独行法反対首都圏ネットワーク


第107回総会〔第1日目〕議事録より
2001.3.30 [he-forum 1774] 国大協2000.11総会議事録抜粋


会報第171号(平成13年2月号)p34

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第107回総会〔第1日目〕議事録より
I 報告 7.総会傍聴の要望及び会長宛要望の取扱いについて


会長から次の2点について説明し諮られ,異議なく了承された。


複数の国立大学教員から直接,本日の総会の傍聴を認めるよう求められたが,会則には,傍聴に関する規定はなく,また,これまでに総会傍聴を認めた例はないので,慣例に従い傍聴は認めないこととし,この旨対応したが,これでよろしいか。


また,これとは別に,国立大学教員から会長宛要望書の提出があった。会則には,「国立大学の教員は協会の事業に関して協会に対して文書をもって意見を述べることができる」「意見の提出があったときは,会長はこれを担当の委員会に回付する」「意見の回付を受けた委員会は,必要があると認められたときは口頭によってその教員の意見を聴取することができる」との規定がある(会則第28条)。しかし,提出があった要望書の内容は,総会の決議に関わることなので,会長の責任において委員会に回付することもなく,意見聴取もしていないが,これでよろしいか。

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会報第171号(平成13年2月号)p26-50

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第107回総会〔第1日目〕
日時平成12年11月15日(水)10:00−17:00
場所如水会館(神田一ッ橋)松風の間
出席者各国立大学長
(オブザーバー)平澤国立極地研究所長(大学共同利用機関代表),西條筑波
技術短期大学長
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初めに,蓮實会長から開会の挨拶に続き,次のように述べられた。


今総会は定例総会であり,各委員会からの審議状況の報告をいただくとともに,いくつかの案件についてご審議いただきたい。


なお,大学入試センター試験等についてご説明願うため,後刻大学入試センターの丸山所長にもご出席いただくこととしたので,ご了承願いたい。


○会議資料の確認


事務局長から,今総会の配付資料等について説明があった。


○新学長の紹介


会長から,6月の総会以後交代された学長について,次のとおり紹介があった。


宮城教育大学  横須賀 薫 平成12年 8月1日付

名古屋工業大学 柳田 博明 平成12年11月1日付
鹿屋体育大学  芝山秀太郎 平成12年 8月1日付


○代理出席者等の紹介


会長から,欠席の北海道大学丹保学長(第1日のみ)に代り代理出席の冨田副学長,奈良教育大学大久保学長に代わり代理出席の松村学長事務代理の紹介があった。また,政策研究大学院大学の吉村学長が欠席される旨報告があった。


○オブザーバー出席者の紹介


会長から,オブザーバー出席の国立極地研究所平澤所長及び筑波短期大学西條学長の紹介があった。

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I 報告


会長から次の1−3の事項について報告があった。


1.「設置形態検討特別委貫会」の設置について


去る6月の総会において設置のご了承をいただいた「設置形態検討特別委員会」の件については,過日文書をもって各大学長にご報告したが,「資料4」のとおり発足したことを改めてご報告する。


2.大学評価委員会専門委員及び評価員候補者の推薦について


木村大学評価・学位授与機構長から,「資料5」にょり同機構の大学評価委員会専門委員及び評価委員侯補者の推薦依頼があり,8月29目,「資料6」のとおり推薦した。なお,今回の候補者推薦にあたっては,時間的な余裕がなく,その処理方針について理事会構成員に文書で照会し,了承を得たうえで各大学に推薦をお願いした。また,選考結果が機構長から「資料7」のとおり報告があった。


3.大学評価の進め方に関する要望について


大学評価・学位授与機構長に対し,大学評価の進め方に関する要望書を早急に提出することについて理事会構成員に書面で諮り,「資料8」


4. 会議報告

(略)
5. 各委員会委員長の報告
(略)
6.21世紀の大学を考える懇談会について


会長から,「資料17」にもとづき次のように報告があった。


「21世紀の大学を考える懇談会」が文部大臣裁定で平成12年9月7目に設置された。その趣旨は「我が国の大学の在り方を長期的な視点から展望し,学問分野のバランスなどを含め,今後の大学を中心とする高等教育及び学術研究の振興の在り方について,学識経験者による懇談を行う」というものである。懇談会の委員構成は別紙のとおりであり,吉川放送大学長が座長を務めている。既に9月25日,11月8日の2度開催されている。ここから,積極的な政策提言ができればよいと考えているが,まだ自由な議論を行っている段階である。


