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<ニュース展望>単位互換超え、未来像模索 国立4大学連合
2001.519 [he-forum 1945] 単位互換超え、未来像模索 国立4大学連合(毎日新聞)


<ニュース展望>単位互換超え、未来像模索 国立4大学連合


毎日新聞ニュース速報


 一橋大、東京医科歯科大、東京工業大、東京外国語大の国立4大学が「大学連合」を正式に発足させ、来年4月から各大学の特徴を生かす「複合領域」の授業を開講することを決めた。それぞれの分野でトップレベルの国立大学が手を結ぶ構想が浮かんでからおよそ2年。大学の未来像を模索する大きな実験が動き出した。


 連合を組むにあたり、4大学は「憲章」を作った。キーワードは「国際競争に耐えうる研究教育体制の確立」。学生の授業履修や進学について選択の幅を広げ、海外の大学との提携など、異なる分野の融合で、学際・複合領域の教育研究を進めることになる。


 具体的には、「複合領域コース」の設置と「編入学」「複数学士号」の修得が第1ステップになる。


 複合領域コースは、各大学がそれぞれ専門に関する講座を出し合って作る総合授業だ。生物学や生命倫理学、家族法などをミックスし、生命とは何かを学ぶ「総合生命科学コース」(東京外国語大を除く3大学で構成)▽国際社会学や民族誌、開発システム工学、公衆衛生などから海外協力のあり方を身に付ける「海外協力コース」(同)▽都市社会学、法医学、都市計画学などで快適な生活を考える「生活空間研究コース」(同)など、8コースを計画している。東京外国語大は、連合参加の学内決定が遅れたため、現在コース作りを進めている。


 これらのコースに、各大学から希望する学生が参加し、勉強しながら交流する。今年、入学した学生が2年になる時点で開講し、卒業単位にも換算する。


 さらに、この複合領域コースを履修している学生に対して、互いの大学への3年時の編入学も認める(東京医科歯科大の医学・歯学科は除く)。「複数学士号」は、例えば、一橋大に入学した学生が、複合領域コースを履修した上で同大で経済学士号を取り、東工大に学士入学して1〜2年程度学んで工学士が取れる仕組みだ。


 単科大学が、それぞれの専門領域を持ち合うメリットを、一橋大の石弘光学長は「学生が複眼的視野を持つことができる」と話す。東京医科歯科大の鈴木章夫学長も「サイエンスとアートの両方を教えられる。欧米先進国の大学はすでにその傾向だ」と指摘。国際競争を見据えた戦略であることを強調する。


 連合のきっかけは、国立大の独立行政法人化だった。複数の大学で1法人を作ることも有り得たことから、学長同士の懇談で「できないだろうか」と話し合ったという。その結果、「競争力をつける」「教育力を高める」という、すべての大学で問われる課題を先取りして取り組む結果となった。


 大学連合は今後、教授らの共同研究プロジェクトや米国の有名大学との連携を実施する計画だ。「米国のカリフォルニア大バークレー校との提携を考えている。学生の交換留学や教授の共同研究が進めばいい」(石学長)と、さらなる広がりを模索する。だが、4大学の合併統合になると「難しい」(同)という。名称の問題やOBからの反発が予想される上、独立した単科大の緩い連合体ほうが身が軽く交流しやすいという見方だ。


 私立大を中心に単位互換制度は広がっている。早稲田大は、日本女子大などとの提携や京都地区の42大学・短大との単位互換協定を結んだ。教育サービス向上の観点から、今後も各地で互換協定を結ぶ大学は増えるだろう。


 4大学連合は単位互換を越えたつながりだ。これが成功すれば、大学の特徴を生かした新たな形の「再編」が一挙に進むことになりそうだ。


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