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 国立大  学費、一定枠で自由化  独立法人化検討委合意  進学制限の恐れも
2001.5.12 [he-forum 1911] 東京新聞05/12


『東京新聞』2001年5月12日付


  国立大  学費、一定枠で自由化

  独立法人化検討委合意  進学制限の恐れも


  国立大学の独立行政法人化について検討している文部科学省の調査検討会議の委員会(主査・石弘光一橋大学長)は、十一日、二〇〇四(平成十六)年度にも法人化する国立大学の学費を各法人(大学)の裁量にゆだねることで合意した。学費の高騰やダンピングを防ぐため、一定の枠を設ける方針だ。国立大の学費は現在、一律に年四十九万六千八百円と決まっている。大学裁量となることで、将来は、学部の別や人気の度合いによって、学費に差が出そうだ。


  委員会では、学生の納付金について(1)国が一律に額を決定する(2)国が一定の幅を示し、その範囲内で各法人が設定する(3)各法人がすべて自由に設定する―の三案を検討。現状のように一律で決めた場合は大学の自主性や自律性を高めるという法人化の趣旨に反し、各法人の自由にすれば私学との差があいまいになることなどから、一定の枠内で各大学の裁量に任せることに落ち着いた。


  大学教育に要する経費は、医学部や工学部など理系学部と、文学部や法学部など文科系の学部で大きく異なる。一定の枠内で自由化した場合、経費のかかる理系で学費が上がり、文系で下がる可能性がある。


  また、人気大学の学費が上がり、受験生確保が難しい大学の学費が下がることも予想される。


  国立大の学費は現在、学部や研究科に関係なく同額。文部科学省と財務省の折衝で額が決まり、各国立大が関与する余地はない。


  七五年の年間授業料は私立大平均の五分の一以下と格安だったが、その後、差を少なくする方針が打ち出され、ほぼ二年ごとに値上げされている。


  八〇年には二分の一、二〇〇〇年度には一・六分の一と、徐々に差が縮まっている。入学料はすでに、国私立間でほとんど差がない。


  医学部などで学費が値上げされた場合、所得水準が低い家庭の子弟の進学が、事実上制限されることも考えられる。こうしたバリアは、能力に応じて広く国民に高等教育を提供するという国立大の存在価値に反する面もあり、今後、論議を呼ぶとみられる。

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