7.総会傍聴の要望及び会長宛要望の取扱いについて

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II. 協議


1. 国立大学の入学者選抜についての平成14年度実施要領,実施細目について

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2. 国立大学における情報公開についての検討結果報告について
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3. 当面する諸問題について


(1)各地区学長会議の状況報告

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(2)設置形態検討特別委員会の報告
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以上のような報告・説明について,次のような質問があり,これに対し,長尾設置形態検討特別委員会委員長,会長からそれぞれ見解が述べられた。


[1]設置形態検討特別委員会は独法化を前提に検討されているのか。その軸足をどこに置いているのか。6月総会において,独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することに強く反対しつつ,選択肢の一つとして文部省の調査検討会議に積極的に参加するとし,その一方で,国大協として国立大学の設置形態について検討する新たな特別委員会を設けることを全会一致で確認した経緯からすると,独法化を前提として検討するということがあまり前面に出ることは,そのことと齟齬をきたすことにならないか。


[2]特別委員会の中では,現在の国立大学のままであることも含みながら議論すべきだという意見もある。だから,どこに軸足を置くかということは必ずしも明確ではないが,仮に法人化されるなら,それが通則法の下でなのか,そうでないのか,あるいは通則法の下であるにしても,どこまで特例法的に考えるのか,そういうことを議論してもいいのではないかと思っている。


[3]我々の選択肢は複数あると思う。・国立大学のままで残り定削に耐えていく,・独立行政法人通則法をそのまま受け入れる,・通則法は受け入れないという立場に立ち,たとえば国立大学法人法をつくることをめざす,・私立大学に移行する,などの可能性が考えられるが,いずれをとるにしても,現在国立大学がもっている研究教育,社会貢献等の力を弱めてはならないし,今以上に高める方向にもっていかなければならない。文部省は,来年6月頃までに独法化についての大まかな線をまとめたいと言っている。この際,調査検討会議各委員会の主査であり設置形態検討特別委員会各専門委員会座長の各学長には大いに先導性を発揮していただきたい。今総会はそのための会議だと思っている。


以上をもって第1日目の総会を閉会した。


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第107回総会〔第2日目〕
日時平成12年11月16日(木)10:00−11:20
場所如水会館(神田一ッ橋)松風の間
出席者各国立大学長
(オブザーバー)平澤国立極地研究所長(大学共同利用機関代表),西條筑波
技術短期大学長
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I 協議


1.当面する諸問題について


会長から,昨日の設置形態検討特別委員会からの報告に関し,質間,意見があれば頂戴したい旨述べられたのち,次のような質疑応答及び意見交換が行われた。


[4]経営と教学を一体として考えるのかどうかということは,法人制度の設計の議論の根幹に関わる問題と思うが,設置形態検討特別委員会でどのような議論があったのか伺いた


[5]教育研究の自主・自律性が確保される形で制度設計がなされなければいけない。そういう観点からすると,経営と教学が分離するということは考えにくいことである。もし,経営と教学が分離することがあるとすれば,大学の特性に沿って護らなければならない点が損なわれないか危惧される。法人の長と学長との関係も役員の選考の問題も経営と教学を分離するか一体とするかによって制度設計が決まってくるから,経営と教学の関係は法人の制度設計を議論する場合の根幹部分であると考える。


[6]先行する独立行政法人に適用される会計制度については,現在検討が進められている会計制度検討小委員会の特告にもとづいて会計基準(企業会計基準)が適用されることになっているが,これをそのままの形で法人化する大学に適用することは問題がある。そこは,大学バージョンの会計基準が別途検討されてしかるべきと考える。評価というとき,機構が行うアカデミックな評価を使って資源配分することは制約されるべきということは我々の共通認識になっているかと思うが,独立行政法人では,会計,財務諸表の数値がその法人の業績評価になり,その点からすると,大学も会計数値による評価情報がかなりの確度で資源配分のよりどころにされる可能性があると思うので,そこを抑えながら,大学の会計基準のあり方について専門委員会Dで議論していただきたい。


