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「組織業務委員会の状況と作業委員の立場」
2001.4.16 [he-forum 1824] 「組織業務委員会の状況と作業委員の立場」
国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議「組織業務委員会」(第9回)(平成13年3月21日)配付資料より
1 .はじめに
1‐ 1.2 月28 日の委員会では、法人化の場合における運営組織の案について種々の発言があり、そのなかには批判的なものが多く見られた。作業委員としてはそのことを真剣に受け止める。
1‐ 2.ただ、経営教学分離を強く主張する発言(それと関連する文脈で部局の問題や外部からの参画の問題を取り上げるものを含む)がかなりあったことは、調査検討会議と組織業務委員会のこれまでの経緯にてらし、とまどいを覚える。
2 .根本的に議論する場合の要点
2‐ 1.国立大学制度をどうするかは、白地で考えると、現状固守から大々的変革(理事会システム等の導入、私立学校化その他各種の“民営化”)まで、何種類もの可能性がありうる。それらはすべて議論に値するが、議論するとすれば以下の点が重要。
2‐ 2.まず、現在の国立大学がその果たすべき使命を適切に果たしていない部分があるか、あるとすればそれはいかなる点か、その原因は何かを、データに即してまじめに議論すべきである。このことは、委員間での認識の隔たりがかなり大きいように見えるだけに、特に必要である。きちんとした診断なしに手術をしてはいけない。
2‐ 3.現状とその問題点を分析したうえで、それに対する方策を検討する。その際には、国立大学(法人)の業務と他の社会諸組織の業務とはどこが同じでどこが違うのか、それに対応してその運営ないし経営の理念はいかなるものであるべきかを議論しなければならない。とりわけ、大学が時代の要請を的確に捉える能力を具えることは必要であるが、教育研究の百年の計を歪めること、角を矯めて牛を殺すことがあってはならない。
3 .調査検討会議の趣旨
3‐ 1.経営教学分離を進める方向で国立大学の現行運営組織原理を変えることがいかなる意味をもつか、その是非をどう考えるかは、以上の論点について深く議論しなければ何とも言えない問題である。
3‐ 2.そのような議論をする場は今回の調査検討会議の中には設けられておらず、また実際にも、きちんとした資料にもとづく議論がされたことはない。それというのも、この会議は、独立行政法人制度の創設をふまえて文部科学省が示した、国立大学の独立行政法人化という一つの方向について、限られた時間の中で具体的に調査検討することを目的とするものだからである。
3‐ 3.運営組織に関する作業委員案も、そのような前提のもとで作られたものである。
4 .根本的な議論をするための前提
4‐ 1.これに対し、そうした問題の脈絡に囚われないもっと広い土俵で、経営教学分離の推進の方向や民営化の方向での種々の発想も含めて自由に議論しようというのであれば、調査検討会議ではそのための準備はされていないので、最初からやりなおす必要がある。
4‐ 2.日本の高等教育・学術研究のあり方についての根本的な議論は必要である。しかし、上述の視点と手順を欠いた性急な議論が、必要な準備なしに調査検討会議で展開されることは、国家・国民にとって不幸なことであると考える。