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新産業創出へ15政策課題
2001.5.24 [he-forum 1960] 新産業創出へ15政策課題(読売新聞)


新産業創出へ15政策課題


読売新聞ニュース速報


 二十五日に初会合が開かれる政府の産業構造改革・雇用対策本部で平沼経済産業相が表明する「新市場・雇用創出に向けた重点プラン(平沼プラン)」の全容が、二十三日、明らかになった。プランは新産業創出に向けて十五の政策課題をあげ、研究開発分野では、大学の学部・学科の新設を自由化するなどして競争原理を導入し、大学が関与する特許取得件数を十年で十倍、大学での研究から生まれるベンチャー企業数を三年で一千社にするなどの目標を掲げた。
 半導体関連産業が集まる米カリフォルニアのシリコンバレーのような世界的な産業集積地を、日本にもIT(情報技術)やバイオ産業でつくり、企業の新規開業数を五年間で倍増することも打ち出した。
 また、終身雇用制を前提とした雇用体系を大幅に見直すとともに、子育てによる女性就労率の低下防止に力点を置き、駅前などに公設民営の保育所をつくることなども盛り込んでいる。
 政府は「平沼プラン」をもとに同本部での議論を進め、六月下旬に中間取りまとめを行って、経済財政諮問会議がまとめる財政運営の基本方針とともに、小泉内閣の構造改革の基本とする。
 「平沼プラン」は、古い産業から新しい産業への構造改革を進めることを狙っている。
 このため、薬づけ医療の一因と指摘される診療報酬のあり方を再検討して医療・介護サービスを活性化し、新たな「健康市場」を開拓するなど、医療・福祉、教育、環境などの分野にも競争原理を導入するとしている。
 雇用問題に関しては、労働時間によらずに賃金を決める裁量労働制や、労働者派遣制度を大幅に拡充することを打ち出した。
 ◆大学などで「競争的研究資金」拡充を◆

 二十三日に明らかになった「新市場・雇用創出に向けた重点プラン(平沼プラン)」は、終身雇用制度の見直しや、医療、教育、環境分野への市場競争原理の導入などを盛り込み「能力本位、結果主義」の考え方を重視しているのが特徴だ。これまでの新規産業育成策や雇用対策は、補助金や助成金をばらまくだけに終わりがちだったが、このプランでは、すべての失業者を無条件に救う「セーフティーネット(安全装置)」は用意されておらず、小泉首相が掲げる「痛みを伴う改革」を示す内容となっている。
 雇用面では、日本の雇用安定を担ってきた終身雇用制の弊害を指摘し、雇用の流動化策をとるよう求めているが、雇用保険の給付期間の延長といった従来の対策ではなく、能力訓練の拡充に力点が置かれている。このため、積極的に技能や知識を身につけたい人にとっては、強力な“援軍”になりそうだ。それだけに、国民の側も、自らの雇用を確保するための努力を迫られそうだ。
 研究・開発など、これまで競争が不足していた分野に、市場原理を導入する方向を強く打ち出したのも特徴だ。国が大学や公的研究機関などに補助・委託する研究費は年間三兆円にも上っているが、この九割は研究員の数などの規模に比例して機械的に配分されていた。これに対して、平沼プランでは、国や企業が研究テーマに応じて特定の大学や研究員を助成できる「競争的研究資金」の拡充を求めている。
 また、国の審査に二年以上かかることもあるといわれる大学の学部・学科新設が自由化されれば、有名大学でなくても、特色のある教育ができ、学生の質も向上する可能性がある。
 医療分野では、病名によってどのくらいの医療費がかかるか標準モデルを示し、“薬づけ”の医療を許さず、医者同士が低価格競争をするように促す。介護・福祉でも認可保育所への民間参入を進めるなど、歴代内閣で積み残されてきた改革の課題に踏み込んだ。
[2001-05-24-03:00]


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