独行法反対首都圏ネットワーク


4・2国大協特別委員会で「長尾試案」の再検討を
2001.3.23 [he-forum 1749]  4・2国大協特別委員会で「長尾試案」の再検討を


独行法反対首都圏ネット事務局です。


「長尾試案」は、多くの問題点を含むものです。

「長尾試案」は、国大協設置形態検討特別委員会としてのまとまった「試案」でな く、あくまでもひとつの「試案」に過ぎないとして、「長尾試案」に対する意見集約 を行っていません。このことが、多くの大学での議論をなくしています。「長尾試 案」に焦点をしぼって、各大学当局(評議会、教授会)で議論し、その意見を国大協 に集約すべきだと思います。また、組合や個人も「長尾試案」に焦点をあてた議論を MLやHPなども活用して展開すべきであると考えます。


「長尾試案」に対するきちんとした意見(批判的コメント、反対、譲れぬ条件の提 出、対置案提示等々)を表明することを呼びかけます。


4月2日の国大協設置形態検討委員会が、「長尾試案」の再検討、各大学での議論の 促進、国大協としての意見集約等を行うよう要望書を提出する行動を呼びかけます。


独行法反対首都圏ネット事務局は、下記の「申し入れ」を行いました。


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2001年3月23日

国立大学協会会長 
設置形態検討特別委員会委員長  長尾 真  殿
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
連絡先:東京大学職員組合気付
    東京都文京区本郷7-3-1
    E-Mail:syutoken@net.email.ne.jp
    http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html


「「長尾試案」の再検討を求める」の提出について


私たちは、2月7日に貴殿が発表した「国立大学法人の枠組についての試案」に対し、 「「長尾試案」の再検討を求める」と題した声明を3月6日に発表し、webページ等で公 表しました。(添付資料)
私たちは、貴殿の「試案」は、国立大学全体の意思表明の基礎となるものとしては多 くの問題を含むものであると考えています。そうした認識に立って、私たちは国大協 および特別委員会に対して、「試案」について各大学の意見を集約し、それらの意見 を十分に反映した「枠組み」を新たに作成すべきであることを要望します。
つきましては、来る4月2日に開催される設置形態検討特別委員会において、私たちが 声明で述べた諸点も含め、「試案」の再検討を行うことを要求するものです。


(添付資料)

                   「長尾試案」の再検討を求める


                                                          2001年3月6日

                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


  国立大学の独立行政法人化をめぐる情勢は緊迫の度を増している。文部科学省の調 査検討会議は当初7月に予定されていた中間報告のまとめを、4〜5月の連休前後にも出 そうとしている。調査検討会議の4委員会には、それぞれ4名程度の作業グループが作 られ、取りまとめ作業を急いでおり、その内容の一部はすでに報道されている。


  調査検討会議の組織業務委員会は、2月28日、学長を中心とする執行機関(役員組 織)と重要案件を審議する議決機関(評議会)とに大学組織を区別し、トップダウンの意 思決定を容認する試案を示した(『日本経済新聞』2001年3月1日付)。また、役員は大 学外からも選考されるという。この文部科学省の方針は、大学を国策遂行のミッショ ン機関に変えようとする極めて重大な問題を含むものである。


  これに対して、長尾真京大総長を委員長とする国大協の設置形態検討特別委員会 は、2月7日付で「国立大学法人の枠組についての試案」(いわゆる「長尾試案」)を全 国の国立大学に発送した。これは2月22日の国大協第一常置委員会においても報告され ている。


  一方、東京大学は、2月20日の評議会において、「東京大学が法人格をもつとした 場合に満たされるべき基本的な条件」として、5つの条件を承認した。


  これらの急速な動きは、国立大学の独立行政法人化を巡る状況が新たな局面を迎え たことを示している。現政権は、あくまで行政改革の枠組の中で、国立大学の独立行 政法人化を強行しようとしている。


  こうした状況の下に出された「長尾試案」は、国立大学全体の意思表明の基礎とな るものとしては多くの問題を含むものである。私たちは、国大協が「長尾試案」につ いて各大学の意見を集約し、それらの意見を十分に反映した「枠組み」を新たに作成 すべきであると考える。


