独行法反対首都圏ネットワーク


       情勢の中心は何か

                                                         2001年4月30日

                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


  現在の問題の焦点は、大学自体をその構成員が自らの長を選出できず、自らの組織の運営に関与できないシステムに改変してしまうのか否か、ということにある。現在、以下のような日程と論点が明らかとなっている。これは、まさに大学の自治、大学という存在そのものの危機が眼前に迫っているとみるべきである。いま求められているのは、これらの論点と日程に積極的に関与することである。そのために、首都圏ネット事務局は、5月18日の東京大学職員組合主催の緊急大集会をはじめ、全国における行動を全面的に支持する。

○文部科学省の調査検討会議は、5月中にも「中間報告案」を出し、7〜9月に「中間報告」を提出する。従来の例からみて、この「中間報告」がほぼそのまま2002年3月に予定されている「最終報告」となると考えられる。

○国大協は、設置形態検討特別委員会の作業委員連絡会議において、現在「中間まとめの原案」を作成している。これは5月21日の特別委員会において「中間まとめ案」となり、6月12, 13日の国大協総会に提案されるとみられる。

○この二者の検討作業において、文部科学省の「中間報告」と国大協の「中間まとめ」との間にある種のすりあわせが行われようとしている。国大協の作業委員連絡会議に文部科学省の官僚が参加しているという情報もある。

○文部科学省の調査検討会議における議論は、独立行政法人通則法の大学への適用の適否をこえて、いまや大学という存在そのものに関わる議論へと進んでいる。現在の焦点は、1)学長を大学の構成員の意思によって選出するのか否か、2)評議会、教授会などを単なる「審議機関」に変えてしまうのか否か、である。

○文部科学省の案では、経営と教学を分離し、財界人など学外者を重要な構成員とする「理事会」、「運営審議会」、「運営協議会」、「経営評議会」などが提案されている。他方、これらの組織が経営のみならず教学についても決定するという案も出されている。

○経済産業省の官僚グループが作成した「国立大学法人法(案)」では、産業界、自治体などの学外者が過半数(ないし三分の一以上)を占める「運営会議」を設置するとしている。この「運営会議」が経営と教学の双方の意思決定を行い、学長を選考する。そのため、評議会も教授会も廃止することが予定されている。

○4月12日に出された民主党の「国立大学の独立行政法人化に関する中間報告」は、独立行政法人化について、(1)将来、地方移管あるいは民営化するまでの過渡的な形態と明確に位置付けること、(2)身分を非国家公務員型とすること、(3)国益的見地からのみ国立大学院大学を残すこと、を条件としている。また、経営と教学を「明確に分離し」、「経営に関する過度な教授会自治を排する」とし、「経営の専門家の拡充」による「執行部体制の強化」をうたっている。


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