[7]法人と教学の関係については,第1常置委員会の「中間報告」でも,それ以後の国大協の議論においても,これを分離しないという考え方をとっていると認識する。しかし,学校教育法を大きく変更することなく,「国が法人を設立し,その法人が大学を設置する」ということであれば,経営と教学の一致を謳っていることと齟齬をきたすことになりはしないかとの指摘もあり,さらに議論がいると思う。


[8]経営と教学の関係に関する設置形態検討特別委員会での議論は,二つは一致させるべきものだという方向ははっきり出ていると思う。外部から分離という声があるとすれば,それに対抗できる理論を構築しておく必要があると思う。


[9]第1常置委員会が昨年9月に「中間報告」を取りまとめたのは,当時,独法化が急速に現実味を帯びつつある状況の中で,万一の場合に即応できるよう検討したものであり,法人化を前提としたものではない。だから,「国が法人を設立し,その法人が大学を設置する」という設置の形態についても触れているが,あくまでも,企画立案機能と実施機能は分離できない。したがって,「国が大学を設置し,その大学が法人格をもつ」という姿勢で一貫していると考えている。そういうことで,名称も“大学独立行政法人特例法’とともに,“国立大学法人法”といった書き方をしていた。


[10]会計の面では,企業会計原則が大学の経営にそのままあてはまるとは考えていない。評価結果を資源配分に反映させるにしても,それはプラスの評価として上乗せするやり方でないといげないと思う。


[11]法人化後に特会制度が存在するかしないかで中期計画の書き方が違ってくる。それが存在しないという場合にも,基盤的経費はどのように積算し,当校費的なものはどのように書き込めばよいのか,土地,施設・設備等の資産は譲渡されるのか貸与されるのか,その取得や更新の経費は運営費交付金とは別に配分されるのか,資産運用をどの程度中期目標に入れる必要があるのか,援業料等は運営費交付金と相殺か別収入と考えてよいのか等々が専門委員会Bで議論になっている。これらは,いずれも他の専門委員会と関係することなので,問題を整理し,それを専門委員会座長連絡会議で検討いただきたい。


[12]前回6月総会で確認した,・独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することに反対,・国立大学に相応しい設置形態について特別委員会を設置して検討する,・文部省の調査検討会議に積極的に参加し,そこに国大協の意向を強く反映させる,との方針に沿って今後とも検討をすすめてほしい。
自民党の「提言」の中には,国立大学に対する批判があり,たとえば,学長選考の方法に問題があるから必ずしも学長として適任者が選ばれていないといったことが書かれているが,それは,いまの設置形態に問題があるからなのか,法人化しなげればよくならないといえるのかどうか,よく検討してほしい。


[13]法人と教学の一致か分離かの問題については,既に独立行政法人に移行が決まっているところでは,業務という形が強くなってきて,企画立案機能と実施機能が隔てられていることが明らかに見えてきた。文部省の「組織業務」委員会の「業務」という言葉は気に掛かるところがあり,大学等においても,企画立案されたものを業務として実施するのだというニュアンスが強くなっているように思うので,この点は,大学は既に法人化の移行が決まっている機関とは違うという理論武装がさらに必要と思っている。


[14]大学の企画立案機能ということについては,文部省の「組織業務」委員会では,大学は当然,企画機能をもつものという雰囲気である。ただ,国も当然,企面立案機能をもつから,そこは,国と大学とは一定の区分けがいると思う。


[15]通則法の中で最も問題なのは,企画立案機能と実施機能の分離ということである。しかも両者の関係で企画立案機能が優位に立っているという点である。これが教育研究の分野に入ってくることは適当でない。「組織業務」委員会で具体的にどういう議論があったのか。