一、「長尾試案」は国大協総会の確認を踏まえるべきである


  「長尾試案」第3項は、国立大学法人法を「独立行政法人の基本的枠組を参考にし て作る」としており、既存の独立行政法人通則法の立法趣旨と内容を模倣することを 言明している。これは、国大協の従来の立場や、昨年6月の国大協総会の確認(「すで に法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することに 強く反対するという姿勢は維持され、今後も堅持されるだろう」)と抵触するのではな いだろうか。


  二、独立行政法人の骨格的なシステムを容認するべきではない


  「長尾試案」が、法人設置にあたって、いわゆる「直接方式」を採用すること(第 2項)、「経営と教学の一致」(第4項)など、国立大学法人を独立行政法人と区別しよう としている点は評価できる。


  しかし「長尾試案」には、(1)中期目標・中期計画の策定(第9項)、(2)計画の達成 度に応じた大学評価(第10項)など、独立行政法人の骨格となるシステムを踏襲すると いう問題点がある。


  中期計画・中期目標については、「数年の期間」という曖昧な表現を使って、三〜 五年より長期を念頭に置いている。だが、この点はすでに文部科学省の調査検討会議 の作業グループ案として六年という期間が提示されている(『東京新聞』2月22日付)。 ここには文部科学省が独立行政法人のシステムを維持しながら、若干の期間増によっ て妥協を図ろうという意図を見て取ることができる。

したがって、「数年の期間」が何を意味するのか、具体的に示すべきである。


  評価については「大学評価・学位授与機構などの機関による多元的評価」を謳って いるが、この点についても問題が多い。すでに国大協は、昨年9月20日に大学評価・学 位授与機構に対して、その関係が「一方的なものであってはならないにも関わらず、 その配慮が必ずしも十分でない」ことを抗議した経緯が存在している。また、現在、 国大協第8常置委員会で評価問題の検討が行われている。「長尾試案」は、大学評価・ 学位授与機構が、大学に対して「権力的関係に立つ」危険性を直視すべきである。こ とは学問の自由・大学の自治に関わる本質的な問題である。


  文部科学省の調査検討会議は、評価結果について「大学の活性化に資するような方 法で次期目標計画における予算配分に反映させる」と述べており(『東京新聞』2月22 日付)、評価と資源配分の連動という姿勢を示している。また、中期目標とは別に「長 期目標」を定めるとも述べている。これらは、一方で評価を資源配分と直結させて大 学の「選別と淘汰」を図ろうという自民党提言の基本路線に沿ったものであり、他方 で大学の要求に対しては「長期目標」の設定によって妥協を図ろうとしたものと見る ことができる。


三、学長は学内選挙で決め、評議会等は最高意思決定機関であることを明言すべきである


  「長尾試案」は第8項で、学長の選考にあたっては、「運営諮問会議の意見を聞い て」「評議会が行」うとしている。これは、現行の直接選挙による学長選出方法を放 棄しようというのだろうか。運営諮問会議が学長選考にあたって意見を述べること は、自民党提言にみる「タックス・ペイヤー」たる者の参加など、現行の学長選挙へ の攻撃に屈することにつながる。大学は、学問研究と教育の組織として、一個の自律 的、自治的組織であらねばならず、その長は自ら選出するものでなければならない。


  また第6項では、評議会、教授会の位置付けを、双方とも「審議機関」としてい る。これは、従来から大学の自律的運営を保障してきた制度に決定権を与えないこと を意味するのであろうか。ここは、大学、部局の最高意思決定機関として明確に認め るべきである。


  大学が自律的に、構成員の自治に基づいて運営されるためには、意思決定の機関 は、現状では評議会であり、部局教授会である。この機能を失ない、かつ外部の意思 決定に従う存在となれば、大学は自らを運営する自治の主体ではなくなり、大学の本 質的機能を放棄することになる。


四、「長尾試案」は教育公務員特例法について明言すべきである


  大学教職員の身分に関して、「長尾試案」は「教育公務員特例法の精神を生かし、 勤務条件等の弾力化をはかる」(第14項)とし、教特法自体を維持するのか不明確な態 度を取っている。ここでは、教特法を維持することを明言すべきである。また、「長 尾試案」には、大学運営の自律性という点からも、教育・研究機能に果たす役割とい う点からも決定的な重要性を持つ、職員組織・職員人事の問題が欠落している。この 点の検討は是非行うべきである。


五、「長尾試案」は財政・会計の分析を行うべきである


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