務員法に縛られない「非公務員型」の導入にも含みを残した。これまでの協会内部の論議で支持する声が少なくなかったからだ。原案は来月の国大協総会での論議のたたき台となる。


 国大協は米国のような非公務員型身分の導入を最終案の中にきちんと位置づけ、認める方向を打ち出してもらいたい。兼業や兼職ができるなど、より自由な教育・研究環境を整えることができる。


 原案は、目標達成度など国の評価結果を国の運営交付金の配分に反映させることや、学外の識者を大学運営に参加させることも提言した。一方、文部科学省の検討会議もさきごろ法人化に伴う大学の目標や評価に関する素案をまとめた。それによると▽目標達成の期間は原則六年とする▽達成度の総合評価は大学の自己評価を勘案し文部科学省が行う▽運営交付金の算定に総合評価を反映させる―などである。国大協と文部科学省の案はおおむね一致しており、新しい大学運営像が見えてきた。


 独立法人化の目的は、教育や研究を活発にすることにあり、それには成果をできるだけ公正に評価して競争原理を機能させることが必要だ。文部科学省は、制度のカギを握る評価組織として現在の「大学評価・学位授与機構」の活用を想定している。国大協も具体策を詰めてほしい。


 仕組みが実際に効果を上げるためには、教員の身分に多様性を持たせることが大事である。現行のように国立大教員が一様に国家公務員では、研究そのものの評価よりも過去の実績や学閥に寄り掛かった事なかれ的な評価に落ち着きやすい。大胆に産官学共同ができる非公務員型身分の導入や機動的に組織を組み替えることのできる任期制ポストの活用で競争を促進し、日本の研究評価の現状を打破する必要があろう。


 内閣府の総合科学技術会議も国公立大教職員の身分を非公務員型にする検討を始めた。多様な身分と人材で活気ある大学運営にしたい。

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