独行法反対首都圏ネットワーク


国立19大学地球科学系学科主任会議、国立大学独法化に深い懸念を表明

国立19大学地球科学系学科主任会議、国立大学独法化に深い懸念を表明


地球科学系学科が抱える共通の問題について議論する国立19大学地球科学系学科主任会議(当初は、国立大学地学科主任会議として発足)は毎年開催されているが、この2年間においては、特に国立大学独立行政法人化(独法化)問題について集中的な討論を行なった。
1999年度会議(1999年11月6〜7日@千葉大学)では、直前に発表された国立大学理学部長会議声明「危うし!日本の基礎科学−国立大学の独立行政法人化を憂う−」(1999.11.10)をもとに活発な議論を行い、理学部長会議と同様の危惧を抱くことが各地球科学系学科から表明された。特に、資源・エネルギーなど人類の生存に欠かせない自然の富、さらに人類の生存を保証する地球環境などに深く関わっている地球科学は長期的な視野のなかで初めて成立する学問であることを考えると、独法化はその存立基盤を危うくするという意見が相次いだ。また、地球科学諸分野の研究教育は、地震観測一つを例にとっても、全国の大学の共同協力によって成り立っていることは明白であるが、各大学の生存競争を煽る独法化は、地球科学研究の破滅をもたらすのではないか、との深刻な問題提起もあった。こうして1999年度会議は、それぞれの大学で独法化への批判を強めようということを確認したのである。
2000年度会議(2000年11月18〜19日@琉球大学)においては、国大協などが危惧を表明しているにもかかわらず、独法化の実質化が着々と進められているかに見える状況への危機感が訴えられた。とりわけ、校費配分方法が一方的に改変され、来年度以降教育研究の遂行が著しく困難になるのではないか、ということが、各地球科学系学科から具体的な予算状況と併せて提起された。また、旧7帝大を中心にした昨今の大学院重点化が日本の大学全体に様々な問題を引き起こしているとの指摘もなされた。会議としては、前年度同様、独法化がもたらすであろう事態への深い憂慮を表明するとともに、各大学が単純な「生き残り策」へと委縮せず、全国的な連帯と共同協力をいっそう強めて状況に立ち向かおうとする意思を確認した。


*19大学=弘前大学、秋田大学、山形大学、茨城大学、千葉大学、新潟大学、信州大学、静岡大学、富山大学、金沢大学、神戸大学、岡山大学、島根大学、山口大学、高知大学、愛媛大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学


出典:日本地質学会News vol.4, No.4 (2001年4月号)



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