北海道大学の新学長に中村睦男教授−−きょう就任/北海道
2001.5.3 [he-forum 1884] 毎日新聞05/01
『毎日新聞』北海道版2001年5月1日付
北海道大学の新学長に中村睦男教授−−きょう就任/北海道
◇「学部の枠を超えた新しい分野の研究を推進したい」
北海道大の新学長に1日、就任する中村睦男教授(62)は就任前、毎日新聞の取材に応じ、文部科学省が進める国立大学の独立行政法人化について「効率化だけでとらえてはならない」と慎重な姿勢を示した。また、学生の現状を見据えたうえで、必要なら入試科目を増やす考えを明らかにし、専門の憲法については、「拙速に(憲法改正に)取り組むべきでない」と述べた。学長としては「文系や理系などの枠組みを超えた、新しい分野の研究推進にリーダーシップをとりたい」と意欲を見せた。【江口一】
中村新学長は、基礎研究にいっそう力を入れる方針を示したほか、学部横断
的な研究を進めることを強調した。例として「倫理」と「社会のあり方」や
「生命科学」と「地球環境」など、これまで別々に研究されていた分野を統合
した新研究などを挙げた。
入試科目削減の影響で、高校時代に生物を選択していない医学部生や物理を
学んでいない工学部生が入学してくる現状を憂慮し、「どんな場合でも、基礎
学力は必要。場合によっては、入試科目を増やすことも必要では」と考えを述
べた。
独立行政法人化では「日本の科学技術は国費を投入した大学の基礎研究に支
えられてきた。国がきちんと費用を持つことで次世代が発展するし、研究成果
を北海道経済のために応用できる」と話し、国立維持のメリットを強調した。
憲法学者としても著名な中村新学長だが、現行憲法については「人権意識一
つとっても国民に定着している。憲法を論ずる『論憲』は大切だが、改憲には
拙速に取り組むべきでない」と語った。
中村学長は1961年、北大法学部卒。同学部教授、同学部長を経て、97
年4月から2年間、副学長を務めた。専攻は憲法。学長就任に伴い、北大は副
学長をこれまでの2人から、広報担当を新設して3人に増やす。また事務局に
新たに「企画室」を設置、学長を補佐し、部局間の枠組みを超えた新しい研究
を推進する体制を整える。
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