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「ゆとり教科書で学力低下」学者ら文科省批判
2001.4.21 [he-forum 1847] 「ゆとり教科書で学力低下」学者ら文科省批判(読売新聞)


「ゆとり教科書で学力低下」学者ら文科省批判


読売新聞ニュース速報


 学習内容を大幅に減らした新学習指導要領の来春実施を前に、「学力低下」問題への真剣な対応を文部科学省に求める声が強まっている。十九日開かれた中央教育審議会の分科会や総合科学技術会議でも、同省の説明や「ゆとり教科書」に対する批判が相次いだ。同省は委員らに学力低下に関するデータ収集を迫られ、今後の提供を約束せざるを得なくなった。
 都内のホテルで開かれた中教審初等中等教育分科会の初会合。同省担当者は、国際教育到達度評価学会(IEA)が行った理数の学力の調査結果を示し、「我が国の児童生徒の学力は国際的にトップクラス」と説明した。
 これに梶田叡一・京都ノートルダム女子大学長が反発。「それは大本営発表。学力低下は起きており、裏付けるデータも発表されている。多くの人の心配にこたえるためにも資料を集め検討すべきだ」と迫った。
 横山英一・教職員共済生活協同組合顧問も「学力低下への危機感は収まっていない。学校五日制を先延ばしにしろとか、新学習指導要領を実施するな、との趣旨の署名運動まである。議論が必要だ」と語り、「そもそも文科省の方針が揺れている」と批判した。
 説明にあたった担当者は下を向いたまま。 そんな中、田村哲夫・渋谷教育学園理事長は「今の学力低下論は大学の先生から見た議論。全員が大学に行くわけではない。高校卒業までに最低限必要な力をつけるべきで、『生きる力』を育てるという(文科省の)方針は国際的にも支持されている」と訴えた。
 官邸で開かれた総合科学技術会議でも、教える内容が大幅削減された新しい教科書に対し、有識者議員から批判が飛び出した。町村文部科学相は「(教科書が準拠した)学習指導要領は教える内容の下限を決めたもの」などと説明したが、黒田玲子・東大教授は「現実には教える上限になっている」と納得せず、「理科や数学が得意で科学者を目指す子は、どんどん伸びるよう教えるべきだ」と強調。他の議員も発言を求め、今後同省と話し合いの場を設けることになった。
 町村文部科学相は、二十日の閣議後会見で「現場の理解を得られていない。重大な問題なので、総合科学技術会議や中教審で何らかの結論が出るなら対応したい」と話した。

         ◇
 大学関係者や科学者から、学力低下懸念の声が上がっている背景には、50%近い大学進学率の中、国立大学でも半数近くで高校の内容にあたる講義が行われていること、大学生が分数の計算ができないといった理数系の能力低下を示すデータが発表されていることなどがある。
 小中高での学力低下については、全国的な学力調査が本格的に行われていないため、信頼出来るデータがないままだ。IEA調査では、日本の中学二年生はペーパーテストで三十八か国中四位(理科)、五位(数学)だが、理科や数学が「好き」という割合は最低レベルだった。
[2001-04-20-13:47]




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