[16]具体的な議論はしていない。大学は一定の企画立案機能をもたなければいけないということについて,文部省も含めて一般論として賛同を得たということである。今後第1常置委員会,専門委員会Aで議論することだが,設置形態検討特別委員会でも議論いただきた


[17]形式的に言うと,国の企画立案機能の,特に教育に関しては,これまで各種審議会の提言を実現するという形でその機能が働いてきたが,今後,審議会は徐々になくなる方向にあり,また,審議会が提起することと国大協の考えに齟齬がでてくると,その中で何が優位に立つかはある種の力関係が左右するので,いわゆる護送船団方式とは違う国大協の力の堅持をどう図るかが今後の問題になってくると思っている。この点に関しては特別委員会,各専門委員会から説明があったとおり,不確定要素が互いの委員会の任務を規制していて,議論を前に進めにくい面はあろうかと思うが,特別委員会委員長,専門委員会それぞれの座長にイニシアチブを発揮していただきたい。


[18]仮に独立行政法人化になった場合の教職員の身分については,これまでは国家公務員型になるというのが大方の暗黙の了解と思っていたが,最近になって,非公務員型の話が浮上してきているようだが,なぜなのか。


[19]その切っ掛けは,東京大学の研究会の「中間報告」にあるかと思う。その中に,特に職員の場合は国家公務員型でなければならないであろうが,教員については非公務員型の方が勤務時間や兼業の自由度も出てくるから,そういう選択肢もあると書かれていた。ただ「最終報告」では,そこは修正され,トーンが下がった書き方になっている。教員については,教特法で一般公務員に比べて弾力的な扱いがされているが,国家公務員型でいくかぎりは国家公務員の縛りは避けられない。文部省の「人事制度」委員会の議論でも,国立大学以外の委員の中から,国家公務員型の規制を外れた方がよくはないかという意見も出ている。専門委員会Cでは,初めから国家公務員型・非国家公務員型に分けるのではなくて,国が設立する大学として国立大学が教育研究を遂行するうえで望ましい人事制度はどうあるべきかという観点から検討していきたい。その中で,国家公務員法とか教特法にどういう点の修正を求めていかなければならないか詰めていきたい。なお,仮に,非国家公務員型を選択するとすれば,国家公務員法,教育公務員特例から外れる代りに,新たに労働三法の適用を受けることになり,団結権だけでなく争議権も与えられることになる。そういうことに対応する能力があるかということも国家公務員型・非国家公務員型を選ぶ際に考えなければならない重要なファクターになろう。

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以上のような意見交換があったのち,会長から次のように述べられ,当面する諸問題についての議事を終えた。


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[20]国大協として法人化についての方針を出す場合には,当然のことながら,理事会,臨時総会がもたれることになろうが,それまでは我々は特別委員会及び専門委員会の方々に検討を付託しているわけで,それらの方々のイニシアチブを信頼してすすんでいくことにいたしたい。政治的状況もあり不透明感の中をすすまざるを得ないが,我々として最も大事なことは,大学における研究教育,社会への貢献機能が大きく乱されないということであり,それを共有しつつすすんでいくことだと思うので,各位のご協力をよろしくお願い申し上げる。
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なお,会長から,報道機関よりあった本日午後開催する学長懇談会への取材のための傍聴の申入れの扱いについて諮られ,異議なく,これを認めることとした。
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II その他


1. 退任学長挨拶


会長から,次回6月の総会までに学長を任期満了等により退任予定の学長に対し謝辞が表されたのち,次の順で各学長から退任の挨拶があった。


丹保 憲仁(北海道大学長)

徳田  弘(秋田大学長)
佐藤  保(お茶の水女子大学長)
廣田 榮治(総合研究大学院大学長)
辻野  昭(兵庫教育大学長)
西塚 泰美(神戸大学長)
梶井  功(束京農工大学長)
金城 俊夫(岐阜大学長)
山田 康之(奈良先端大学院大学長)
高橋 和郎(鳥取大学長)
原田 康夫(広島大学長)


最後に,会長から,学長任期に伴い今年度末で退任する旨述べられ会長退任の挨拶があった。


以上をもって第107回総会を閉会した。

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