独行法反対首都圏ネットワーク


経団連意見書抜粋
2001.5.21 [he-forum 1947] 経団連意見書抜粋


経団連意見書抜粋


地域における産業集積戦略のあり方―付加価値創造型産業の集積を目指して―2001年5月18日(社)経済団体連合会


全文は、

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2001/024.html


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4.地域における大学等の研究開発機能の活性化


(1) 産学官連携の中心となる大学の研究開発機能の向上大学改革の推進


  国は、大学に対する監督、関与のあり方について、事前チェックから事後チェック型の行政への転換を図ることにより、大学の自立性、大学間の競争を促進する方向で見直すとともに、国立大学等に対する地方自治体の関与の余地を拡大し、地域に開かれた大学運営が行われるようにすべきである。とりわけ、大学における研究機能の強化を図る際には、地域の経済・産業の発展に貢献しているかどうかを一つの基準として、外部(第三者)による研究評価を行うとともに、国内外の優秀な研究者が地域の大学に結集するような環境整備を進めることが必要である。


  優れた成果を生み出す研究システムを構築するため、競争的資金の一層の充実に加え、国立大学の独立行政法人化に際し、地域で活動する産業人も参加する評価機関の設立や産業界との共同研究実績・特許取得等に応じた給与制度の導入、非公務員型教職員の採用を大学が選択できる制度の導入、地域の大学間における単位の相互付与制度・学生による教員の評価の導入促進などを図るべきであり、これらにより大学間及び大学内部における研究者間の競争をより一層促進する必要がある。


産学官連携における大学の役割の重視


  地域の大学は、地域の研究拠点としてセンター・オブ・エクセレンスの形成に努めるべきである。具体的には、内外の優秀な研究者を結集させ、実用化を前提とした研究開発を推進するため、任期付任用制の一層の活用を図るとともに、産学の共同プロジェクトにかかわる教官は、一定期間の管理事務、入試、授業担当などの義務を免除するなど、より研究に集中させる環境を整備することも重要である。
  産学官の人材交流を進める観点からは、国立大学、国研、研究開発型独立行政法人の研究者等の休職に係る手続の簡素化・任期付任用制における採用手続きの簡素化・任期設定の柔軟化、給与等待遇の弾力化などを図る必要がある。同時に、産学連携をより実効のあがるものにするために、大学内に産と学をつなぐリエゾン担当を配置するとともに、TLOと連携することにより、産と学のコーディネート機能を強化することが必要である。大学が研究資金集めのために、テーマを外部に説明する機会を積極的に設けるべきである。
  加えて、外部資金の受け入れに当たっては、民間の契約事務と同様の柔軟かつ迅速な事務処理が必要である。


大学における施設整備や技術情報のデータベース化の推進


  地域の企業、とりわけベンチャー企業等が大学の研究施設を活用することにより、優れた研究成果の創出と実用化に結びつけることが重要である。したがって、国立大学の施設については、産学の共同研究等を通じて積極的に活用されるべきである。加えて、大学は各大学の教官の専門分野や研究テーマなどを積極的に公開し、民間との共同研究に積極的に活用すべきである。


(2) 大学の研究成果等の民間移転や大学発ベンチャーの促進


特許の有効活用

  国は、特許の有効活用を図る観点から、国立大学において研究者が発明した特許を大学帰属とし、その収入を研究資金として適切に環流させるとともに、大学及びTLOの活動資金として活用できるよう、また大学と民間企業の間で国有特許の譲渡や専用実施権の付与などが自由に契約ができるよう、制度を見直すべきである。


大学の産業連携組織の整備・充実


  大学の主体的、組織的な取り組みによって研究成果の社会還元を効果的に進めるため、大学内でリエゾン機能、法務契約機能、TLO機能、インキュベータ機能を併せ持つことも重要であり、産学共同研究センター等を活用して、これらに対応する産学連携組織を整備し、専門的人材を配置すべきである。
  また、TLOの技術移転機能の強化のため、TLOの技術分野ごとの専門性を高めることが不可欠であり、研究開発、製品企画、販売促進等の各分野について、専門知識を有する人材を職員として採用すべきである。さらに、TLOの役割として、技術移転だけでなく、ベンチャー企業に対する創業支援等のインキュベータとしての機能も付与すべきである。こうした取り組みにより、大学発ベンチャーの促進が図られよう。


(3) 地方自治体による国立大学等への寄附制限の緩和等


  地域の国立大学等が地域経済・産業の発展に貢献するという姿勢を明確にする場合には、大学の研究者が地域の経済・産業の発展に貢献する研究プロジェクトや関連する施設整備の資金を地方自治体が寄附できるよう、国は地方財政再建促進特別措置法を見直し、寄附にかかる制限を緩和すべきである。また、既に整備が進んでいる公立のインキュベータ施設の活性化を図るべきである。


(4) 生産・研究開発拠点の複合的集積


  新しい産業集積は、生産機能と大学を中心とした研究開発機能が一体となった形で形成される。国は、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、工業用地、業務用地、その他用地を別地区に振り分ける場合には、生産拠点と研究開発拠点を組み合わせ、生産と研究開発の集積メリットが発揮される用地レイアウトが可能となるようにすべきである。そのなかで、産学の研究施設等の相互利用を積極的に推進すべきである。
  あわせて、都市計画法に基づく用途地域の変更を柔軟に行うとともに、工業(場)等制限法のさらなる見直しを図り、大都市部における生産機能、並びに大学等研究機能の空洞化を防止する必要がある。

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